さて、今回は GINJI-150FNの写真性能② ケンコー・クローズアップレンズをレデューサーに使った場合のマッチング、特に周辺象の改善についての実験結果をレポートします。

887cfa70.jpg

 eb567058.jpg


GINJI-150FN、15cmF4 fl=600mmに、クローズアップレンズNo3、4、5 をレデューサーとして使い、中心星像と周辺星像を強拡大してみました。
( 共通データ:15cmF4 fl=600mm  30秒露出 ビクセンSP赤道儀によるノータッチガイド キャノンEOS KISS X2 ISO1600 JPEG撮って出し )

まず、レデュ―サーなし fl=600mm F4です。
50eb187a.jpg

左が中心星像、右が写野右上スミの星像になります。

さすが、F4だけあってコマ収差がすごいですね。

続いて、No3(fl=330mm) 0.86倍 合成fl=519mm 合成F3.4 です
e48fca05.jpg

だいぶコマが小さくなりました。

No4(fl=250mm) 0.82倍 合成fl=493mm 合成F3.2
99cbb22e.jpg

さらにコマが補正されましたが、まだ中心星像の3倍はありそうですね。

No5(fl=200mm) 0.73倍 合成fl=437mm 合成F2.9
e56fb1fa.jpg

なんだか、かえってコマが大きくなった気が・・・そして、クローズアップレンズの球面収差でしょうか、中心星像もわずかに肥大している気がします。

というわけで、15cmF4用のレデューサーとしては、クローズアップレンズNo4が「最適! というところでしょうか。

しかし、140SSシュミット・ニュートンでは、クローズアップレンズNo4をレデューサーに使った場合、中心星像、周辺星像それぞれ次のようになります。

14cmF3.57 クローズアップレンズNo4(fl=250mm) 合成fl=405mm 合成F2.9
c0c200a7.jpg


これを見ると、シュミット・ニュートンのほうがかなり周辺星像がいいようです。
シュミット・ニュートンは、補正板が筒先絞りの働きもするため周辺減光が発生し、その分コマ収差も減っていると考えられるのですが、それを割り引いてもパフォーマンスの差はありそうです。

実は、通常のニュートン式に対するシュミット・ニュートンのアドバンテージを確認するために、GINJI150FNのレデューサー実験をおこなったのですが、想定どおりの結果となっています。
ひょっとすると質の良いコマコレクターを使用すれば普通のニュートン反射でも、もっと周辺星像はよくなるかもしれないのですが、F3以下の明るい光学系にはできないと思います。

シュミット・ニュートンなら、ケンコーのクロースアップレンズとの組み合わせで、通常のニュートン式と比較して良像範囲が広く明るい光学系が得られる、ということが証明された今回の実験でした!

しかし、もちろん普通のニュートン反射でも、クローズアップレンズは周辺像改善にかなりの効果がある事実に変わりはありません。

今回、最も結果の良かった、No4でのフル画像を掲載しておきます。

7d28bdb5.jpg

( 15cmF4 fl=600mm クローズアップレンズNo4 合成fl=493mm 合成F3.2 30秒露出 ビクセンSP赤道儀によるノータッチガイド キャノンEOS KISS X2 ISO1600 JPEG撮って出し )

このサイズで掲載する限りは周辺星像の崩れもほとんど分からないですし、何といっても周辺減光のないのが素晴らしいです。
現行商品であり、比較的安価に入手可能なGINJI-150FNとクローズアップレンズで、合成f3.2のハイスピード・アストロカメラが実現するわけで、これは相当にコストパフォーマンスが高いと言えます。

14cmF2.9の140SS改を所有する当方ですが、撮影対象によっては15cmF3.2のこの光学系をチョイスする場面もあるかもしれないですね。

笠井トレーディングのサイトを見ると「 写真用 」として宣伝されているGINJI-150FNですが、ネットで見ると接眼部や鏡筒の剛性不足などが云々されているようですね。
まあ、確かにそれなりの重量物であるカメラが相当オーバーハングするので、たわんでいるかもしれないですが、撮影した写真を見る限りではあまり影響してないような気がします。
個人的には、イメージサークルの広さや、バックフォーカスの長さによる発展性、鏡筒が軽いので搭載する赤道儀を選ばない、など、直焦点撮影用としておすすめできる内容になっていると思うんですけどね。



***おまけ***

クローズアップレンズNo2(fl=500mm)がNo5にねじ込めたので、オプションとしてNo2+5のレデューサーを試してみました!

No2(fl=500mm)+No5(fl=200mm) 0.61倍 合成fl=366mm 合成F2.4
049e8d43.jpg


a5039559.jpg


中心星像も周辺星像もかなり景気のいい感じのM42になってます(笑)。