さて、55cm双眼望遠鏡のメイン・イベントと言えば、M42を置いてないでしょう。

M42のような輝度の高い天体は色を持って見えるのですが、中心部の一番明るいところが、青緑色、周辺部のやや暗いところがエンジ色に見えるというのが通説です。実際、大口径では自分もそのように見えます。

人間の目で色を感じる錐体細胞は、感度が低いのでそこそこ明るいものでないととらえることが出来ません。通常、感度が高くて色を感じない桿体細胞がメインになった暗順応の状態では錐体細胞が働いてないので、色を感じにくい、と言われています。

そこで、明るい室内から外へ出た直後の明順応が残っている状態が、天体の色を感じやすいと報告されたりしていますが・・・・・ここである作戦を考えました!

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その作戦とは、このように、パソコンモニター等の
明るい画面をしばらく見た直後に望遠鏡をのぞき込む
、という今までの観望の常識から言うと考えられない方法です。

しかし、これをやってみると・・・・・・・!

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( 写真を眼視風に加工し、さらに色調補正等で当日の色再現をおこなってみたもの )

なんと、M42従来のエンジ色に加えて、鮮やかな緑色がところどころに浮かび上がってくるではありませんか! もともと55cm双眼でM42を見るとわけがわからなくなるくらい複雑な構造が見えるのですが、それに色がプラスされてとんでもないことになっています!

しかし、なぜかそれは数秒間のこと、ジワーっという感じで暗順応していくと、色は通常の中心青緑、周辺エンジというカラーリングに戻っていきます。
そこで、何回かこの動作を繰り返してみましたが、やっぱり鮮やかな緑が見えますね。

この無茶な実験に参加してくださった、にゃにゃにゃさん、大阪のKさんも、やはり色が違って見えるとの感想を残しておられます。

でも、あまりにも色が見えなくなるのが早いので、明るいパソコン画面の残像が補色で残っているだけの可能性もあります。いろいろな方の見え方をお聞きしたいと思いますので、興味のある方は「 明順応で色見る実験 」をぜひやってみてください!