当方のメイン鏡筒、SP140SSシュミット・ニュートンですが、レデューサーとしてケンコーのACクローズアップレンズNo4を使っています。
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これ、EOS用のTリングにNo4のレンズのみを内蔵するという定番流用なのですが、それですとレデューサーと焦点面の距離がEFマウントのフランジバックである「44mm」に固定されることになるのですね。これでもまずまずの性能を示しましたが、本来はもう少しレデューサーと焦点面を近づけたほうがいいのです。

そこで今回、TリングにNo4のレンズを内蔵する方法でなく、49mmのステップアップリング等を使って接続するやり方を試してみます。
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ステップアップ&ダウンリング、No4で、合計2750円です。

SP140SSのスライド接眼部には48mmのフィルターネジをつけてありますので、
①ステップダウン48→49 ②49mmNo4 ③ステップアップ49→48 ④48→M42  ⑤CMOSカメラ
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といった具合に取り付けることができました。この状態ですとレデューサーと焦点面の距離が約30mmとなり、EOSのフランジバックよりだいぶ短縮することができます。

しかしこのままでは「内ピン」でピントが出ず。少し鏡筒を延長して主鏡を後退させる必要がありました。

実はSP140SSではシュミット補正板と主鏡の距離が最適値よりだいぶ短くされている(鏡筒を短くするため)ので主鏡の後退自体はコマ収差が減って好都合です。30mmほど延長することに決定。

VU150の塩ビパイプで延長部分を作ります。広告の紙を巻いているのはパイプを直角に切るラインを描くためです。
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ていねいに切っていきます。
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高さは4cmほどになります。
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で、VU150の内径にはSP140SS鏡筒の外径がギリギリ入らないので、内側をノミとカッターナイフで削って行きました。
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実はこれをピッタリに削る作業が結構大変で所要時間は約3時間(笑)

ともあれ、何とか鏡筒に取り付けることができました。
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塩ビパイプですが、違和感はあんまりないですね。
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レーザーで光軸修正。
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ちなみにシュミット・ニュートンの場合、斜鏡を調整するのにいちいち補正板を外さないといけないので少し面倒です。

光軸があった状態でピントが出ましたので、ASI294MCにて近所の鉄塔を見てみます。
tyuuou
いい感じですね。中央の配電盤(?)を拡大して見ると・・・
tyuuou kakudai
悪くない気が。
次にこの配電盤を視野の右下に移動して・・・と。
migisita
この視野の端っこは4/3”の294センサーですと中心から1.5°くらいの像高になりますね。で、拡大。
migisita kakudai
うん、地上の景色で見る限り、フランジバック最適化により4/3”の視野全面にわたってシャープな像を示すようです。

筒先にスーパーの袋をかぶせてフラットを撮って見ました。
saisyuu flat
イメージサークルは少し広がってる感じもしますが、中央に斜鏡の影のようなものもうっすらと。実用上これが実際の電視観望でどのような動向を示すか、が焦点でしょうか。

補正板と主鏡の距離30mmプラス、フランジバックバック30mmの状態で光学シミュレーションしてみますと・・・
no4

フリーの光学シミュレーションソフト「POPS」を使用。光路図では焦点面が補正板の前に飛び出していますが、実際の鏡筒では光路は斜鏡で90°横に曲げられて鏡筒外に出ます。)

中心星像は約12μm、周辺(入射角1.5°)は約30μm、悪くはないですね。地上の風景を撮影した限りでは周辺もう少し星像がシャープな気もしますが、それは実用して確かめる必要があります。

さて、今回の小改造でSP140SSが「プアマンズ・イプシロン」にまた一歩近づいた?(笑)