CMOSカメラでは4つのピクセルを1ピクセルとして扱う(2×2ビニング)ことで解像度を犠牲にして感度を上げることができる、ということになっているのですが、これはソフト的に行われているようで(ASI294MMは別?)、今までの検証では今一つ効果を感じることができませんでした。

というより、上の記事の時は感度は上がらないわ、解像度が下がるわ、のさんざんな結果になっています(笑)。

しかし、SV305Mproではまだビニングを試してなかったので、今回やって見ることにしました。
とは言うものの今日の夕暮れ前はこのような雲の状況IMG_3337
夜になってもたぶんこんな感じの雲があったのでしょう。限界等級は1等+と言ったところで、2等星が見えたり見えなかったり・・・透明度はかなり苦しいです。そこで、IR640proフィルターによる赤色光~近赤外電視観望で臨むことにします。
graph_IR640PRO
鏡筒は、ケンコーNEWスカイステージ改7cmF3.2反射(0.8×レデューサー使用)を使用。
IMG_3338
架台はもちろん、VIRTUOSO GTi経緯台、今回はこちらの運用検証も兼ねます。

鏡筒を上の画像のように北を向け、ここから2スターアライメントで設定。これで対象天体がカメラの視野内に何とか引っかかってくれましたので、取りあえずは合格点。ただし、対象天体を導入した後、手動でコントローラーを操作してバックラッシュを吸収しておかないといけない(この操作はライブスタックで視野をできるだけブラックアウトさせないために行う必要がある)のですが、この手間にAZ-GTiと比べると少し時間がかかります。やはりバックラッシュがだいぶ大きいようです。

さて、導入されたM17を視野中央に移動させ
Gain32、2秒露出ノーフィルター、まずは1ビニングにて
m17 1bining gain32 black0 no stack
これを「2ビニング」にすると・・・(同じくGain32、2秒露出、ノーフィルター)
m17 2bining gain32 black0 no stack
お! これは高感度になってる感じが! また、2ビニングにして画素が少なくなるとSharpCapの画面では小さく表示されるんですね。

それではスタックしてみます! ここから以降はIR640proフィルターを使用。
M17 4秒露出 1ビニング gain32 100stack
m17 4s 1bining gain32 black0 100stack ir640pro
続いて、
M17 4秒露出 2ビニング gain32 100stack (画面の拡大率はだいたい同じに調節)
m17 4s 2bining gain32 black0 100stack ir640pro
やっぱり、2ビニングの方がコントラストが高く、高感度になっている、と言えると思います。しかし、この画像ではあまり分からないのですが、かなりドット? が粗くなっていてモニター画面上ではピクセルが見えてて星が四角気味になってしまうんですね。上の画像を400%に拡大するとこんな感じです。
400%pixel
もともと1/2.7"センサーなので、1920x1080の200万画素、これが960×540の50万画素になるわけですから、解像度の面で苦しくなるのは仕方ないでしょうか。まあ、高感度化もそれほど劇的なものではなかったので、そのまま素直に1ビニングで使ってきめ細かい画像を得る(言うても200万画素ですが)ほうがいいんじゃないかな、という結論に達しました。

そうなると、次には1ビニングの状態でのカラーセンサーとの感度差が気になってきます。CMOSカメラをASI462MCに交換し、
IMG_3339
赤外域をフルに透過するSVBONY CLSフィルター にて同じくM17を
8秒露出 gain300 35stack SVBONY CLSフィルター asi462mc
m17 8s gain336 35stack cls asi462mc
このとき、0.8×レデューサーを入れるのを忘れていたため、FL= 280mm、F4の状態になってます。ただ8秒露出なので、F3.2 の4秒露出とそれほど変わらない条件かと。

モノクロのSV305Mpro(1ビニング)と、カラーのASI462MCを同じスケールで比べるとこんな感じ。
hikaku スタック枚数
左:fl=224m、F3.2、露出4秒、IR640proフィルター 30スタック 
右:fl=280mm、F4、露出8秒、SVBONY CLSフィルター、35スタック

うーむ、確かにモノクロの方が高感度に見えますが、電視観望の「見栄え」を考えるとやっぱり「HⅡ領域が赤く表現されるカラーに軍配」ですかね? カラーのASI462MCの方もSVBONY CLSフィルターにて赤外域をフルに活用しているのですが、モノクロのSV305Mproの方がわずかに星の数が多い? 気がするので、銀河などの連続スペクトル天体ではまた事情が変わってくるかも知れません。

銀河シーズンになったら、SV305MproとASI462MCとの「近赤外電視観望対決」ですかね。カラ―ながら圧倒的な赤外感度を誇るIMX462センサーに、はたしてSv305MproのIMX290モノクロセンサーは勝つことができるのでしょうか!?

厳しいことを言うようだけど、この対決に負けるようじゃ、モノクロセンサーの意味がないからね! ひとつの試練ですな、これは(笑)

それはともかく、Sv305MproとIR640proフィルターによる組み合わせにて他にいくつか見てますので載せときます(7cmF3.2 fl=224mm)。
M16 8秒露出 gain32 56stack
m17 8s 1bining gain32 black0 56stack ir640pro
網状星雲 8秒露出 gain32 103stack
ami 8s 1bining gain32 black0 103stack ir640pro
M27 4秒露出 gain32 100stack
m27 4s 1bining gain32 black0 100stack ir640pro
網状星雲やM27のようなOⅢ成分の多いものはIR640proフィルターで短波長域をカットするとどうしても表現が落ちますね。

ステファンの五つ子 16秒露出 gain32 20stack
ste 16s gain32 black0 20stack ir640pro
ちょっと露出長めにしてみましたが、あんまり写ってないです(笑) 左側にあるNGC7331”ミニ・アンドロメダ”の方が目立ってますね。上の方で線になってるのはホットピクセルと思われます(ダーク引いてません)。

M13 4秒露出 gain32 120stack
m13 4s gain32 black0 120stack ir640pro
これを中央拡大すると
m13 800%
1ピクセル2.9μmとして、星像9~12μmぐらいには追い込めているようです。

三日月星雲 8秒露出 gain32 30stack
mikazuki 8s gain32 black0 30stack ir640pro
今日みたいな透明度の悪い条件の時はこれ、あんまり出てくれないんですよね。

今回はこんな感じで!