タイトルですが、正確には「VIRTUOSOやAZ-GTiをコントロールしているSynScanにフリーアプリを連動させて、PlateSolvingが可能か?」て感じになるかと思います。
これの元ネタはもちろんSamさんのブログ記事
になります。これは「ケーブル一本のシステムでプレートソルブを実現する」というたいへん画期的なシステムの提案です。トライしない手はありません!
さて、全体的な詳細はSamさんの記事をご覧いただくとして、今回は実際に自分がやってみた結果を報告したいと思います。
まず、事前の準備として
1. プレートソルブのアプリ(例:Astap)をインストール
2.ASTAP the Astoronomic STAcking Progam からスターデータベース(例:H18)をインストール(ここはH17でもV17でもいいみたいです)
3.ascomのPlatformをインストール
4. SynScan用のASCOMドライバー(Sky-Watcher SynScan Physical Hand Controller and SynScan App 下の方にあります)をインストール
5. SharpCap Pro Ver4.0の File → Sharpcap settings → Hardwareタブ(Mount で synscan App Driverを選ぶ)
6.1~5をインストールしたPCでSynscanPro を立ち上げて使用
などが必要です。自分は1.2.が整わないまま始めてしまい、エラー連発でした(笑)。
次々と表示されるエラーメッセージのシンプルな表現を頼りに不足しているアプリやデータを探したり、インストールしたり、再起動したりの堂々巡りでたっぷり3時間は楽しめました(笑)
と言うわけで、実際にVIRTUOSOに接続して動かしながら、パソコン環境を整えております。

鏡筒は、SV503 70ED(クローズアップレンズNo4による×0.8レデューサーで合成F4.8、fl=336mm)にQBPフィルター使用のASI294MCによる電視観望です。当日は月齢17.5、肉眼での限界等級2等ですが、透明度はあまり良くなかったですね。
まずはSynscanで1スターアライメントし、M27を導入。4/3”の広いセンサーを持つASI294MCなのでそこそこ実視界が広く、何とか視野の右下に引っかかってくれました。
おもむろにSharpcapのコマンドで ツール → プレートソルブ後、マウントと同期(R)
を選びますと・・・!

画面に写った星の並びと、手順2.でインストールした膨大な星のデータベースを照合します(この動作のことをプレートソルブと言う?)。スケールも方角も不明なのによく同定できるな、という感じなのですが(たまに失敗するのもリアリティあり)とにかく、現在の写野をSharpcapが把握するのです。で、だいたい導入しようとした対象は中心からズレてますので、続いてそれを視野中心に動かすコマンドがSynScanProに送られて・・・
もちろん、VIRTUOSOの特徴で、追尾のバックラッシュが吸収されて視野内の星の流れが止まるまでちょっと待たないといけないけれど、これを手動でやることを考えたら、革命的な時短が実現できます。今までの苦労がバカみたいです(笑)
しかも、ですよ。次に北アメリカ星雲をSynscanで指定したところ、一発で視野内に入ってこなかったわけです。今までだと、ここでアライメントやり直したり、手探りで探したりして大きなタイムロスとなっていたわけですが、ここでも「プレートソルブ後、マウントと同期(R)」という無双コマンドを使うことにより・・・
北アメリカ星雲が視野外からホールインワンしてくるわけですよ!
いやー、これはシステムの構築要素が根底から揺らいでいく大事件と言えます。具体的にはより長い焦点距離の長い対物や、ローコストでセンサー面積の狭いCMOSカメラなどを、VIRTUOSOやAZ-GTiなどのローコスト架台で実用できる範囲が一気に広がったわけです(たとえば個人的には20cmF10シュミカセをFL= 2000mmのまま電視観望に使える可能性が出てきた)。しかも追加投資資額ゼロでです!
さて、と気分をよくしたところでいくつか見て行きます。M31
相変わらず銀河にもデュアルナローバンドのQBPフィルターで行くわけですが(笑)、この辺の宙域は月齢17.5の月に近いためバックグラウンドのカブリが強くて淡い部分が炙り出しにくいですね。この後M33にも一応行っているのですが全然ダメでした。
次に、網状星雲を導入したまま放置して入浴(笑)。その間180スタック。
(網状星雲 8s gain300 180stack)
デュアル・ナローバンドに最適な対象と言えますね。ただし部分拡大すると・・・
やっぱり反射だね、ということで14㎝シュミット・ニュートンF3.1にスイッチ。
ハート星雲
あれ、全然出てくれないな、と思ったら東の空の方、透明度がかなり悪くなってました(薄雲?)。
じゃあ、南天か、で7293.

まあこっちもあんまりよくなかったけど、まずまず、ですかね。やはり電視観望においても反射系対物のメリット(F明るい、色収差ない)が大きそうです。しかし、この時点で午前3時前、かなり眠くなって来たところを、空気を読むようにVIRTUOSOが電池切れし(笑)終了となりました。
というわけで「はじめてのプレートソルブ」報告となりましたが、特に電視観望においては時短と長焦点の運用自由度が高まるという大きなメリットを確認することができました。
あと、欲を言えばプレートソルブするたびにSynscanのアライメントを修正していってくれればいいのですが、今回はそこまではできませんでした。さらに、各天体のデータのリアルタイム表示とかもたぶん可能なのでしょうね(これら、実はその機能はあるけど自分が使えてないだけかも知れません)。今後、ソフトの進化によって「eVscope」的な機能は全て持たせられるようになるでしょう。
その流れで行くと、今後、Synscanのソフト単体にもプレートソルブ機能を持たせる日も来るかもしれません。今回みたいにいろいろなアプリの複合技を使わなくても、Synscanをアップデートしたらこの機能が追加されてた、って感じになるのでしょうね。そうなると、またVIRTUOSOやAZ-GTiのパフォーマンスが一挙に更新されることに・・・とんでもない時代になったものです。
しかし、驚いてばかりもいられません。ローコスト機材でもプレートソルブ等の追加機能を駆使し、より高画質な電視観望をさらなる時短で実現する可能性が示されました。こうなったからには全力でその運用を考察していく所存であります!
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