自分は以前より、反射には反射用のレデューサー、屈折には屈折用のレデューサーをそれぞれ専用設計しなければならない、と考えていました。というのも、レデュ―サーにはフィールドフラットナ―としての機能も求められるためです。
通常、反射対物の像面は観察者から見て凹、屈折対物の像面は凸になります
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・・・・・・と間違って理解していました。反射も凸面でした(12/10追記)
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これまでにケンコーのACクローズアップレンズNo4をキャノンのTマウントに入れて作ったレデューサーをシュミットニュートンや放物面鏡のレデューサーとしてシミュレーションしたり実際に使ったりしていたのですが、No4はフィールドフラットナーとしてもほぼ文句のない性能で、「あー、反射対物の像面と屈折レデューサーの像面が反転し合ってるから相殺してフラットになるんだよね」なんて知ったかぶりで考えていました。
しかし、Lambadaさんはじめ、このクローズアップレンズNo4を屈折用のレデューサーとして使い、素晴らしい結果を得ている方々が多数いらっしゃるようなのです。
何で? どうして、屈折×屈折で像面湾曲の上塗りになって周辺ピンボケが起こらないのですか?
というわけで論より証拠、自分のミザールBN-80 改8cmF5アクロマート鏡筒にケンコーのACクローズアップレンズNo4を使い、ASI294MCでの電視観望にて検証することにしました。
あらかじめ、実測しておいた縮小率は約0.8倍、8cmF5が合成fl=320mm、合成F4となる見込みです。
まずは、ピンボケ画像でレデューサー使用時の周辺光量を見ます。
どうやら、No4は反射にも屈折にも同じように素晴らしい収差補正を行うようです!
しかし、どうしてNo4は反射と屈折両方で高いパフォーマンスを示せるのか?
像面湾曲以外にも周辺の非点収差だって反射と屈折じゃ全然違うでしょうに。
クローズアップレンズのNo4は化け物か?
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12/10追記訂正
筒先に絞りのない純ニュートンや、補正板が適正位置より大幅に手前に置かれているシュミット・ニュートンの場合、像面は観察者から見て凸面になり、屈折と同じでした。
主鏡の球心に絞りが置かれているシュミット系のみが観察者から見て凹面の像面を持ちます。だから、No4のフィールドフラット効果は屈折でもニュートン反射でも同じように働く、ということだったようです。
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あまりにも想定外の良結果に小さなパニックに陥りながらも、突然、素晴らしい性能の8cmF4光学系が目の前に現れたので、逃す手はありません。電視観望にて、いろいろ見てみます。
北アメリカ。もちろんZWO Duo-Bandフィルターを使用しています。
月齢13で2等星も見えるか見えないかの条件だったので、さすがにコントラストがあまり上げられませんでしたが、fl=320mmの焦点距離はなかなかいいですね。横向きにしたら北アメリカとペリカンがいい感じに入りそうです。
サドル付近のHⅡ領域
Duo-Bandフィルターじゃ無理っぽいけど、一応M31
網状星雲の描写もまあ、及第点
NGC7293はfl=320mmでもそこそこ大きく写ってくれますね。
いやいや、意味は分からないながら、使いやすい画角のしかも明るい光学系がタナボタ式に入手できた形となりました。さらに満月近くでの電視観望のパフォーマンスも分かったしよかったです。月でバックグラウンドが明るい場合、F4の光学系だと露出時間も2秒くらいでも充分のようですね。これだとライブスタックの枚数もあっという間に稼げますし、話が早くて自分向きでした。
また、電視観望のシステムは自宅の2階に組んだまま置いてあるので、同じく置きっぱなしにしてある専用のパソコンにつないでポン、とベランダに出すだけですから設置は1分で完了。AZ-GTiのアライメントを含めても10分もあれば稼働できます。
今日は平日の晩なので、トータル2時間ほどで切り上げましたでが、その割には収穫が多かったです。自宅電視観望は時間のコストパフォーマンスも高いですね!
ところで、どうして屈折レンズで屈折対物の像面湾曲を補正できるのかどうしてもわかりません。
とりあえず、「焦点距離とF値がある程度似ている反射と屈折は同じレデューサー利用可能(ただし、焦点面とレデューサーの距離を最適化する必要あり)」ぐらいの法則はあるのでしょうか?
どなたか教えてください・・・
コメント
コメント一覧 (8)
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シュミットカメラの乾板が凸の印象はありますが...?
それにしてもACクローズアップNo4は神ですネ ^_^
uwakinabokura
がしました
基本的にはピンホールで、そこからの等距離が像面だ、という程度な理解でした。
シュミットカメラは、補正版が凹レンズ系なせいで"周辺ほど観察者から見て主鏡が手前"になっているのですね。私もそう思います。
uwakinabokura
がしました
レンズレスシュミットは口径を絞って球面収差を実用範囲に追いこむものなので、どうやっても尖った性能は望めないですね。しかし、絞りの部分に高次非球面の補正板を置くことで、完全無欠の光学系、純シュミット・カメラとなります。
個人的には、シュミットカメラが「全ての望遠鏡の王」だと思っています。そして、これから生まれた新時代のシュミット系、田中化学工業さんの「フラット・シュミット」はさしづめ「王子」ですね!(笑)
uwakinabokura
がしました