F3クラスの高精度放物面鏡を製作・販売しておられるf3mirrorさんですが、鏡面のメッキや独自のリモートフーコーテスターによる鏡面精度の測定も行ってくれています。いずれもおそらく日本では最も安い価格での提供となっており、天文関係アイテムも高騰しつつある現代においてはたいへん貴重な存在と言えます。今回、自作の155㎜、fl=993㎜の鏡を測定していただきました。

結果は以下の通り

この鏡、90%より外側はダウンがあるのですが、それを含めても1/10λオーバーとのこと。自分で思っていたより修正がうまくいっていたようです。
右側の画像の下に「P-V(wave)=0.0293 at 555nm」というのがあってこれが鏡面の形状誤差になるとのことです。このP-V(wave)の数値が1の時1λとして単純に換算すると1/34λ。ただし、反射鏡の場合は反射により波面誤差は鏡面誤差の2倍になるので、P-V(wave)の値を2倍にして計算しますと波面誤差は1/17λ。この値が反射鏡に対して天文界隈で一般に使われている波面誤差になるようです。
n=1/(P-V(wave)×2)
でできることになり、以降、これで換算したλの値を鏡面精度の目安を表すために使用します。
さて、f3mirrorさんでは、この鏡について、鏡周の90%より外の部分を使わない場合の数値も計算してくださいました。

こちらですと「P-V(wave)=0.0177 at 555nm」ということで、上の公式で計算しますと1/28λということになります。つまり、φ155㎜を90%、具体的にはφ140㎜ぐらいに絞れば、あのミザールの1/20λ鏡筒の精度を超えてしまう!(笑)。これは是非ともに140㎜F7.1として使おうと思います。
ただし、面肌は少し荒れ気味とのこと。ピッチが硬めだとこうなるようです。確かに実際の作業でもピッチが硬く、なかなか鏡の中央部分が磨けず苦労しました。周辺のダウンもそれにより生じてしまったのかとも思います。このような面の荒れがあるとどうしてもコントラストを下げてしまうようですが、せっかくの面精度なので、富士オプティクス製19㎜の斜鏡にて中央遮蔽は14%の仕様で鏡筒を作ろうと思います。
さて、今後、中央無遮蔽のハーシェル・ニュートンと、中央遮蔽14%の140㎜ニュートンで、どこまで月・惑星の鋭像を追求できるか!?
***おまけ***
この鏡の他にも、76㎜のコスモキッズの鏡と105㎜のアストロスキャンの鏡を測定してもらっています。
まずは76㎜F3.7。これは一番最初に買ったコスモキッズ(同系列10台ほど所有 笑)の鏡ですね。

鏡周から過修正~負修正~過修正と、なかなか忙しい面(笑)で、換算1/2.8λ程度。コスモキッズ系は放物面鏡ですが、自分の所有しているものは、1/2λ~1/11λと非常にばらつきが大きくてある意味面白いですね。まあ、この鏡は精度の悪いほうになりますが実際100倍くらいで使う範囲では非常にシャープに見えていました。
続いて105㎜F4.4、アストロスキャンの鏡。

これも非常に面白い面ですね! 60%ぐらいのところにあるリングが趣を添えています(笑)。こういうリングは消す気になれば消せるのですが、製造時にそこまで時間をかけられなかったのでしょう。トータルで1/5λ程度にはなっているので、面が滑らかでありさえすればよく見えたと思うのですけれど、割かし荒れているので、見え味も「中くらい」なのではないかと・・・しかし、ナイフエッジ画像はワイルドな雰囲気を醸し出していますね!
この2つの面に関してはやや期待外れでしたが、自分では測定できない面の客観的な状況がわかるとやはり面白いです。所有する反射鏡の面精度を知りたい方には強く推奨いたします。今回は依頼してないのですけど、DOB6クラシックの面あたりは非常に高精度ではないかと思っています。
しかし、放物面鏡(またはそれを目指して修正した鏡)ってひとつひとつ個性があって非常に楽しいですね!

