ミラクルKさんのTMB152ED(D152mm F8)とPENTAX MS4赤道儀です。
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ミラクルKさんと言えばこのシステム。御園には毎回登場しそのたびに驚異の惑星イメージを見せてくれていましたが、今回はこれにズームアイピースをつけて主にDSOにおける最適倍率を得るという話です。

かつて眼視での星雲星団の観察には”極力低倍率で像を明るくする方がいい”というセオリーが支配的で、わたくしもそれを盲信しておりました。そしてその究極は瞳径7mm、双眼鏡の7×50というスペックの根拠にもなったりしています。

しかし、ここ20年くらいで実際の観察や海外での情報をもとにそのセオリーを見直す動きが拡がり

倍率を上げてバックグラウンドを黒く引き締めた方が淡い天体とのコントラストを視認しやすい

倍率を上げて淡い天体に面積を持たせた方が視認しやすい

などの実践的な内容が新しい運用方法になりつつあります。
↓Mel Bartels氏も倍率が重要な旨述べられていますね。


さて、問題はどのくらいの倍率が最適かが各天体によって違うことです。そこでアイピースの各焦点距離を揃えることになり、これも「アイピース沼」の一因となります(笑)
ズームアイピースがあれば1本で様々な倍率が得られるわけですが、以前は実用性のあるズームアイピースがなく、最近になってやっとマニアの使用にたえる高級ズームアイピースが登場してきました。

もちろんミラクルKさんクラスになるとズームアイピースにも最高のセレクションがなされているわけですが、具体的にはこれ。

ただしこれはフィールドスコープ仕様なので、望遠鏡の規格に取り付けるにはアダプターが必要となり、それをセットアップした商品もあるようです。

ま、いずれもお値段についてはご覧の通り(笑)。天体用としては8.9-17.8mmという換算になるようです(あと、ナグラーズームもなかなかよい、との話です)。

ちなみにあのutoさんも使っておられます!

さて、これをミラクルKさんの15㎝に取り付けた場合、67倍~135倍、瞳径2.3mm~1.1mmということになります。見かけ視界は低倍率側60°~高倍率側80°といった感じでしょうか。焦点距離を変えてもピント位置がほとんど変わらないのも優れた点のひとつですね。

これでM13を見せてもらい、いろいろ倍率を変えてみました。その時の変化が

①最低倍率側だと球状星団本体が明るく、見かけの大きさが小さい。シャープな対物のおかげで分離しているが、星は少ない

②ズームアップするにしたがってバックが暗くなり、球状星団の面積拡大も相まって星団周辺部の暗い星が浮かび上がり星数が増加

③さらに倍率を上げると暗い星が薄まってバックグラウンドの黒さに溶け込み、再び星数が減る

という挙動。
この中で「星が一番多くなる倍率」が15㎝におけるM13の最適倍率、と判断し、そこで止めることになります。

この時の目盛りをミラクルKさんに換算してもらうと(アイピースにはフィールドスコープの倍率が示されているので焦点距離は直接読み取れない)
「うーん、12mmくらいでしょうかね?」
との事。ということは15㎝F8(fl=1200mm)におけるM13の最適倍率は100倍、瞳径1.5mmの時ということになります(もちろんこれは超シャープな光学系であるミラクルKさんのTMB152EDの場合であって、そこまで鋭像ではない場合、もう少し低倍率側が最適になるかもしれません)。

で、ここでの最重要ポイントはズームアイピースの場合、星数の変化が連続的に観察できる、ということでしょうか。数本のアイピースを差し替えて最適倍率を探っていくかつての方法は自分も経験がありますが、差し替える作業の途中で前の倍率のイメージが薄れ、どうにも効率が悪い気がします。さらにローコストのズームでは焦点距離の変化に伴ってのピント移動が無視できなく(このライカのズームではほとんどピント移動しない)、ピント合わせ直しの際に同じくイメージが薄れますね。

ちなみに自分の持っているズームアイピースはこれですが

ズームによるピント移動はあるもののまあまあ少ないですね。このピント移動を手動フォーカサー操作でキャンセルし、ライカズーム的な挙動にすることも可能?

今度これを15㎝F8ニュートンに取り付け、M13最適倍率チャレンジをおこなってみたいと思います。
テーマは

果たして、SVBONYズームはプアマンズ・ライカズームとなるか?

です(たぶんならない? 笑)

しかし、SVBONYのズームアイピースもいろんな価格帯のものが出てラインナップも充実してきましたね。

今後、各種SVBONYズームアイピースによるM13チャレンジャー求む! です!