±5.8″の高精度を実現したSP赤道儀+さかい式DCモーターのシステムですが、5.8秒の範囲での追尾の進み遅れについて現状把握をおこないます。

さかい式モーターのPECですが、ウォームギアの偏心によるピリオディック・モーションの動向を正弦波とした場合、

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それと反対の位相を持つ余弦波で、

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モーター速度をコントロール( 実際にはいくつかのステップに分けて数値を入力 )し、相殺するというものです。

ピリオディックモーションは様々な要因によって発生し、実際には単純な正弦波ではなくもっと複雑な形になるのですが、もっとも大きな影響のある、ウォームギヤの偏心をこれでキャンセルできます。

このPECはモーターのスイッチを入れた時、速度が±0の位置からスタートしますので、実際の赤道儀のピリオディックモーションを同期させるには、歯車の位置を合さなければなりません。

そのため、最終減速のプラ歯車にこのようなシールを貼ってあります。

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白いシールに付けた印の延長線上に小さな歯車のシャフト中心が来るように置いてからスタートさせると、PECが最適に動くようです。この歯車のシールの位置と、ピリオディックモーションの関係性は次のような感じです 。


( 星の軌跡はPEC最適化後のもの。 )

Aの部分はほぼ完璧。ここを使えば4~5分の露出も可能と思われます。
Bの部分は緩やかな変化になりますので、fl=405mm、2分程度の露出時間では追尾エラーはわからないですね。
問題はCで、ここにかかると、単位時間当たりの追尾エラーが大きいために、405mm、2分露出でも流れます。

テスト撮影結果は以下の通り。
  

 
 
          Aの部分                Bの部分                 Cの部分 
( いずれも 14cmF2,9 fl=405mm 2分露出 ISO200 M42部分拡大 EOS KISS X2 )

FL=405mmでの運用は、2分露出を5枚撮って、4枚成功、1枚ガイドエラー、といった「 歩留まり 」になりますね。

ちなみに、上のAの全体像はこんな感じになります。

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( jpeg撮って出し )

月齢11.4、さらに光害地での撮影なので、感度をISO200まで落としてありますが、階調が豊かになる気がしますね。

さて、Aの部分を使えば、ひょっとしてもっと長焦点でもノータッチでいけるんじゃないかと思って・・・・・・

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140SSのレデューサーを外した、fl=500mmに、ビクセンの2×バローT、合成fl=1000mmで、試しに撮影してみました。

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 ( 合成F7.1 ISO800 2分露出 コントラスト レベル 彩度 調整 )

星像を部分拡大してみたところ・・・・

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うーん、1000mmの2分露出、うまく追尾できてそうな気もするんですが、カメラがオーバーハングしすぎてお辞儀しているようで、コマ収差が出てますね。
なんだか星象が「 バーストしたホームズ彗星 」みたいになってます(笑)。
これじゃわからないなあ・・・・・

次回、10cmF10あたりのシャープな光学系でリトライしてみようと思いますが、部分的にせよ、1000mmのノータッチが可能であるということになれば、かなり運用上の展開が開けてきますね。
ビクセンSP赤道儀、侮りがたし! です!

・・・・まさか最近の当ブログでの一連の記事により、SP赤道儀の相場が上がったりしてないですよね・・・?