ビクセンの古い望遠鏡をヤフオクで手に入れました。
10cmF10の反射経緯台です。
おそらく・・・1970年代前半の「クエーサー型」じゃないかと思いますが、自信がありません(笑)。

こんな荷姿で送られてきた。
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これは元箱ですね。この裏側に1972年・・月・・日って、書いてあったから、これが購入年月日だとすると、40年も前のものになりますね。
僕が所有している望遠鏡の中では五藤の2吋半望遠鏡に匹敵する古さといえます。

開けるといきなりこれでした。

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2010年の8月に誰かが親切に書いてくれたみたいで・・・・・(笑)

さて、三脚ですが、少し細めの直脚になります。

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石突が今まで見たこともない、ナイフ状(?)の形式。

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下が土とかの場合に、思いっきり突き刺して安定させる、ってことでしょうか。

さて、三脚を取り出すと、その下には鏡筒。

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数箇所小キズはあるものの、まあまあきれいな状態。上下微動棒も見えますね。

箱の隅には、架台や、付属の純正アイピースも見えます。

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架台はフォーク式の経緯台、水平はタンジェント方式の部分微動です。



下に突き出してる銀色の長い棒が、何と「微動ハンドル」! この形も見たことないです。

付属アイピースはK20mmとHM6mmで、Kの方は珍しいアルミバレル。
Vixenのロゴが筆記体なのが何ともカッコよく・・・・



このロゴは三角板や架台も同様で・・・・・



とどめは、付属スパナにも!

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鏡筒のほうは、接眼筒のラック&ピニオンもスムーズで、アイピーススリーブの「スリ割り」がシブい!

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ファインダーも結構いいものがついてます。

組み上げるとこんな感じ!
ちなみに鏡筒回転をしないのであんまり関係ないけど、鏡筒の真円度はあまりありません。




耳軸の位置がかなり鏡筒の後ろにあるので、前が重いですね。
この形式はわざとバランスを崩して上下微動に荷重をかけ、バックラッシュをなくす作戦でしょう。
当然のことながら手を離すと鏡筒が「おじぎ」するので油断禁物(笑)です。全体像はこんな感じ。
立って見ると、ちょうど接眼部が目の高さぐらいになります



やっぱりカッコいいなあ! 実はこの形の望遠鏡が一番好きなんですよね。
前から、上下微動つきの古い「反経」が欲しくて、探してたんだけど、やっと入手できました!


次に、ちょっと残念だったところ・・・・・

鏡は割ときれいだったんですけど、

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ん? 何だか、鏡押さえが当たる部分のメッキがはげてる気が・・・・・

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そして裏返してみると、ガーン!!

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鏡押さえの下の3方向のガラスが
砕けとる!
あー、もう! こんなになるまで締めこんじゃって・・・・

とは言うものの、まあ、大丈夫だろう・・・・で鏡を洗った後元通り組み付けました。
この程度なら光学性能上は全く影響ありません!・・・・・・って、それじゃ 「Kトレーディング」 か(笑)

ちなみに鏡材は白っぽく見えるけど、パイレックスではないみたいだ。
かといって、もちろん青板でもない。
ミードのドブソニアン、スターファインダーの鏡材によく似てる、何だか安そうなインゴットガラスです。

ま、最悪この鏡がダメでも、10cmF10の鏡は別のを持ってるから、換装すれば良いですしね。

あと、鏡筒内部に錆が出てるとこがあるし
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真ちゅう製と思われる斜鏡スパイダーに、少し緑青が吹いてたりもしましたが、この程度はご愛嬌。
全体的には非常に程度のいい中古、という印象です。

実は、鏡筒内部は再塗装されてるような気もするし、主鏡押さえが鏡面を押さないようワッシャの枚数が調整されてたり、ラックピニオンにオイルがさされてたり(上の画像でもそれがちょっと流れてるのがわかります)、またいろんなネジ類が新しくなってたりと、誰かがレストアしたような形跡も散見されます。

冒頭の「サングラスの注意書き」もその人が書いたのかも知れないですね。


さて、やはり望遠鏡は「使ってナンボ」なので、薄曇・強風の中、強引に星を見てみました。

まず、火星を見てみましたが、あまりにもシーイングが悪く鏡面の性能がどうなのかサッパリ分かりません。
ただ、恒星で焦点内外像を見るに負修正の感じがするので、やはりこのクラスのセオリーとも言える球面鏡なんでしょうかね。

月面は全く問題なし。
これを見ると「使える」面のような気もします。
付属のK20mmに付属のムーングラス(!)を入れてコリメート撮影してみました。

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あと、ファインダーは非常にスッキリとよく見えるのですが、僕のように利き目が左の場合、ついつい頭が当たりそうになってしまうのが気になります。

さらに、架台の微振動がなかなか収束しないので、風が吹いてるとまともに見てられません。
これが一番の欠点かな・・・

微動装置は、少し動かすのに結構たくさん回さないといけないのと、やや動きが堅いのが気になりましたが、なんとかストレスを感じずに追尾ができるレベル(ただし、水平微動は少しバックラッシュが大きいです)。

望遠鏡を振り回しても、接眼部と微動ハンドルの位置関係がほとんど変わらないのは使いやすいですね。

総合的に見て、上手く使いさえすれば、今でも十分実用性のある機材だと思います。
(かなり「コツ」はいりますけど)
もし今後の調整で、架台の微振動が減らせれば、グンと「現役度数」が上がるでしょう。

・・・個人的には、カッコいいので少々のことは許す! ですが(笑)。