2022年11月11日(金)~13日(日)にかけて開催された「八ヶ岳星と自然のフェスタinこうみ」に行ってまいりました。

 

昨年と一番違うのは役場とは別運営になったことだそうで、わたくしのような部外の一参加者の目から見ても昨年疑問に感じたことがほぼ払底されていて、大変楽しく充実した時間を過ごすことができました。改めまして実行委員会やボランティア等、スタッフの皆さまの並々ならぬ努力にお礼を申し上げます。ありがとうございました!


さて、それでは本日より数回にわたり、星フェスでの雑感を部分拡大的に述べて行こうと思いますので、よろしければお付き合いください。まずは今回の小海最大の衝撃、Zeiss 50/540です。


大事なことなのでもう一度言います。


Zeiss 50/540!


くどい(笑)。


小海星フェス、utoさん親子と共に訪れた第3駐車場の片隅にそれらはありました。

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いずれも他のいくつかの機材(APQ130/1000! など)と共にABE,Kenichiさんが持ち込まれたものですが、左が分離型のE、右が貼合わせ型のCの2本。ともにスペックはD=50mm、fl=540mmのF10.8となります。


これらにH-25mmで月を見せてもらったのですが・・・

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(覗いておられるのはLambdaさん)


えっ????


瞬間、死ぬかと思いました(笑)


月面の海の部分コントラストや諧調が素晴らしいのはもちろんのこと、ところどころがキラキラとした光を放っています。こんなの見たことない・・・


見ろ、月面のキラキラがホットピクセルのようだ!


さらに、ピントがここしかない、というピンポイントで合うのですが、ボケている像が結像した瞬間、コントラストがガツン! と一気に上がり、この時にゾクゾクっとする感じが未体験ゾーン! これを味わいたいがために、いったんピントをずらせて合わせる動きを何回もおこなってしまったほど!(笑)


分離型の”E”のほう(何と、錫箔が像を乱さないよう有効径5cmの円形マスクで周辺が絞られているため、接眼部から錫箔が見えない)が、貼り合わせのCよりごくわずかにコントラストや解像度がまさる感じがしたのですが、本当の僅差。やや劣る”C”でも、一般的な基準からしたらとんでもない見え味なのです。


これはすごい・・・”すごい”以外の言葉が見当たりません。

正直、鋭像のマクカセ、MAKSY60にBelomoのルーペアイピースを組み合わせて、クラス最強のコントラストと階調を得たぜ! と、それなりの手ごたえを得ていたのですが


Zeiss 50/540は5cmの単眼でそれを数段上回る見え味。この後、自分のMAKSY双眼で月を見たのですが、どうやっても月面のキラキラは見えませんでした。


Zeiss 50/540自体、自分は寡聞にして知らなかったのですが、ABEさんご本人によるバリエーション解説はこちら


 ざくたさんも持っておられたようです。


1960年代とかそういう時代のものらしいですね。


***


以降、小海から帰ってきてからの話。


当然、これだけの衝撃を受けたからにはZeiss 50/540が欲しくなってしまうのですが、販売の時代が時代だけにめったに市場に出回らなさそうです。しかし、どうしてもあの見え味を自分のものにしたいプアマンのわたくしは考えに考えたのです。そして・・・これや! 自分の手持ち鏡筒でZeiss 50/540に迫れる可能性があるのはこれしかない!


ハーシェル・ニュートン”中央無遮蔽”5cmF17!

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これは主鏡の研磨から始めて製作したのがもう10年くらい前なので、Belomoのルーペアイピースをつけて見たことなかったのですが、中央無遮蔽でもあるしコントラストの高いBelomoとの組み合わせなら、ひょっとしたら月面のキラキラが再現できる?


とりあえずまだ月が上がってないので、木星をBelomoとビクセンバローTの60倍で見てみますが、シーイングあんまり良くないものの非常に気持ちの良い結像で、とにかく模様が濃く見える。大赤斑も何とか確認できますね。土星のカッシニもギリギリOK。さて、この後月が昇って来たら、果たして月面のキラキラは見えるのか!?


というわけで月が昇るのを待ちバーローは外して倍率は30倍にして、と・・・

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どうだ!?

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おお! 上のコリメート画像には写ってないけど、眼視では月面にキラキラ状の輝きが見えるぞ!

Zeiss 50/540のE(分離式)のキラキラ度数を”レベル10”、C(貼り合わせ式)を”レベル9”とすれば、ハーシェル・ニュートンは”レベル6”ぐらいの感じではありますが、明らかに月面に点状の輝度の高い部分が見受けられます。この望遠鏡では今までも月を観望してますが、このキラキラが見えたことはありません。おそらくBelomoアイピースの効果ではないかと思います。あまりに感動したので30分くらい見入ってしまいました(笑)。

後で筒先から覗き込んでわかったのですが、主鏡はけっこう汚れていました。それで”レベル6”ですから、洗浄しさらにライト・トラップ等の迷光処理を行えば、ひょっとしたらZeiss 50/540Cの”レベル9”くらいまでは追い込めるのかもしれません。

それにしても、世界一ィィィ、とも言われるドイツの工業製品の見え味に自分で研磨した反射鏡で作った望遠鏡で迫れるなんて感動です。ハーシェル・ニュートン光学系最高ですか? この形式を考案した中村要さん、ありがとう!