このところ、SharpCapが毎週月曜日には更新されており、更新されるとASI482MCの挙動が必ず変わっているため試さずにはおれず、当然のことながら平日稼働を強いられるわけなので、この”耐久レース”に少し疲れてきてる気がしないでもないのですが、気がつくと望遠鏡を出しています(笑)。

検証に使用した光学系はSP140SS改、14㎝F3.1 シュミットニュートン、架台はAZ-GTiといういつもの組み合わせです。
この日は、雲のない快晴、月齢19で早い時間は月もない条件でしたが透明度が少し悪く、限界等級も2等がギリギリ見えるくらいでした。
さて、まだ薄明も終わり切ってないのですが、強引に電視観望開始(笑)。
ASI482MCをSharpCapで使ったとき設定可能なGainは0~600なのですが、これまでの使用では350を超えると変なところでホワイトアウトして実質使えなく、それがネックの一つになっていました。が、しかし、天体の導入前にGainと露出をいろいろいじってみたところ、今回の更新でGain450あたりまでは何とか使えそうな感触。というわけで今日はGain450で行こうと思います。
M17 Gain450 2秒露出 100スタック QBPフィルター ダークなし
しかし、わずか2秒露出でこの写り、やはりGain450が効いて482本来の高感度が片鱗を見せている感じです。
で、おもむろにダークを引きます。
M17 Gain450 2秒露出 100スタック QBPフィルター ダーク減算
ダークは2秒のやつのまま露出を延ばしてみます。
M17 Gain450 4秒露出 50スタック QBPフィルター 2秒のダークを減算
さらに倍!(巨泉風)
M17 Gain450 8秒露出 25スタック QBPフィルター 2秒のダークを減算

あ、やり過ぎた(笑)。ダークは合ってそうですが、輝度の高い部分が飽和してしまいました。他のCMOSでもそうですが、Gainを上げるほどダイナミックレンジが狭くなって、暗い部分を持ち上げやすい反面、このように明るい部分が飛んでしまうのですね。ASI294MCは14bitなのでその辺は強いのですが、482のような12bitでは対象によって適正露出が違ってきそうです。
しかし、M16ならM17ほど輝度の高い部分がないので同じ条件でもいけるのでは?
M16 Gain450 8秒露出 25スタック QBPフィルター 2秒のダークを減算
ここで素直に画質を求めて4秒露出でスタック枚数を増やし、ダークも4秒で撮影して減算。
M16 Gain450 4秒露出 100スタック QBPフィルター 4秒のダークを減算

うん、リアルタイムでここまで持ってこれたら文句ないですね。ただし「わし星雲」の「頭」に当たる部分がカスレ気味で、482例の特性?「ある程度以下に暗い部分の情報が切り捨てられている疑惑」があらわれているっぽい感じがしなくもないですが・・・
M20も沈む前に行っときます。
M20 Gain450 4秒露出 50スタック QBPフィルター 4秒のダークを減算
これもOK。反射星雲の出が悪いのはQBP使用だから仕方なし。この反射星雲の青を出すためにCBPが欲しいなと思ってたのだけど、あるとこでの比較画像ではQBPとあんまり変わらなかったんですよね。でもまあ、そういうのは自分で確かめないと、ですね。
7293なら暗いから16秒まで露出を延ばしてみようか。
NGC7293 Gain450 16秒露出 10スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
10枚スタックじゃまだまだザラザラ感がかなりあるから、スタック枚数増やして中央拡大。
NGC7293 Gain450 16秒露出 80スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算

いいですね。しかも、しかもですよ。本体の左上の部分に取り巻くガスがうっすらと写っているではありませんか!? これ今まで電視観望で出せたことなかったのです。ASI294MCを使ったときもです。ついに確信を持ってこの言葉を言う時が来ました。
ASI482MCはASI294MCより感度が高い
これは何と言ってもGain450が実用できるようになったことが大きいと思います。
で、気を良くして網状星雲(西)に行ったところで・・・
網状星雲(西) Gain450 16秒露出 4スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
網状星雲(西) Gain450 16秒露出 45スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
M31は天頂に近くて経緯台のXYでは追尾が不安定になり16秒では星が伸びてしまったため8秒で。
M31 Gain450 8秒露出 164スタック QBPフィルター 8秒のダークを減算
253の方向は16秒行けました。
NGC253 Gain450 16秒露出 90スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
自分は銀河のような連続スペクトル天体を電視観望するときもQBPを使うことがあるのですが、こういうHⅡ領域の表現を求めてのことです。
腕の中のHⅡ領域というとやはりM33でしょうか。
M33 Gain450 8秒露出 40スタック QBPフィルター 8秒のダークを減算

これはHⅡ領域が見えて来てる気がしますね! さらに電視観望において、フェイスオン銀河がこんなに彩り豊かに捉えられたのも初めてです。これもGainを上げた482のパフォーマンスのなせる技と言いきってしまっていいでしょう!
ただしQBPを銀河に使ってHⅡ領域を見ようというのも、それなりに明るい銀河での話。
891や
NGC891 Gain450 16秒露出 74スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
NGC1300 Gain450 16秒露出 40スタック QBPフィルター 16秒のダークを減算
というわけで、この辺で雲が拡がってきて終了。
SharpCapの更新によりパフォーマンスを少しずつ上げているASI482MCですが、今回はついに294を上回る高感度を断言できそうな結果となり、おおいに手ごたえがありました。
しかし、高Gainによって明るい部分は飽和、バックグラウンドや星雲の表現はザラザラで多スタックが必要、などかなり使いこなしが必要な感じで、まだまだお勧めCMOSカメラとは言えない現状ですね。
しかし、個人的な482の評価としては、超高感度とザラザラの粗粒子で一時代を築いたゲームチェンジャー・フィルム
コニカカラーGX3200
的な雰囲気が出てきた、と見ています。突出した部分性能とフォローが必要な弱点を併せ持つ、玄人好みのアイテムですね!
面白くなってきやがった・・・
***おまけ***
昇って来たばかりの月齢19の月の上を雲が流れてる動画を撮ってたら、またまた飛行機が飛び込んできました!

網状星雲の上の光の軌跡とは違ったインパクトがありますね!
なかなか狙って撮れない一枚をタナボタ的にゲットしたと言えます(ちなみ最近巷を騒がせている「合成」ではありません 笑)
しかし、こういう月をバックグラウンドにした画像をISSとかで、しかも”狙って”撮る人いますよね。
正直、信じられん超絶技巧だと思います!
コメント
コメント一覧 (2)
uwakinabokura
が
しました