最近は当たり前のようにAZ-GTiにC8を搭載してASI294MCで電視観望運用しているわけですが、バランスや耐荷重の問題、使いこなしの難しさ等からあまりお勧めできない内容となっています。

しかしながらC8にアンタレス・ブランドの×0.63レデューサーを使用した合成fl=1260mmでのスケールは天体のディーテール描写に大きな効果がある(と言っても電視観望レベルでですが・・・)のも事実であり、何とか簡易に運用できるノウハウの蓄積を目指して日夜トライ&エラーを繰り返しています。
では、まず問題点から行きます。
1 バランスが悪く、強風で転倒の恐れがある。
上の画像をご覧いただいても分かるように、鏡筒方向に少し力を加えると倒れてしまいそうですよね。これは事が起こった場合まず鏡筒が無事で済まず、大きなリスクと言えます。対策としては三脚の足をいっぱいに延ばして底面積を確保する。

これはある程度安定しましたが倒れた時のダメージも倍化、という両刃の剣(笑)。
後はもっと大きな三脚の開き止めを自作して交換、三脚が短いままで底面積を確保する、などの方法も考えられますが面倒くさくてやってないという・・・・
あと、VIRTUOSOですと、転倒の危険はまずないと思われるのですが、

上の画像のようにレデューサーなしのF10状態だと大丈夫なのですが、レデューサーとスペーサーをつけたF6.3状態では

かなりCMOSカメラが出っ張るために架台の底部に干渉して残念ながら使用できません。
続いて
2 AZ-GTiの追尾が安定する方向が限られているため露出時間が制限を受ける
AZ-GTiは経緯台のXY追尾で日周運動を追っていくのですが、天頂付近では導入・追尾とも著しく不安定になり、fl=1260mmでは実質的に使用できません。さらに赤緯に関係なく子午線付近では追尾がダメになるので対象天体が南中する一番条件の良い条件が生かせないのは少し厳しいですね。
体感的には水平と垂直のモーター駆動割合(?)が同じくらいになる地平線と南中の中間ぐらいが一番安定していて、1260mmでも16秒くらい露光してもずれない時がありますが、星を点に写すには通常4~8秒が限界、これが2秒しかダメな高度だと相当明るい天体でないと厳しいです。
3 風に弱い
これは三脚を伸ばしても縮めても同じなのですが鏡筒の慣性重量が大きいため少し風が吹くと振動がおさまらず、星が点に写りません。

これは特にひどい例(笑)ですが、突風が吹いた時なんかにやるとこんなになりますね。星が点に写らなかったフレームのをライブスタックから除ければいいのですが、SharpCapのフィルター機構をいろいろ試行錯誤してみましたができませんした(ただし自分が使いこなせてないだけでその機能はあるかも)。
ちなみに星がずれてない状態だとこんな感じ(以下、特に断らない限り、×0.63レデュサーを使用したfl=1260mm ASI294MC SharpCapによる画像処理になります。
M45(メローペ付近) 8秒露出 5stack Gain390 CometBPフィルター
4 バックグラウンドがカブリ気味の時にDSOを強調しようとすると中心に副鏡の影をともなった開口部形のカブリが出ることがある。
NGC2903 Gain540 8秒露出 16stack ノーフィルター(レデューサーなしF10)
鏡筒にビニール袋(笑)をかぶせて
原因が良く分かりませんが、接眼部から写真を撮ってみると
今度植毛紙でも貼ってみようかと思います。
ただ、×0.63レデューサーをつけた状態でフラット見ると
この状態だと、
NGC253 Gain390 8秒露出 6stack ノーフィルター
まあ何とか。しかし周辺減光はかなり出ています。
銀河などですと中央拡大によって周辺減光の部分を使わないこともできるのですが、
NGC1300 Gain390 4秒露出 407stack ノーフィルター
これがランニングマンのような拡がった対象ですと周辺減光が目立ってきます。
ランニングマン Gain390 4秒露出 14stack ノーフィルター
トールの兜も中央拡大で周辺減光を目立たなくできますが・・・
Thor's Helmet 2秒露出 80stack Gain540 CometBPフィルター
馬頭のあたりは4秒露出が可能でしたのでそれなりに・・・
馬頭星雲 4秒露出 50stack Gain540 CometBPフィルター
2903の辺りは16秒露出が可能でした。
NGC2903 16秒露出 105stack Gain390 CometBPフィルター
ちなみに上の画像、中央拡大なしではこんな感じ。
M81では16秒露出は不可能でしたので8秒露出で。
M81 8秒露出 84stack Gain390 CometBPフィルター
NGC3628 8秒露出 66stack Gain390 CometBPフィルター
ふくろう星雲になると8秒も無理でやむなく4秒露出。
M97 4秒露出 80stack Gain390 CometBPフィルター
M101では再び8秒まで可能に。
M101 8秒露出 10stack Gain390 CometBPフィルター
というわけで「C8+AZ-GTi」のシステムいろいろと欠点がある中でも最大のネックは
追尾が不安定なため、露出時間が影響を受け対象天体の選択肢がせばまる。
ですね。これがSP140SS(14㎝F3.1) のfl=434mmでは16秒露出でもコンスタントに星が点になってくれるので自由自在に観望対象を選ぶことができます。
うーん、どうしようか。いろんな方がやられているようにAZ-GTiを赤道儀モードで使うか? しかし経緯台モードならともかく赤道儀モードでC8を搭載するのは「過積載こそロマン」を標榜するわたくしでもさすがに無理感が漂います(笑)。
SP赤道儀にGOTO赤道儀のモーターのみ取り付けて「SP自動導入スペシャル」を作れないだろうか?
素直にGOTO赤道儀を買うか? それはそうとZWOからAM5とか言うやつも出るらしいですが・・・
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まあ、あんまりZWOに信頼感はないのですが(笑)
あと、言い忘れてましたが、4/3”センサーのASI294MCではセンサーサイズが17.3×13mm。2000mmでの実視界は0.5°×0.37°、1260mmでも0.8°×0.6°となり、この画角の狭さではまず視野内への一発導入ができません。したがってプレートソルブ機能が必須となります。
上の記事はSynScanで自動導入をする架台(AZ-GTiやVIRTUOSO他)にプレートソルブ環境を構築するやり方です。しかしこのプレートソルブ機能、うまく機能している間は非常に便利なのですが、うまくいかないこともあります、その時の対処法は
1 Gainを上げたり露出時間を長くして星を認識しやすくする
2 SharpCapのヒストグラムでバックグラウンドを暗くする
3 SharpCapを一回切って立ち上げ直す
などをやっています。何をやってもダメな時はダメですが、これで上手くいくときもありますので。試してみるのも良いかと思います。
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