さて、鏡面加圧式副鏡が行き詰って以来、グレゴリー・ナスミスの方は頓挫しておりましたが、この度、新しいレイアウトを思いつきました。
名づけて、向かい合わせニュートン・グレゴリーです! 光路図はこんな感じ↓

続いて恒例の(?)3D画像(平行法でご覧ください)


名前のとおり、大小二つのニュートン式の接眼部同士をくっつけることによって、グレゴリーのように再結像させます。
この方式はすでに考え付いた人もいるかもしれませんが、もし万が一世界初だったとしても著作権は主張しませんので(笑)、スペックを公開しておきます。光学ソフトをお持ちの方はシミュレーションしてみるのも一興かと。

1st:505mm主鏡(曲率半径4472mm 円錐係数0.85)  面間隔 1824mm
2nd:短径100mm斜鏡 面間隔 500mm
3rd:短径20mm斜鏡 面間隔 248mm
4th:76mm副鏡(曲率半径560mm 円錐係数1.0208)
合成焦点距離 11180mm  F 22
バックフォーカス:1680mm 中央遮蔽:30%程度

さまざまなトレードオフから視野中央のみ100%光量を確保(イメージサークル0度?)。周辺に行くにしたがって減光していく仕様です。ニュートン式で、できるだけ斜鏡を小さくするために、けっこうこれをやってきましたが、眼視では周辺減光はわからないのでOKとしました。写真じゃだめなんでしょうけど。
この設計では、副鏡にはほぼ放物面(わずかな双曲面?)を使うことになりますので、いくつか持っているコスモキッズの主鏡、76mmFL280mmのパラボラ鏡のうち下のものを使います(わたなべさんのRFTで測定していただきました)。

この鏡は放物面基準で考えても、1/9.86λの良鏡ですが、やや過修正なので、1.0208基準だともっと精度がいいかも知れません。中央がちょっと変なのですが、今回中央遮蔽が30%程度なので、ほぼ問題ないかと。
さて、完成・使用想像図はこうなります。
395292e4.jpg


合成FLが11mにもなりますので、最低倍率が、自作3インチErH75mm149倍(実視界0.37度)となるのが、やや苦しいところですが、最大のメリットは主望遠鏡のニュートン式レイアウトに手をつけることなく、接眼部に「グレゴリー・ユニット」をボルトオンすることで接眼部の位置を下げ、50cmクラスでも脚立を不要にすることができることでしょうか。
「グレゴリー・ユニット」は少し長くなりますので、経緯台の上下微動棒みたいなロック式のリンクを取り付け、それぞれの仰角によって、使用者の使いやすい高さに接眼部を固定する予定 です。少し斜め上方向を見ることになりますが、観察者の目の位置に持って来ることができるので、それほど苦しい姿勢にはならないと思います。また、45度程度の仰角以下なら、ほぼ水平に見ることができるはずです。

 ただ、主望遠鏡とグレゴリーユニットが平行な時は「正立像」なのですが、2つのニュートンの連結部分を回転させると、像の「倒れ」が発生します。そうすると仰角によって鏡筒の操作による視野内の動きが違ってくるので、鏡筒を振るとき、ちょっと混乱するかも・・・・という懸念もあります。

あと、主望遠鏡とグレゴリーユニットをそれぞれ独立してレーザー等を使用して光軸を合わせ(ニュートン式の要領で)した後、2つを連結すればいいので、グレゴリー・ナスミスでは懸案となっていた光軸合わせの問題をだいぶ単純化することができました。

  さて、まずはF22のプロトタイプで性能や使い勝手を見当つけてみたいと思いますが、もし実用性がありそうでしたら・・・・・
 
次の段階として、もう少し各部を理想化したシミュレーションも行っております。

この図では、副鏡に「 114mmF3で球面寄りの楕円面(-0.4程度) 」を想定しています。これですと、FL=5237mm F10.4 バックフォーカス1143mm程度のものが作れそうです。ErH75mmですと70倍(実視界0.8度)となりますので、これなら50cmの最低倍率としては不満のないところですね。また、中央遮蔽も26%程度にできます。

もちろん、114mmF3の楕円面なんかどこにも売ってませんので、それなりの出費をして特注か、自作か(いずれもハードルが高いですが  笑)ということになります。

シミュレーションはいろいろできるのですが、望遠鏡自作では入手可能な光学エレメントの制約を受けますので、これをどのように解決していくかが大きなテーマになりますね。もし、何かの流用がピタッとはまれば、それはもう最高です( こういうとき、双望会関係者の間では「天にも昇るような気持ち」byOさん、と言います )。


****おまけ

POPSのデータ集にあった「モディファイ・グレゴリー」でもシミュレーションしてみました。


この方式は、2ndミラーのところで光軸が90度クロスするのが面白いですね。ただ、問題は本体の鏡筒トップリング部分を、もとのやつより少し長めに新規製作する必要があるのと、2ndミラーのハウジングを工夫して中央遮蔽を減らす必要があることです。

 バックフォーカス:1030mmなので、だいぶコンパクトにできそうなのがメリットですが、残念ながら工作的な難度がだいぶ上がりそうですし、ニュートン式との互換性もないので、あまり現実的ではないかもしれません。
 
 さて、向かい合わせニュートン・グレゴリー、どうなりますか!?