個人的に原村星まつりのシンボルと言える望遠鏡はやっぱりこれかな。

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バーティノフマスク、アボダイジングスクリーン等のオプションも完備、イレクターと木材で作り上げられたこの黄色い姿を見ると、原村に来たなあと実感できる一台。

細井光学33cmF7.4ミラーを搭載した、Oさんの電動ドブソニアンです!

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水平、垂直駆動のギアとして円形に曲げた寸切りボルトが採用され、今年はバッテリー寿命節約の為についてなかったのですがモーター駆動で自走する様はさながら動く城!


この望遠鏡は、このクラスでは今となっては珍しい、F7.4という長焦点の光学系が使われているのですが、今年は低倍率用のトップケージを新規製作しておられました。

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右に取り外されているのが、従前の「ノーマル」トップケージ。
望遠鏡に取り付けられているのが、ボーグのレデユ―サーを使って、F7.4→6.2 とし、さらにアトムの双眼装置で合焦するよう、筒外焦点を引き出した新しい設計のトップケージです。

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ニュートン式でこのように筒外焦点を長く出すには大口径の斜鏡が必要となるのですが、

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・・・・・・・ん? なんだか斜鏡がやけに薄いぞ?!

それもそのはず、この斜鏡は割れた廃品になった姿見の(厚さ5mm)を短径85mmの楕円形に切り出したものなのです。鏡が薄くて、もう少しで楕円が完成という時に欠け、3回作りなおしたそう。

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この鏡周の様子を見ても、その苦労は並大抵のことではなかったことがわかります。

しかし、かつて日本のATM界にてこのようなやりかたで大径の斜鏡を調達した猛者がいたでしょうか?

近くの山の木を見せてもらったのですが、その限りでは結像に問題なし!
これは是非、星も拝見しなければと、夜にも見せていただく約束をしたのですが、ナイトビジョンの方が忙しく、見る機会がないまま終わってしまったのは残念!

このような強烈なコンセプトの望遠鏡が今後増えて欲しいものですが・・・・・・・


***(2023.2.14追記)***

黄色いキティドブで皆様よくご存じのOさんが、2023年2月14日朝、帰らぬ人となりました。がんで闘病中であった以上のことはわたくしも伺っておりませんが、個人的に自作のヒントをいただくことも数知れず、何より望遠鏡自作の仲間があまりにも早世されてしまったことに言葉もありません。身の回り品を多用した望遠鏡自作にかけては他の追随を許さないOさんでしたが、その一端をこの記事で感じていただければ、故人に対して少しでも供養になるかと思い、ここに追記させていただきました。

Oさん、ありがとう! Oさんのコンセプト「何でも望遠鏡になる」は我々で受け継いで行きます!