”Hα~赤外 電視観望”ですが、屈折でピント合わなかったんで、反射でやってみました。
「14cmF3.6シュミットニュートン+R1フィルター+ASI294MC+AZ-GTi経緯台+SharpCap」にて、いつものようにベランダ電視観望でおこないます。今回、シュミットニュートンには、屈折系のレデューサーによる赤外域のピンボケを警戒して、あえてレデューサーを入れず、コマ収差の発生は我慢することとしました(厳密に言うとシュミット補正板のパワーが足りなくなって負の球面収差が発生するとは思いますが・・・・)。
まずはM31を導入。
まあ、このくらいまでは行くようですね。でも、M31の場合、ほぼ白黒。この状態だと”Hα~赤外 電視観望”の意味はほとんどありません。素直に赤外フィルターを使って、Hα付近の帯域を入れない「赤外域のみ電視観望」のほうがコントラストが高いでしょう。
さて、もともと”Hα~赤外 電視観望”は、銀河の中のHⅡ領域を見るために想定したもの。
HⅡ領域がカラフルで良く見える銀河と言えばやはりM33になります。
うーん、左下の赤い点、タランチュラですよね? その他もちょっとは出てる気もしますが、赤色のノイズと言われればノイズかも知れないです。いずれにせよ天体写真家の皆様が表現する銀河内のHⅡ領域には遠く及ばないレベル。
では、R1フィルターによる”Hα~赤外 電視観望”では、わが天の川銀河内のHⅡ領域はどう見えるのでしょうか。
(↑この画像のみZWO Duo-Band filter によるもの)
露出不足の赤い成分を画像処理で無理やり持ち上げているからだと思いますが、ばらもM42もカリフォルニアも、一応赤く写るものの全く見栄えがしません。
よその銀河内のHⅡ領域を見る目的だけでなく、天の川銀河内のHⅡ領域もDuoBandフィルターに差し替えることなくバッチリ見られる、というユーティリティ性ももくろんでいたのですが、やっぱり世の中そんなに甘くないですね。
仕方ないので、もう単純に赤外域での銀河の見え方を検証する方向にシフト
。
NGC253
どうせ、彩度もほとんどないですし。
NGC2403
NGC891
NGC1300
NGC4565
M51
しし座のトリプレット銀河
ハイライトはM81、82
R1フィルターがOⅢ等の青緑色の輝線を吸収するので、通常のカラーでは青緑に写るふくろう星雲が、赤く写っています。
しかし、このように銀河を順番に見ていくと、気分は古田俊正さんの「写真で見る小宇宙」ですね。
さらにこの組み合わせによる600~900nmの周波数帯域での電視観望はASI294MCの感光特性と相俟って、対象によって、白黒気味になったり、ちょっと変わった色表現をしたりしますので面白いです。
例えば2重星団はこうなりました。
で、もしやと思ってM35も一応やってみたのですが、
”Hα~赤外 電視観望”による銀河巡りですが、自分としては非常に面白かったのですが、一般ギャラリーに対してのインパクトはあんまりないかもしれませんね。何と言っても対象の視直径が小さすぎます。
やはり電視観望において、一般ギャラリーに対し「つかみはOK」にする役割は大きく広がったHⅡ領域の観望になるかな・・・
コメント
コメント一覧 (12)
自宅ベランダ(マンションなんで上階が邪魔)から朝方見えるとなると銀河団ですが、その昔初版で入手した古田俊正氏の名著「写真で見る小宇宙」を引っ張り出して、ディスプレイ上の銀河と見比べると、至福の思いです。一時期星から離れた時期、かなり高値で取引されていると聞き、手放そうかとも思いましたが、本当に手放さなくて良かったです。新標準星図にはとんでもなく暗い銀河も掲載されていますが、電視観望では、それ以下の光度の銀河も補足でき、一体どこら辺までキャッチできるか、興味深いです。
uwakinabokura
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とりあえず自分は大きく拡がったHⅡ領域を見たくて始めたのですが、銀河も面白いですよね。AZ-GTiによる自動導入とCMOSカメラによる光の蓄積で、今までだったら対象にならなかった暗い天体も守備範囲に入ってきました。今後は電視でも、もっと銀河をクローズアップして天体写真のように細かい構造まで見えるようになれば、小さい銀河をしらみつぶしにする楽しみも生まれ、時間がいくらあっても足りないという、「うれしい悲鳴」の状態になると思います。
ところでケニ屋さんは、どれぐらいの焦点距離の対物を使っておられるのでしょうか? あとCMOSは294MCですか?
