電視観望でモニター上に現れた天体の「意味」や「見どころ」を一般ギャラリーに説明するために星の成り立ち等、いろいろと勉強し直してます。時間が限られているので最短でアウトラインを掴んでから細かいところへ入っていきたいのですが、ウェブサイト上には細かい説明の背景を総合して全体が浮かび上がってくる、的な説明のものが多く、ちょっと苦労してます。その点、このサイトはエントリー目線に立っていて素晴らしいですね。
さて、いろいろ調べてますが、どうしてもわからないことがあります。それは、
なぜ分子雲は見えるのですか?
という疑問です。
自分の理解では
1 水素を中心とした星間物質の濃度が濃くなってくると原子どうしが結びついて分子雲になる。分子雲は10ケルビン程度の極低温で光を発しない
2 分子雲(=暗黒星雲?)は、背後の星やHⅡ領域の光を遮ることで姿を確認できる
3 暗黒星雲では星が誕生し、若い散開星団ができる。
4 散開星団の星がかなり高温(トラペジウムなど)だと、もともと暗黒星雲だったまわりの水素分子を強烈な紫外線で電離させて光らせる(HⅡ領域)。また、それほど散開星団の星が高温でもない場合は水素分子は星の光を反射して光る(反射星雲)。反射星雲のスペクトルは元の星に由来するが散乱されるのは青い光が多いので青く見える
5 若い散開星団はHⅡ領域と同時に存在するが(M8など)そのうち、放射圧でまわりのHⅡ領域を吹っ飛ばしてなくならせる。
6 散開星団は誕生から時間がたつとだんだん拡がってくる。おおぐま座は広がった散開星団
こんな感じですが、断片的な知識を無理矢理結びつけているので、感違いも多いと思います。
冒頭の質問の前に、まず、分子雲=暗黒星雲 なのかどうかも怪しいのですが、そうだとすると、分子雲自体は光らないのになぜ見えるのでしょうか?
最近のアマチュアの方の天文写真は、M45の周りとか、オリオン座周辺とかに「隙間もなく」分子雲が表現されているのをよく見かけます。しかも、雲自体が光っているように見えます。
あれは、星の光を散乱して光っている反射星雲状態なのでしょうか?
それとも分子雲が背後の星をさえぎって暗黒星雲状態になり、逆にバックグラウンドの方が浮かび上がって雲みたいに見えるのでしょうか?
すいません、詳しい方、コメント欄にて教えていただければありがたいです。
上の1~6の流れの間違いも指摘していただければ、なお勉強になります!
コメント
コメント一覧 (12)
少し前に私も同様の内容を、藤井旭さんの「Visible宇宙大全」を読んで「おおー!」と納得したのでざっくり纏めますね。(p36-53あたりをそのまま要約しただけのものです)
『暗黒星雲には水素分子や炭素、窒素原子からなる一酸化炭素、アンモニアやアルコールなどの分子ガスが集まっている。このため分子雲とも呼ばれる。
分子雲で明るい星が誕生すると、その星の強い紫外線エネルギーに刺激された水素ガスが蛍光灯のように光り輝き散光星雲となる。
星の周囲にチリがただよっている場合には、街灯に照らされた夜霧のようにぼうっと輝き、反射星雲と呼ばれる。
散光星雲の中で生まれた明るく若い星たちの強烈な紫外線で分子ガスが電離されて蒸発、チリやガスも吹き飛ばされ空洞になっていき、最後は散光星雲は姿を消し、星団だけが残る。』
分子雲=暗黒星雲なので、一般の方へは「暗黒星雲」で説明された方が分かりやすそうです。
uwakinabokura
がしました
したがって分子雲でも、仄かでも光って見える部分については、反射星雲、非常に濃いガスで背景の光を完全に遮ってしまうのは、暗黒星雲という理解でよろしいかと思います。
フィルタワークで、言えば、分子雲は近赤外の方がどちらかといえば、写りやすい(ので、被写体を探す人は近赤外画像からめっけてくるようです)ですが、基本反射星雲なので、連続光。フィルター効果は得にくい、強いて挙げればモノクロ冷却CCDやZWOの一部の近赤外線透過のカメラであれば、クリアフィルターないしノーフィルタで撮る、といったところでしょうか。
uwakinabokura
がしました
暗黒星雲・暗黒帯は現場で撮像したそのままでは、多くの露光時間をかけてもバックの輝点(星々)を隠すようにポッカリ違和感のある黒なので「あー分子雲があるなあ・・・」ってわかります。
天体写真の場合バックにある程度の明るさも持たすので浮き上がってきたり、そこだけ星が見えませんので、バックと同じように輝度が低い(黒い)と認識しており、バックを真っ黒にすると同化すると思っています。
一方分子雲(オリオン周辺など)は撮像すると色情報が若干ながらありますので、何らかの光を発しているのではないでしょうか?
天の川などで撮るB-142などはいくら炙っても浮き上がってこず真っ黒なままです。ですので厳密には(どう名前を分類するかは別にして)分子雲と暗黒星雲・帯は異なるもののように思います。
uwakinabokura
がしました
かつては「暗黒星雲」と分類されていたもののが「分子雲」と呼称されるようになったと認識していますが、密度が高くなった結果、内部で恒星が生まれて電離されることで散光星雲に成長途中のものや、周辺の光源によって単に照らされているものなど多様だと考えています。
シンクロトロン輻射で光っているものがあるかもという考察は面白いですね。強力な磁場と電子の加速機構を内包する分子雲があるかも知れません。
近年では創造の柱の形状維持に磁場が寄与しているとの説もあり、あらゆる星雲を偏光フィルターで撮影するとシンクロトロン輻射の証拠が写せるかも知れませんね!
uwakinabokura
がしました
すごく面白い疑問ですね!
分子「雲」と言っても、水蒸気の雲ではないですから、光を反射させるというのは妙な感じです。
私も甚だ専門外なので想像でしかないのですが、星雲のガスが本当に気体であれば、空気と同じでいわゆる「反射」を起こすはずはないわけです。
見えているものが反射的な弾性散乱でないとすると、眺めているのはレイリー散乱やラマン散乱などの非弾性散乱だろうかなあ、と、思うのです。
青っぽく見えるのは、空の空気が青く見えているのと、無関係ではないのかもしれません。
…とすると、反射星雲という呼称も、少しだけズレてるのかも知れません。
uwakinabokura
がしました