2年くらい前に、「TANZUTSU  D=76mm  fl=600mm 」赤鏡筒を入手していました。


結局、部品取り用となっていました( 主鏡セル等を、写真鏡筒に利用 )。

ただ、日本製で各部のクオリティが高く、改造用と部品取り用を兼ねてもう一本欲しくなったので、ジャンク品を安く手に入れました。

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今度のは黒鏡筒ですが、1本目と同じく、「 tasco 」ブランドです。

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この望遠鏡は、斜鏡とアイピースの間にアクロマート(?)の凹レンズがあり、このレンズでfl=280mmの球面主鏡の焦点距離を600mmまで伸ばすとともに、球面収差を補正する、という設計です。

( 筒先にあるのは斜鏡保持用の平行平面ガラスで、収差補正の機能はありません )
純ニュートン式ではなく、補正レンズ付きの「 カタディオプトリック式 」となります。

で、改造する前に 一応 ノーマル状態での見え方を確認しておこうと思い、ポータブル赤道儀に載せて、土星等を見てみました

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Or4mmで150倍となります・・・・・で・・・・

あれ・・・・・!? すごいシャープですが・・・?  


土星の輪のエッジが立っています。カッシニも見えるし、もう一本の赤鏡筒とは全然違う鋭い像です。

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( iPhoneのカメラでコリメート。 全然シャープには写ってないけど、一応・・・・・ )

「 TANZUTSU 」の光学性能、まさかの大幅個体差です。
( 理由はわからないのですが 赤鏡筒のほうは平行平面ガラスの精度に問題アリ、の可能性が一番高いです )

こうなると欲が出てきて、2倍バローで300倍まで倍率を上げてみます・・・・しかし、これはボケボケで全然ダメでした。第一、ピントが合わないです。
では、LV2.5mmダイレクト、240倍では・・・? これも同じくボケボケ。


どうやら、補正レンズが凹レンズ系なので、バローレンズや、スマイスの入ったアイピースとjは相性が悪いのでしょうかね。普通のOrダイレクト使用が一番よさそうです。

比較対象として、先日、放物面に換装した写真鏡筒( http://blogs.yahoo.co.jp/jzd01063/archive/2016/06/07 )を出してこっちでも土星を見てみました。fl=280mmに2倍バロー+Or4mmで140倍、ほぼ同倍率です。

で、惑星の見え方と比較してみますと、「 TANZUTSU 」が、ごくわずかに劣るのですが、本当にわずかの差です。光学エレメントをクリーニングし、もっと光軸を追いこめば、ひょっとして同じレベルに到達するかもしれません。

何より、球面の主鏡をレンズで補正すると設計し、設計どおりのパフォーマンスが発揮できるレベルに光学・機械部品の精度を実現していることに感動です。
実は補正レンズを取っ払い、放物面鏡に換装して、2インチ接眼部をつけて・・・等の改造を考えていたのですが、そんな罰当たりはとんでもない、これはもう、オリジナル状態をファインチューンして使うのが礼儀のような気がします。大げさかもしれませんが、この鏡筒には、そういうことを考えさせる雰囲気がありますね。

褒め過ぎて、レイメイRXA100の時みたいに、中古相場が 暴騰 したら困るんでこの辺にしときます(笑)。