uwakinabokura
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uwakinabokura
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レデューサーは31.7mm0.5×のやつでしょうか? Samさんも書かれていますが、これは焦点距離が短いのでレデューサーと焦点面の距離が遠いと、鏡筒切断等で対物に近づけても合焦しない可能性もあります。
ちなみに自分はバックフォーカスが足りない場合、レンズを同口径でFがやや長いものに換装して鏡筒切断を回避する手法をよく使ってました。
お勧めはクローズアップレンズNo4です。これとTマウントを使ってレデューサーを作るのは随分以前から定番になっているようです。
http://uwakinabokura.livedoor.blog/archives/1825412.html
ただ、銀河の場合視直径が小さいので、レデューサーで焦点距離が短くなると見た目の大きさも小さくなるというのが悩みどころですね。
uwakinabokura
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東京(23区内)では、やはり光害対策として相当効果があるようです。
自分はカラーはもとからあきらめていてモノクロ限定ですが。
これまでは惑星、惑星状星雲、赤い星雲(Hαナローバンド)ぐらいだった
超光害地での撮影対象が系外銀河にも広がりそうです。
フィルターはAstronomikの ProPlanet 642 BP IR-pass を使っています。
uwakinabokura
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CMOSカメラの赤外域感度を利用しない手はないですものね。
Astronomikの ProPlanet 642 BP IR-pass 調べてみたら、R1やR64みたいなシャープカットフィルターとは比べ物にならないくらい切れ味のよい周波数特性ですね。Hαも通すとのことなので、個人的に非常に気になるのが、cockatooさんがこのフィルターを使用して写された銀河にHⅡ領域が見えているかです。
ぜひとも拝見したいのですが、ネット上で画像を上げられている場所とかありますでしょうか?
uwakinabokura
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https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1487372778087724
uwakinabokura
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当方懸案のHⅡ領域ですが、近赤外画像のM33や74では白く出ている気がしました。
露出のかけ方次第では、カラーCMOSにてこれらが赤く表現できるかもしれないので、いろいろと手段を講じてみます。
uwakinabokura
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電視観望(EAA)について。私も時々お手伝いさせていただいている、スターパーティーのような主に経験者向けではない小さなお子さんや一般向けの観望会では、望遠鏡のアイピースを覗き込んで見るという体験自体の「つかみ」がとても大きいように見受けられます。この点が電視観望の弱いところですよね。説明されないとWebサイトの画像をPCやタブレットで見ているのとほとんど変わらいので。
その点でeVscopeのEVFは良いところを突いていると思いました(ただ、一般向けの宣伝が過ぎている気はしますが) どこかでPCやスマホの画面を写せるEVF売ってないでしょうかね。
uwakinabokura
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「望遠鏡をのぞき込む」は確かに得難い体験ですね。これが大型の望遠鏡、しかもドーム内という非日常空間であったりしたら、見えた対象はそこそこでも初見の人にとってのインパクトは計り知れないでしょう。
ただ、長蛇の列になると待ち時間がヒマ過ぎるので、待っている人がみんなで見られるモニター画面で電視観望を提供するのがいいかな、と思っています。
でも、具体的な一般向けの運用はまだほとんどおこなってないので、まずは迅速にいろいろな対象を導入・処理する技術を身につけたり、最適光学系・システムを検討している段階です。
eVscopeってそろそろ買えるんですかね。額面通りならすごい画期的なのですが、実物を見る機会も近日訪れるのでしょうか?
uwakinabokura
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eVscope、渋谷PARCOに実物が展示されているようですね。(ただしウェブサイトによると展示のみで動かせないようです)
uwakinabokura
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1 対象が画面上で大きく表示され構造が見える
2 色が見える。赤色と青色が混在してれば最高
と考えています。具体的には「恒星が青ハロで彩られたHⅡ領域」とかになると思いますが、この辺はいろんな方の感想を聞きながらの判定かと。
ちなみに、現状では「ライブ感」さらに「時短」はナイトビジョンの圧勝だと思います。電視は時間の問題であのレベルに達すると思いますが10年後か、20年後か・・・? そのころはeVscopeのような望遠鏡形態がメジャーなものになるのでしょうか。
uwakinabokura
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