結果は以下の通り

この鏡、90%より外側はダウンがあるのですが、それを含めても1/10λオーバーとのこと。自分で思っていたより修正がうまくいっていたようです。
右側の画像の下に「P-V(wave)=0.0293 at 555nm」というのがあってこれが鏡面の形状誤差になるとのことです。このP-V(wave)の数値が1の時1λとして単純に換算すると1/34λ。ただし、反射鏡の場合は反射により波面誤差は鏡面誤差の2倍になるので、P-V(wave)の値を2倍にして計算しますと波面誤差は1/17λ。この値が反射鏡に対して天文界隈で一般に使われている波面誤差になるようです。
したがって、P-V(wave)のλへの換算は
n=1/(P-V(wave)×2)
でできることになり、以降、これで換算したλの値を鏡面精度の目安を表すために使用します。
さて、f3mirrorさんでは、この鏡について、鏡周の90%より外の部分を使わない場合の数値も計算してくださいました。

こちらですと「P-V(wave)=0.0177 at 555nm」ということで、上の公式で計算しますと1/28λということになります。つまり、φ155㎜を90%、具体的にはφ140㎜ぐらいに絞れば、あのミザールの1/20λ鏡筒の精度を超えてしまう!(笑)。これは是非ともに140㎜F7.1として使おうと思います。
ただし、面肌は少し荒れ気味とのこと。ピッチが硬めだとこうなるようです。確かに実際の作業でもピッチが硬く、なかなか鏡の中央部分が磨けず苦労しました。周辺のダウンもそれにより生じてしまったのかとも思います。このような面の荒れがあるとどうしてもコントラストを下げてしまうようですが、せっかくの面精度なので、富士オプティクス製19㎜の斜鏡にて中央遮蔽は14%の仕様で鏡筒を作ろうと思います。
さて、今後、中央無遮蔽のハーシェル・ニュートンと、中央遮蔽14%の140㎜ニュートンで、どこまで月・惑星の鋭像を追求できるか!?
***おまけ***
この鏡の他にも、76㎜のコスモキッズの鏡と105㎜のアストロスキャンの鏡を測定してもらっています。
まずは76㎜F3.7。これは一番最初に買ったコスモキッズ(同系列10台ほど所有 笑)の鏡ですね。

鏡周から過修正~負修正~過修正と、なかなか忙しい面(笑)で、換算1/2.8λ程度。コスモキッズ系は放物面鏡ですが、自分の所有しているものは、1/2λ~1/11λと非常にばらつきが大きくてある意味面白いですね。まあ、この鏡は精度の悪いほうになりますが実際100倍くらいで使う範囲では非常にシャープに見えていました。
続いて105㎜F4.4、アストロスキャンの鏡。

これも非常に面白い面ですね! 60%ぐらいのところにあるリングが趣を添えています(笑)。こういうリングは消す気になれば消せるのですが、製造時にそこまで時間をかけられなかったのでしょう。トータルで1/5λ程度にはなっているので、面が滑らかでありさえすればよく見えたと思うのですけれど、割かし荒れているので、見え味も「中くらい」なのではないかと・・・しかし、ナイフエッジ画像はワイルドな雰囲気を醸し出していますね!
この2つの面に関してはやや期待外れでしたが、自分では測定できない面の客観的な状況がわかるとやはり面白いです。所有する反射鏡の面精度を知りたい方には強く推奨いたします。今回は依頼してないのですけど、DOB6クラシックの面あたりは非常に高精度ではないかと思っています。
しかし、放物面鏡(またはそれを目指して修正した鏡)ってひとつひとつ個性があって非常に楽しいですね!
コメント
コメント一覧 (2)
月惑星・重星において、無敵のシャープネス(笠トレ風に)と表現出来そうです。
星雲星団・彗星の直焦点でも、オールラウンド的に使えそうですね。
F7クラス・ニュートン。
架台は、何を使われるのでしょうか?
uwakinabokura
が
しました