さて、ASI482MCに使われているIMX482ですが、SONY独自の感度基準であるSNR1s(数値が小さいほど高感度)では0.08 lxとなっており、これはそれまで高感度と言われていたIMX224・385の0.13 lx、IMX294の0.14 lxと比べてもかなり低い値です。

そこで単純に考えて従来の高感度CMOSの倍近い感度がある? と自分勝手に期待したわけですが、SNR1sはあくまで1/60秒露出での話。低照度・長秒露出である実際の電視観望での使用では、IMX294センサーのASI294MCと比べてむしろ感度が低い? と感じることが多かったのです。今回はこの辺を今一度比較してみます。

架台はAZ-GTi、光学系はSP140SS改14㎝F3.1シュミット・ニュートン、SharpCap4.0.8199によって画像処理をおこなっています。

まずは網状星雲、482ではこのような感じ
網状星雲 Gain450  4秒露出 51スタック QBPフィルター 482
網状星雲 Gain450  4秒露出 51スタック QBPフィルター SharpCap
これが294ですと
網状星雲 Gain500  4秒露出 50スタック QBPフィルター 294
網状星雲 Gain500  4秒露出 50スタック QBPフィルター 294
482の1/1.2”に対し294は4/3”。センサーのフォーマットが違うのでスケールや画質のきめ細かさがだいぶ違ってきますが、淡い部分の写り方に関してはほぼ同等に思えます。バックグラウンドのノイズは482の方が多いものの、感度に関してはほぼ同等の写りと言っていいでしょう。これは、SharpCap4.0が8199に更新されたのが一番大きい要因と言えます。

その他、SharpCap4.0.8199での482の使用では、今までより暗いところまで写せてきた感じがしています。

網状星雲(反対側) Gain450  8秒露出 15スタック QBPフィルター 482
網状星雲2 Gain450  8秒露出 15スタック QBPフィルター SharpCap
M16 Gain450  4秒露出 50スタック QBPフィルター 482
M16 Gain450  4秒露出 50スタック QBPフィルター SharpCap
M17 Gain450  4秒露出 52スタック QBPフィルター 482
M17 Gain450  4秒露出 52スタック QBPフィルター SharpCap
いずれも、これまででは表現できなかった淡い部分が出てきていると思います。294と同等か、わずかに劣る、くらいには達しているでしょうか。
ASI482MCすげえ! と言うより、SharpCap4.0.8199すげえ! という感じではありますが(笑)。ま、現状は同等ですが、今後SharpCap4.0の更新いかんでは電視観望においても294を上回るかもしれない可能性が出てきた、とは言えますね!

あと、星像が少しボテッとしていますが、これはおそらく当日のシーイングが非常に悪かったためで、通常の気流状態ならもう少しシャープにできると思います。シーイングが悪いとfl=400mm程度でも影響を受けてしまうんですね。

と言うわけで、ASI482MCに関してSharpCap4.0.8199を使った現状での個人的な評価は

感度はASI294MCとほぼ同等(ただし階調やノイズ処理では劣る)。

くらいの立ち位置になります。6割の価格で買える「プアマンズASI294MC」と言えなくもないかも知れません。しかし、6掛けくらいなら少し頑張って294を買った方が良いかも知れないです(個人的な「プアマンズ」の定義は半額以下)。これで階調やノイズが向上して来れば「諸手を上げてのお勧め」になりますが、現状では「取得はお好みに応じて」くらいでしょうかね。
今後の状況は完全にアプリ更新次第の他力待ちと言えますので、次の482検証はZWOのASI Driverか、SharpCapが更新されたときに行うとして、しばらくは寝かせて置こうと思います(笑)。

さて、比較検証のため使ったASI294MCが圧倒的に高画質で操作も楽で、やはりこれは今のところ電視観望に最強のCMOSカメラだと再認識いたしました。で、この後は完全にASI294MC祭りに。その模様はこちらで!