ASI294MCをASI482MCの性能検証のための比較対象として、いろいろやっておりまして、


今更ながら、294は今後482に感度の面で上回られる可能性があるとしても、依然として総合力では電視観望の最適CMOSカメラである、という認識を新たにしました。

と言いますか、このところずっと482に振りまわされ気味だったので、294があまりにも使いやすく高画質が得られるため、「どうせ趣味の時間使うなら294で楽にやった方がいい」という当たり前の結論に達したものです(笑)。で、もう482はSharpCap等の更新で性能向上するのをもう少し待つとして、294の現状パフォーマンスを3種類の光学系で確認してみました。

第一弾としては、わたくしの主力鏡筒SP140SSS改との組み合わせです。
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これは自分が現在持っている中で一番良像範囲が広い鏡筒で、ASI294MCのような4/3"センサーで使うとわずかに周辺減光は出るものの、中心星像は10μm、周辺(入射角1.5°)は30μm(入射角1.5°は、4/3"の19.1×13.0の対角線、23mmを想定を想定したもの)と、まずまずの性能を示します。10-30spot
これでも電視観望のパソコンディスプレイ上で見る限りは「全面ピンポイント気味」の非常にシャープな像が得られ、実用上は充分です。
網状星雲 Gain500  4秒露出 50スタック QBPフィルター SharpCap4.0.8199 ASI294MC網状星雲 Gain500  4秒露出 50スタック QBPフィルター 294
ではこの鏡筒による電視観望をいくつか。
M42 Gain500  4秒露出 30スタック QBPフィルター
M42 Gain500  4秒露出 30スタック QBPフィルター 294
ただし、M42のような連続光も豊富な明るい天体だと、ノーフィルターの方が見栄えがしました
M42  Gain500 4秒露出 15スタック ノーフィルターM42  Gain500 4秒露出 15スタック ノーフィルター ASI294MC
Monkey head Gain500  4秒露出 40スタック QBPフィルター
Monkey head Gain500  4秒露出 40スタック QBPフィルター 294
やはり輝線天体にはQBPが適していますね。

ばら星雲 Gain500  4秒露出 347スタック QBPフィルター
まが玉星雲 Gain500  4秒露出 34スタック QBPフィルター 294
ばら星雲も同様。

まが玉星雲 Gain500  4秒露出 642スタック QBPフィルター
まが玉星雲 Gain500  4秒露出 642スタック QBPフィルター 294
まが玉はあんまりコントラスト上げられないです。

フィルターそのままでプレアデスに
M45 Gain500  4秒露出 200スタック QBPフィルター
M45 Gain500  4秒露出 200スタック QBPフィルター 294
反射星雲にデュアル・ナローバンドを使ったときのお約束の青緑ですね(笑)
fl=434mmと4/3”センサーの組み合わせはプレアデスにはちょうどよいくらいの画角になります。

続いてC8、20cmF10、fl=2000mmという長焦点での運用になります。架台はVIRTUOSO。
IMG_3761
導入の模様の動画はこちら↓

VIRTUOSOでのC8運用は重量ギリギリですし、ケーブルの取りまわし等にも注意が必要ですが、何とか可能だと思います。

M1 Gain500 4秒露出 120スタック ノーフィルター
M1 Gain500 4秒露出 120スタック ノーフィルター 2000mm
M27 Gain500 4秒露出 123スタック ノーフィルター 2000mm
M27 Gain500 4秒露出 123スタック ノーフィルター 2000mm
M31 Gain500 4秒露出 62スタック ノーフィルター
M31 Gain500 4秒露出 62スタック ノーフィルター 
M33 Gain500 4秒露出 140スタック ノーフィルター 
M33 Gain500 4秒露出 140スタック ノーフィルター 
M42 Gain500 4秒露出 100スタック ノーフィルター 2000mm
M42 Gain500 4秒露出 100スタック ノーフィルター 2000mm
M57 Gain500 4秒露出 85スタック ノーフィルター 
M57 Gain500 4秒露出 85スタック ノーフィルター 
M74 Gain500 4秒露出 150スタック ノーフィルター 2000mm
M74 Gain500 4秒露出 150スタック ノーフィルター 2000mm
M78 Gain500 4秒露出 46スタック ノーフィルター
M78 Gain500 4秒露出 46スタック ノーフィルター 2000mm
エスキモー星雲 Gain500 4秒露出 36スタック ノーフィルター
エスキモモー星雲 Gain500 4秒露出 36スタック ノーフィルター
ハッブルの変光星雲 Gain500 4秒露出 111スタック ノーフィルター
ハッブルの変光星雲 Gain500 4秒露出 111スタック
馬頭星雲 Gain500 4秒露出 164スタック ノーフィルター
馬頭星雲 Gain500 4秒露出 164スタック ノーフィルター 2000mm
まあ、いずれもスケール感はありますが、F10の暗さによる露出不足感は全体的に否めないですね。
あと、電視観望では中央部をトリミングすることも多いのですが、シュミカセはそのままでは像面湾曲が大きいので4/3”センサーの最周辺を強拡大するとこんな感じになります。
hidariuepinboke
あと、おまけ(笑)。明け方の地球照。
地球照2
VIRTUOSOだとAZ-GTiと違ってC8を搭載しても転倒の危険はないので、ギリギリ推奨できる案件かも知れません。モーターの駆動音も静かなのでそんなに負担かかってなさそうですし。

最後に、30㎝F5自作鏡筒+汎用赤道儀台+StarSenceExplorerのシステムにて
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StarSenceExplorerによるpush to導入は非常に楽しいですね! フリーストップ経緯台+汎用赤道儀台(ポンセット等を含む)のシステムにプレートソルブを組み合わせるのは、今のところStarSenceExplorerを使うのが最も手軽だと思います。

M27 gain500 4秒露出 100スタック ノーフィルター 30㎝F5
M27 gain500 4秒露出 100スタック ノーフィルター 30㎝F5汎用赤道儀台の追尾精度はAZ-GTiやVIRTUOSOとは段違いに良く、視野の回転も起こらないので、長焦点運用には非常に有利ですね。
汎用赤道儀台を使った追尾の状況↓

しかし、望遠鏡の架台がフリーストップ経緯台であるため、2000mmの狭い視野中心への導入はかなり難しかったです。本格運用には微動の必要性を感じました。

M57 gain500 4秒露出 51スタック ノーフィルター 30㎝F5
M57 gain500 4秒露出 51スタック ノーフィルター 30㎝F5
さらに、この30㎝F5鏡筒がもともと眼視用のため、やはり電視観望には不向きな点も散見されました。
meikou
筒先が短いのでこんな感じに迷光入ってくるし(笑)
筒先のフードか接眼対面部の迷光処理の導入が必要な感じです。

さて、いろいろなシステムでASI294MCを使ってみましたが、それなりに応えてくれ、汎用性の高さを再認識いたしました。やはり現状で電視観望にベストのCMOSカメラと言えそうです。

今後、ASI482MCがさらに高感度を発揮するようになればこの牙城を脅かすこともありそうなのですが、この辺どう展開していくかが依然として注目です!