こんな箱が届きました。
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先日の「天リフ超会議・見る天」の懸賞、SVBONY A賞に当選いたしました!
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SVBONY SV501 7㎝F6 fl=420mmアクロマート鏡筒です!
製品版は三脚付きのようですが、この賞品は鏡筒のみですね。

アクロマートということになりますと、当方の焦点はただひとつ

この鏡筒はデュアル・ナローバンド電視観望に使えるやつですか?

すなわち、レンズがC線とF線を一致させた古典的な設計になっているかどうか? です。

これを調べるために、QBP(Ⅱ)+UV/IRカットフィルターを用いたデュアル・ナローバンド電視観望をおこないます。
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UV/IRカットを入れているのはQBP(Ⅱ)が透過した赤外線によるピンボケを防ぐためで、この組み合わせにより実質的に赤外線を通さない仕様であるQBP(Ⅲ)と同じ状態になります。
CMOSカメラは最近”問題児”からの更生の兆しを見せ始めているASI482MCです。
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そのままでは最大に繰り出してもピントが合わなかったので、ボーグの直進ヘリコイドSを”延長筒”兼”マイクロフォーカサー”として使います。
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AZ-GTiに載せると非常に軽量・シンプルなシステムとなりました(この画像ではまだカメラを取り付けてません)。
この日は月齢17、透明度はまずまずのようでしたが、非常に雲が多く晴れ間が限られています。
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そして前述したようにアクロマートレンズ特有の赤外ピンボケを防ぐためUV/IRカットを入れているため、QBP(Ⅱ)の赤外透過アドバンテージがなく、銀河等の連続スペクトル天体は対象外となるため今回は輝線天体のみ。かなり見られる天体が限られます。

あとF6だから、通常使用しているF3.1の約4倍の露出時間が必要な計算。それだと普段4秒のところ16秒露出かな?
とか言ってるとM27のあたりが晴れてるかな・・・で。
M27  Gain300  16秒露出 15stack  QBP+UVIRカットフィルター
M27  Gain300  16秒露出 15stack  QBP+UVIRカットフィルター
あ、問題なさそうです。このレンズはC線とF線を一致させた設計のようですね! F6とやや暗いせいか周辺像も悪くないです。
ただし、ちょっと懸念している部分があるので少し拡大
M27  Gain300  16秒露出 17stack  QBP+UVIRカットフィルター
あー、やっぱりか・・・
kataboke
最大の800%に拡大するとこのように全面で同じ方向に青緑と赤の色ずれを起こしているのがわかりますね。これはおそらくCMOSカメラのピントを出すために大きくオーバーハングさせているので、それによるたわみが影響しているのでしょう。接眼部がプラ製でドローチューブのロックもないためこうなるんじゃないか、と思ってたのですが、案の定(笑)。

まあ、かなり拡大しなければ分からないので、晴れ間を見つけてもう少しやります。
NGC7293  Gain300  16秒露出  61stack  QBP+UVIRカットフィルター
NGC7293  Gain300  16秒露出  61stack  QBP+UVIRカットフィルター
星雲の写りとしてはこれも問題なさそうです。

さらに晴れ間を探して・・・
網状星雲  Gain300  16秒露出  36stack  QBP+UVIRカットフィルター
網状星雲  Gain300  16秒露出  36stack  QBP+UVIRカットフィルター
じゅうぶん捉えてますね。

で、この後は完全に曇り。
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まあ、3対象見られてSV501の輝線天体における電視観望パフォーマンスは大体わかったのでよしとします。

と言うわけでSVBONY SV501 7㎝F6アクロマート鏡筒を電視観望に使おうとした時の評価


1 レンズはC線とF線のピントが一致しておりデュアル・ナローバンドに好適(ただしその分対象が限定される)

2 F6はやや暗いが露出を多めにすることで何とかカバーが可能(ただしこの暗さが周辺像には有利)

3 接眼部の剛性が弱くたわむため星像が上下に色ずれする(ただし拡大しなければどうということはない)


といったところでしょうか?

電視観望スタート時点で初期投資を抑えるためのローコスト鏡筒としては、少し使いこなしが必要なものの、ギリギリ実用性がある、とは言えますね。

さて、あなたなら、このシンプルな万能選手の鏡筒をどう使う!?