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これは、いわゆる、デュアル・ナローバンドで、
ZWO-Duo-Band-filter-2
NB1、QBP、STCアストロDuoなどのフィルターの仲間、と言ったらいいでしょうか。O3やHaあたりの2種類の帯域を通す役割が一枚で果たせるというもので、最近の天体写真や電視観望には欠かせないアイテムとなってきているようです。
しかし、今回入手したこのZWO Duo-Band は発表されたばかりのため、日本では天体写真にも電視観望にもまだ実績がありません。自分の印象では先発の数種類のデュアル・ナローバンドフィルターはいずれも大差ないかな、と思っていて(リアルタイムで簡易的な画像処理をする電視観望を想定した話。天体写真で究極まで追い込む場合は各フィルターの性格がいろいろ出ると思います)、それなら一番値段の安いQBPがいいだろうか、しかし在庫切れで入手できず、という状況が続いていたのですが、ZWOからも同様のフィルターが出ていると知って即決しました。

というのも、このフィルターはZWOのカメラ使用前提で開発されたもので、ASI294MCなどにとっては言わば「純正品」という立ち位置になるからです。ただし、自分の機材状況では先発のフィルターと比較できないので、「純正」のアドバンテージは確認できず、単に「気分の問題」に留まってはいますが(笑)。

さて、早速、ミザールBN-80 8cmF5鏡筒、ASI294MCとの組み合わせによる電視観望で使ってみます。

今日は北アメリカから
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・・・! うわ、いきなりこれか! 今までの光害カットフィルターとはコントラスト、HⅡ領域の細やかな表現力とも段違いです。さらに、フィルターが1.25インチ→2インチとなったことでケラレが少なくなり、周辺減光も目立たなくなりました。さらにさらに、あぷらなーとさんの提唱する「クラシカル・アクロマートの準アポクロマート化」効果で、輝星の青ハロがなくなって、星像がシャープになっています!

とりあえず、ミザールBN-80 の8cmF5アクロマートレンズに関しては、「あぷらなーとさん理論」が適用できることが証明されたと思います。これで、BN-80の中古相場が上がる・・・? とかあるわけないですか?

ちなみに、BN-80のノーマル状態では口径食とかイメージサークルの問題があって、そのままでは電視観望に適しません。当方のBN-80 は双眼望遠鏡仕様にしてあるため、2インチ接眼部とかいろいろカスタマイズされています。当ブログの電視観望のスナップ画像は、改造されたBN-80鏡筒によるものとご理解ください。

ともあれ、電視観望のパフォーマンスが一挙にグレードアップした感じですね!

と、ここで、比較のためフィルターを、UV/IRカットフィルターに交換して網状星雲。
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ほらほら、「美しい青にじみ」が復活ですよ。そしてかなり処理を頑張らないと星雲が浮かび上がってこない。

で、Duo-Bandに戻して・・・と。
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星雲のコントラストが良くなり、さらに青ハロもなくなってスッキリ! 彩度を強調することで網状星雲の、赤と青の色を両方出すことができました。

色と言えば、NGC7293もかなりカラフルな感じの描写。
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しかも、モニター上で拡大すると・・・・・
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中心星も出てくるではありませんか! 思わず、「この赤いガスは中心にある星が一生を終える際に放出されたものです。」とギャラリーに説明してしまいましたよ。誰もいないけど(笑)。

このように、惑星状星雲や超新星残骸、HⅡ領域には絶大な効果を発揮するようです。

それでは、当フィルターの「目的外使用」に当たる、銀河や反射星雲などの連続スペクトル物では?

NGC253
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うーん、ちょっとコントラスト苦しいか・・・・

M33
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腕にあるHⅡ領域が出ればと思ったんですが無理か。

M31
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周辺部が出せない・・・・もう、途中で処理あきらめました(笑)

M45
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反射星雲もだいぶ苦しいですね。月が近いんで画面の左下が赤くカブってますし。

あ、ところで、2重星団とかだと
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このように、星の色が青緑と赤(オレンジ?)の「2択」になってしまいます。
2重拡大
まあ、2色しか通さないフィルターなので当たり前か(笑)

さて、目的外使用はこの辺にして、本来の対象天体に戻ります。

カリフォルニア
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ハート星雲
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いずれも励起された水素ガスの構造が美しいですね!

ソウル星雲
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最近では「胎児星雲」の方が通りがいいのかな? これはちょっとコントラスト上げ過ぎました。

ばら星雲
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グロビュールの構造が出てきましたね。

M42
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やっぱり、こういう輝度差の大きいものは難しいです。

小亜鈴
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この焦点距離(fl=400mm)の対象としては小さすぎましたか。
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馬頭
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AZ-GTiのドライブアプリ、Synscanのリストで「馬頭」を検索しても出てこなくて、あれー、今オリオン座見えてるのになー? と思ってたら
「馬首星雲」で載ってました。

今年の8月に電視観望を始めた時の希望は、「とにかく広がったHⅡ領域を見たい」だったんですが、苦節三ヵ月、当初イメージしていた描写に、今回やっと到達できました!

さて、次は、このZWO Duo-Band filter を使って30cmF5による
惑星状星雲の強拡大電視観望 かな?
小亜鈴をはじめ、エスキモー、クレオパトラ、キャッツアイ、土星状、みんな待ってろよ!・・・・・導入の問題がまだ解決してないけど・・・・