CometBPフィルター、SV305 70ED鏡筒のような2枚玉アポでは星像が肥大する問題がありましたので、反射系対物で使ってみます。

まずはケンコーNEWスカイステージ改。76mmを70mmに絞った7㎝F4にケンコークローズアップレンズNo4のレデューサー(×0.82)で合成fl=230mm、合成F3.3とした仕様です。
SharpCapは当然12月6日に更新されたばかりの8418です!
IMG_4468
これにASI294MCを取り付けたときのピンボケ画像で4/3"周辺部のケラれを見るとこんな感じ。
no4 image circle
最周辺光量は70%といったところでしょうか。

しかし、星雲を強調しようとするとこの光量の落ち込みが大いに目立ってきます。
M45  16秒露出 20stack Gain390 CometBPフィルター
M45  16秒露出 20stack Gain390 CometBPフィルター
この日は非常に風が強かったのですが、その割になぜか透明度が悪くバックグラウンドのカブリも目立っていました。

同じ条件でのQuadBPフィルター
M45  16秒露出 20stack Gain390 QuadBPフィルター
M45  16秒露出 20stack Gain390 QuadBPフィルター
画像ではバックグラウンドのカブリによる周辺減光は同じくらいに見えますが、操作している体感上はQuadBPフィルターの方がわずかにカブリが少ないように感じました。

さて、この7㎝鏡筒での4/3”運用は少し厳しく感じましたので、鏡筒をSP140SS改14㎝F3.1シュミット・ニュートンにスイッチ(この鏡筒もレデューサーとしてクローズアップレンズNo4を使っています)。
IMG_3897
実はこの鏡筒でも4/3"だと少し周辺減光が出ます。SharpCapにはリアルタイムにフラットを減算する機能もあるのですが、向けた空の方向によってカブリによる周辺減光の状況がいちいち違うので最適のフラットを当てることがリアルタイムでは実質不可能です・・・この辺を「良きに計らって」くれる機能があれば、それだけにお金を払ってもいいくらいなのですが(笑)

さて、そのような事情でリアルタイムでフラット引くのは難しいので、実際の現場では少し中央拡大して周辺減光が目立たないようにしてます。たとえばこんな感じ
M33  16秒露出 40stack Gain390 CometBPフィルター
M33  16秒露出 40stack Gain390 CometBPフィルター
中央拡大によって周辺減光はそれほど目立たなくなっています。さらに、CometBPフィルターならではのカラーバランスのよさが落ち着いた雰囲気(?)を醸し出していますね!

さて、わたくしの一番好きな銀河、エリダヌス座のNGC1300をライブスタックの状態で放置して入浴。その間に200スタック(笑)
NGC1300  8秒露出 200stack Gain390 CometBPフィルター
NGC1300  8秒露出 200stack Gain390 CometBPフィルター
図鑑でこの銀河の写真を見たことが星を始めるきっかけの一つになっている、思い出深いやつです。しかし、この腕の特徴のある造形はまさに赤塚不二夫師匠の「おそ松君」の「イヤミ」の「シェー!」ですよね?(笑)

トールの兜  8秒露出 60stack Gain390 CometBPフィルター
トールの兜  8秒露出 60stack Gain390 CometBPフィルター
Synscanの表示では「Thor's Helmet」ですね。青緑が美しいです。

先にも言いましたが、この日は非常に風が強く、突風で望遠鏡が揺れてしばしばこのような「横伸び」の星像になってしまいました。
M42  8秒露出 20stack Gain390 CometBPフィルター
M42  8秒露出 20stack Gain390 CometBPフィルター
そのためM42はやる気をなくして早々に切り上げ(笑)

ばら星雲は何回かやり直した結果、何とか星が点像で18スタック確保。
ばら星雲  16秒露出 18stack Gain390 CometBPフィルター
ばら星雲  16秒露出 18stack Gain390 CometBPフィルター
ただし、このような赤一色のHⅡ領域ですと、CometBPフィルターを使う意味はあまりなく、QuadBPフィルター使用の方がバックのカブリ等の点で有利になると思います。

赤一色の点ではカリフォルニア星雲も同様。
カリフォルニア星雲  16秒露出 8stack Gain390 CometBPフィルター
カリフォルニア星雲  16秒露出 8stack Gain390 CometBPフィルター
これも左下に赤い迷光が入ってたので面倒くさくなって早々に終了(笑)

コーン星雲からクリスマスツリー  8秒露出 63stack Gain390 CometBPフィルター
コーン星雲  8秒露出 63stack Gain390 CometBPフィルター
このように青色が入っている天体に適性があると思います。

しし座が上がってきているので、獅子の鼻先にある2903で連続スペクトル天体の写りを再確認。これは春の銀河の先駆けとしていつも一番最初にチェックすることになりますね。
NGC2903  16秒露出 57stack Gain390 CometBPフィルター
NGC2903  16秒露出 57stack Gain390 CometBPフィルター
悪くないです。ここでふと思い立って、ノーフィルターを同じ条件でやって見ました。
NGC2903  16秒露出 57stack Gain390 ノーフィルター
NGC2903  16秒露出 57stack Gain390 Clearフィルター
なるほど、本日のように透明度が今一つの空の場合、CometBPフィルターによるコントラスト向上は認められそうですね。これが透明度の良い日なら当方自宅ベランダのような中程度光害地ですと、ノーフィルターの圧勝なのですが。

さて、そんなこんなで今一つ集中せずにグダグダやっていたのですが(笑)、実は明け方のレナード彗星が昇ってくるのを待っていたのです。
何と言っても彗星の発する光に特化した透過特性を持つCometBPフィルターですので、滅多にない目的内使用の機会を逃すわけには行きません。

現在はアークツルスの左下あたりにいるようですね。
IMG_4499
鏡筒の仰角はこれくらいになります。

さて、
レナード彗星  16秒露出 6stack Gain490 CometBPフィルター
レナード彗星  16秒露出 6stack Gain490 CometBPフィルター
とらえました! 青緑のコマとうっすらたなびく赤い尾が美しいですね。

あんまり長くスタックするとコマが上下に伸びてしまいます。
レナード彗星  4秒露出 61stack Gain540 CometBPフィルター
レナード彗星  4秒露出 61stack Gain540 CometBPフィルター
4分でこんなに移動するんだなー。地球にかなり接近しているので見かけの移動速度も速いのですね。
IMG_4503
(ビクセンのアプリ「CometBook」より)

もうすこし尾がはっきり出るかな、と思って普段一切やらない「後処理」(バックグラウンド補正等)をやって見たところ、
IMG_4502
核は飽和するわ背景はザラザラになるわで撃沈(笑)

この日は最後にM51を薄明の中確認していますが・・・
M51  16秒露出 32stack Gain390 CometBPフィルター
M51  16秒露出 32stack Gain390 CometBPフィルター
で強風による星像の暴れを確認して終了(笑)

と言うわけで諸々考え合わせ、やはりCometBPフィルターの特性を生かせるのは色収差の発生しない反射系対物である、という結論となりました! しかし同時にCometBPフィルターでも星がピンボケにならない屈折鏡筒の情報も求めています。

CometBPを屈折鏡筒で運用している方、ぜひとも教えてください!