さて、電視観望における分子雲検出手段としてのR64フィルター使用ですが、結果はご覧の通り・・・
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シグマ55-200mm、F4-5.6 を55mmにして北アメリカ付近です(なぜ対象の北アメリカがこんなに画面の端になっているかというと、ベランダでの運用のため、このすぐ下に我が家の屋根が迫っているからです)。当日の月齢12、肉眼等級は2等程度でしょうか。

R64フィルター使用でもカラーバランスを調整すると、赤一色にはならずにカラーっぽい色表現にすることができるようです。そして、北アメリカ周辺の表現も干渉フィルター使用時とは少し違った感じになっていて、赤外域を利用できている雰囲気はあります。しかし、色のついた周辺減光が出てしまっていますね。

これがまた、ZWO Duo-Bandフィルターの時とは色違いの緑色になっています。
↓これは、先日、ZWO Duo-Bandフィルターを使ったときの画像ですが、周辺が赤いですよね
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この時は干渉フィルター独特の周波数シフトかと思ったのですが、シフトが起こらないはずのR64フィルターで、しかも色違いの周辺減光が出るということは何か別の原因があることになります。
うーん、何だろう。散乱されやすい「短波長側」(Duo-Bandの時は2つのバンドのうち青緑、R64の時は赤外と比較した656nmあたり)の方がバックグラウンドのカブリが強く、それが画像処理で拡大されているってこと? ・・・とにかくこれを何とかするにはやはりフラット減算しかないでしょうか。

それもそれですが、ともかく当初の目的である分子雲のぶの字も出せませんでした。
雑誌やネット上で天体写真家の方々が当たり前のように分子雲を表現していらっしゃるのですが、あれはやはり膨大な露出時間の蓄積と熟練の画像処理技術の賜物だったのですね。軽々しく「電視観望で分子雲を見る」、なんて言ってすいませんでした。

M45も全然ダメです。
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ただ、M31で白黒画面にしてみたら、意外といい感じに周辺部が出ている気はしました。
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これはR64を赤外フィルターとして使ってる状態で、一応、「赤外域利用電視観望」にはなるでしょうかね。

さて、結論としては電視観望でR64フィルター使用のオプションはなくもないが、HⅡ領域と分子雲を同時に表現できるほどのパフォーマンスはない、ってことですね・・・・・やっぱり世の中、そうそう甘くはなかったようで(笑)

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あと、200mmの焦点距離での「固定電視観望」の使用感ですが、ライブスタックのブラックアウト云々以前に、カメラ三脚での対象天体導入ができませんでした(笑)。
まあ、こんな状態で適当に雲台を振って、反映の遅いパソコン画面見ながらやってるんで無理もないんですが↓
IMG_5817
この、適当すぎるやり方で目的天体を導入するのは55mmくらいが限界でした。200mmを使って電視観望をするには結局、AZ-GTiを使って自動導入する方が効率よさそうです。この運用も今後考えてみます!