3Dプリンターですが、実は2021年の7月にこの激安なやつを買っていました。

当時、現物いじっていれば何とかなるだろう、と思ったのが大間違い、英文のみの説明書を見ながら操作しても全然書いてある通りにいかず(後日付属のUSBメモリーが壊れていたことが主な理由だったことが判明)、忙しさもあって死蔵すること1年余り、さすがにこれではいかんな、と重い腰を上げて再度取り組んだものです。

さて、このVOXELAB Proxima6.0ですが、すでに現行落ちしているのでしょうかね。上記のリンクでも値段が出てきませんが、自分の購入価格は16,000円くらいでした。この3Dプリンターは「光造形」というやつで「レジン」と呼ばれる液体状の樹脂を紫外線で硬化させることで造形していきます。
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もう一つの形式、熱硬化型の「FDM」と比べてきめ細かい仕上がりとなることが特徴のようですね。

さて、実際覚悟を決めて再稼働にチャレンジしたのですが、ネットでもこの機種の情報は少なく、他の光造形プリンターの情報を総合して、どうやら付属のUSBメモリーに必要な情報が入ってなく、そもそも接続が途中で切れる、の問題から始まり、stlファイルをプリントできるデータに「スライシング」するアプリ「CHITUBOX」のダウンロード、その初期設定不具合の解消、造形物の脱落・・・等々、初心者がつまづく様々な問題に小さく地獄を見つつ、最初のまともな造形物が完成!
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下のトレイに液体状のレジンが入っていて造形物は上の「ビルドプレート」に逆さづりにできてきます。今回は印刷完了まで4時間程度。やはりそれなりに時間がかかりますね。
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これは、NASAからデータが提供されているハッブル宇宙望遠鏡のミニチュアが部品になっているものです。組み立てるとこんな感じですね。
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(平行法で見るステレオ写真になっています)
非常に細かいところまで造形できているのが驚きです。

同じくNASAのデータでガッサンディ・クレーター
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こういう薄いものですと20分ぐらいで印刷できます。

さて、光造形タイプの「レジン」にもたくさんの色や種類があるのですが、造形後の洗浄にIPA(イソプロピルアルコール)が必要なものと、水洗いでよいものの2種類に大別されます。
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左端が通常タイプの黒色(IPA洗浄)、中央が(IPA)、右端が水洗いタイプの白色ですね。
水洗いタイプの方が少し値段が高いのですが、圧倒的に手間が少なくて済みます。通常タイプは値段が安いのですが(水洗いタイプの7割程度)割とIPAを使うので結局その分お金がかかるからコストは却って高い気が。臭いもきついですね。一回水洗いタイプを使ったら通常タイプはもう使う気がしません。そのため、以降の造形には、すべて白の水洗いタイプのレジンを使っています。

さて、まだ3Dのモデリングとかできないのでオリジナルの印刷はできません。ネットで公開されているデータを使ってプリントすることになります。3Dプリントのデータ共有サイトはいくつかあるようですが、自分は取りあえずThingiverseで見て見ました。

まずはここでフィギュア的なもののデータをダウンロードして印刷を練習します。
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スターウォーズのタイ・ファイター、BTTFのデロリアン・タイムマシーン、スタートレックTOSのクリンゴン・バトルクルーザーなどをやっています。

さて、これは何でしょう?
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答えは、スタートレックTOSのフェーザー・ガンです。おそらく実物大(笑)

パロマ―のヘール望遠鏡の印刷が仕上がったところ。
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これ、頑丈なトラス構造になっていて、特にトップケージの辺りはガチガチであるのが3Dプリントのミニチュアでも体感できます。
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さて、フィギュアの印刷も面白いのですが、そもそも3Dプリンターの導入理由が望遠鏡部品の製作なので、実用性のあるものも作らないと。

前述のThingiverseで検索欄に「telescope」と入力してサーチすると望遠鏡関連アイテムのみが表示されます。

ここ、順番に見ていくと130ページくらい(笑)ありました。多くの人が無料でデータを共有してくれていて、本当に頭が下がる思いです。

日本代表、にゃあさんもファインダーベース他のデータを共有しておられます。

もちろんダウンロード!

これも含めて、これはと思う20アイテムぐらいのデータをダウンロードさせていただきました。そのうちいくつかを印刷しています。
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小型のアリ型。もちろん金属製より剛性は劣りますがNEWTONYなどの軽量鏡筒なら使えそうです。
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24.5mm→31.7mmのアイピースアダプター。もちろん金属製の物が市販でもありますが、それよりずっと軽量で、万が一落下した場合のショック吸収も期待できそうでもあります。何よりアイピース一つ一つにつけときたいんで、これから量産していく予定。アイピース止めの穴にタップ立てましたが、この用途ではネジ穴の耐久性も問題なさそう。
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バーティノフマスク、それぞれFMA135用と、SV165用。こういう小径の細かいバーティノフは3Dプリンターの独壇場ですね!

さて、このように共有されているデータのプリントアウトのみでも最低限の実用性がありますが、やはりオリジナル部品を作ってこそ3Dプリンターが真価を発揮すると思います。自分は特に異径ネジによるアダプター類を作るのが一番の目的です。

すでにこのジャンルに関しては既に師匠とも言える存在の3Dプリンターの魔術師、yagiさん「36.4mmP1.0メス→36.8mmP2.0オス」とか作って練習して・・・と漏らしたところ
ものの15分ぐらいでデータを作ってファイルを送ってくれました!
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(yagiさんはモデリングにFreeCADを使っておられます)

これを早速印刷。

実はこれ、NEWTONYの接眼部にヘリコイドをつけるためのアダプターなのです。
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そのままでは、バックフォーカスが足りませんが、眼視ではバーロー併用、電視観望では31.7mm筐体のCMOSを使う予定。
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このように、アダプターを必要に応じて作れるようになれば、自作や改造の自由度が大幅に上がることになるのです。

ただし、現状ではこのオリジナルアダプターは、あくまでもyagiさんによる「他力」。本来は必要アダプターを自力でモデリングできるCADソフトの操作スキルが必要となります。

と言うわけで、先日ZOOM会議にてyagiさんが「FreeCAD講座」を行ってくださいました。

ただ、シベットが全くの素人のため、本当に操作上の「初歩の初歩」の内容にとどまりました。もちろんモデリングを自力でできるレベルには到底達しておりません(笑)。

モデリングについては

本当の戦いはこれからだ

ですね。がんばります!