"Light Bukcet 18"45㎝自作ドブソニアンで知られるutoさんですが、5cmという最小クラスの反射望遠鏡を3種類も自作されています。、今回はじめてその実物を拝見することができました!
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まずは5cmF6トラスドブ。

これは5cmシリーズの中でutoさんが最初に手掛けられたもので、エドモンドオプティクスの5cmF6ミラーに木製のトラス、フォーク式赤道儀という唯一無二のスタイルになっています。
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本来、トラス鏡筒というのは大型の望遠鏡にて最小重量(コスト)で最強の剛性を実現するためのもの(アマチュア・ユースとしては、分解した時の容積が小さいので車載等がしやすいという副次的なメリットもあり)で、5cmといった小型望遠鏡には必要ないものですが、それはそれ。そんな理屈を超えた美しさがありますね!

重量バランス的には相当なトップヘビーですが、中空のフォーク部分に内蔵されたスプリングでそれをキャンセルしてバランスが成立し、フォーク部分を短くすることが可能になっています。

接眼部、斜鏡まわりはこのような状況!
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フォーカサーは升形の枠に刺したシャフトでクレイフォードとなっていて、この方式は米国ATMerの雄Jerry Oltion氏の考案したものだそうです。斜鏡金具や光軸修正装置などの細かさも特筆ものですね(自分はこれを見て、米粒に絵を描くミニチュア・アートを思い起こしました)。修正ネジのプレートはバルサ材を基本にしていて割れやすく、製作ノウハウを得るまでが大変だったとのこと。

utoさんの3台の5cm望遠鏡は全部そうですが、”漆風塗料”が何重にも重ね塗りしてあり、このトラスドブもまるで工芸品のような風合いで、下のようなフィギュア用のケースに入れると・・・
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秋葉原のお店で98,000円くらいで取引されていてもおかしくない佇まいとなります!(笑)
しかし、強風に見舞われた今年のスターフォーレスト御園では、このケースが仇となり飛ばされてしまったという想定外の被害も。壊れた箇所は何とか現状復帰できたというのが不幸中の幸いではありました。

そして2台目は5cmF4。

これの特徴は何と言っても主鏡・斜鏡とも「金コート」であること!
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正直、研究用ならまだしも、アマチュア用の望遠鏡で金メッキ、というのは他に聞いたことがありません。下のグラフにあるように”Protected gold”は500nm以下の光をほとんど反射せず、
(http://www.standaphotonics.com/coatings-section/metallic-coatings.php より)
それが結果としてあの金色の輝きとなるわけです。このutoさんの金コート5cmで地上風景を見せてもらいましたが全てが「夕暮れ風」に見えるという特殊効果(?)を味わうことができました。

それはともかく、金コートのどこにメリットがあるかと言うと近赤外の反射率の高さです。さらに光害の大部分を占める短波長成分を反射しないので、そのままで光害カットフィルター的な挙動を示します。utoさんはこの金コート5cmF4と、これまた赤外感度最強のASI462MCを組み合わせて、ノーフィルターでの近赤外電視観望を実現し、光害地のマンションの窓から各種銀河の検出をおこなわれています!(↓utoさんによる電視観望の例。様々な天体を検出されています)
 
自動導入がメインの電視観望において、手動導入、というのも独自のスタイル。また、かなり人口が多いと思われる光害地在住の天文ファンにとても勇気を与える運用方法ですね。正直、フォロワーが出てこないのを不思議に思うくらいです。

さて、続いて3台目、究極の5cm反射とも言えるのが、5cmF10 でしょうか。
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これは高倍率で月・惑星を見ることを目的に製作されています。

上の画像ではわかりにくいのですが、この望遠鏡の特徴はニュートン反射接眼部対面の乱反射を防ぐための”Light Trap”が装着されていて、コントラストを向上させていること。
下の画像の茶色い部分ですね。
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残念ながら今回のDSPにてこの望遠鏡で惑星を見せてもらう機会がありませんでしたが、utoさん自身は5cmとは思えない解像度での観望を日常的におこなわれています(iOptronのSkyTrackerに載っているので追尾もバッチリです!)。

以上、3台の5cm望遠鏡を紹介いたしましたが、utoさんの印象的な言葉が

「普段、自室の机の上で使ってるんですが、実際、こういう会場に持ってくるとちょっと勝手が違っていろいろバタバタしますね」

でした。これ、自分も実感していて、確かに

自分の楽しみの運用と、スターパーティ会場で人に見てもらう運用は別物

と思います。以降は自分の話ですが、特に自作品を使う場合や、市販品でも複雑なセットアップをしてあると、ちょっとした不具合がすぐ起こって解消するのに時間を取られたりしますので、こんな状況でデモを行うなんて無理だな、と。

今回、DSPには自分の電視観望セットは持ってこなかったのですが、その主な理由は運用オプションが膨大になっている上に複雑で不安定なシステムが多く、主に信頼性の面で人前では稼働できないかな、と思ったからですね。

その点、小海町で拝見したSamさんの電視観望デモとかはスピーディでマイナートラブルとか起こっても一瞬にして解決するので本当に凄いと思いました。自分もスターパーティ用に、もっとシンプルで信頼性の高いシステムを構築する必要がありますね。

何だか最後、自分の電視観望の話になってしまってすいません(笑)。