さて、前回記事のコメント欄で思いも寄らない盛り上がりを見せているP.S.T.に最適のフィルター考察の続きです。
まず、前回見送っていたバーダーHα3.5nmフィルターを含む48mmフィルターを筒先につけての検証です。
IMG_6078
このように、55mm→48mmステップダウンリングをテープで貼り付けて、これに48mmフィルターをねじ込みます。
前回同様、◎:明らかにコントラスト向上 〇:効果あり △:変わらない? ×:かえって見にくくなった  で主観的に評価します。
結果は・・・

バーダーHα3.5nm : ×(模様が見にくいうえにゴースト発生)
STC AstroDuoNarrowBand : △マイナス (少し劣化しているような・・・)
ZWO Duo-Band : △マイナス (これも少し劣化しているような・・・)
ケンコーAstroLPR : △マイナス (やっぱり少し劣化しているような・・・)

でした。筒先、ダメな気がします・・・
Hα3.5nmが全然見えないうえに唯一ゴーストが発生したのは再度のショックでしたが、残りの3つも一応太陽表面の模様は見えるものの、像にわずかな劣化が見られた気がします。

通常、カメラレンズ用フィルターの平行平面ガラスは望遠鏡の筒先に置いて数10倍以上の倍率をかける想定をされていないので、必ず像の劣化がありますが、今回使ったフィルターもそのような感じでした。やっぱりそれなりに倍率がある場合はたとえ収束光の中に入れることになっても接眼部に近い位置に入れるのが鉄則ですね。

ちなみに、この件では105mmフィルターでスパイダーレスのニュートン反射を計画した時に撃沈されています(記事ではどちらかわからない感じに書いていますが、その後もっと低い倍率でも明らかにダメとわかったので撤退 笑)。


さて、気を取りなおして、アイピースに31.7mmフィルターを取り付けて行う検証に移ります。
先日のバーダーHα7nmがダメだった件の追試にもなります。結果は・・・・

バーダーHα7nm △
バーダーHα12nm ◎マイナス
SVBONY CLS ◎
LightPolutionフィルター ◎マイナス

SVBONY CLS の優位は動かないのですが、バーダーHα7mm、12nmが前回より少し良くなったかな、です。前回の実験は日没直前だったのに対し、今日は13時くらいだったので、その差が出たのかな、と。

そして新登場のLightPolutionフィルターですが(前回試すのを忘れてた)、
IMG_6083
これは「SVBONY CLS」よりさらに安価なノーブランドの光害カットフィルターなのですけれども、これもかなりの視認性向上がありました。
たぶん、こういう特性。
41DWnzYaoGL._AC_
で、これら4種類のフィルターで見比べているうちに、ふと気づきました。
Hαフィルターは暗くて見にくいだけなのでは?
と。

「SVBONY CLS」 や、「LightPolutionフィルター」は同じくらい明るいのですが、12nmになると少し暗く、7nmになるとさらに暗くなるのです。この絶対的な明るさは眼視の視認性に大きく影響します。そう考えると、暗くて見えないけど何となく細かい模様があるような気もしてきました。

電視観望なら、ゲインや露光時間の調整で絶対的な明るさの制限から逃れることができます。
ということで、またまた大急ぎで準備(笑)。
IMG_6080
前回同様、ビクセンのバローT、ASI294MC、SharpCap による電視観望をおこないます。

まずノーフィルター
no fil kakudai
左上と右下の斑紋はたぶん、どれかのフィルター上のゴミです。しかもピント合ってない、画像処理もダメ(たぶんノーフィルターでももっと強調処理できる)ですが太陽は素人なのでこの辺は大目にみてください。ほんとすいません。

で次に「SVBONY CLS」
sv kakudai
ノーフィルターよりだいぶコントラストがつけられました。前回のCLSを使ったときの電視観望と同じぐらいになっています。

そして、Hα12nm
12nmkakudai
あ、これSVBONYより細部が出てきた気が・・・・

と言うことは、Hα7nmでは?
kakudai7nm
あー、やっぱり! 少しゲインを上げる必要がありましたが、一番コントラスト付いてるし、処理もしやすい。これ、ちゃんとピント合わせてスタック枚数も増やせば、それなりの画像になるかもしれません。
Hα7nm、実はキッチリ仕事してたんですね・・・
おそらく3.5nmならもっと行けるのではないかという類推もできる結果です。

これらの結果から、現状ではこういう仮説を立てることができます。

1 P.S.T.は個体によってフィルター追加で視認性を向上させられる場合がある
2 筒先に置くとフィルターの効果が出にくいうえに像を悪化させる。アイピースかカメラの直前に置くのがベスト(筒内で発生したジャンク光を最終関門で取り除く役割を果たしているため?)
3 眼視の場合、暗くなると視認性が悪くなるので像の明るい光害カットフィルターがよい。赤や橙のシャープカットフィルターも可
4 電視観望では、像が暗くなってもコントラストを向上させる方を優先できるので、Hαフィルターの半値幅が狭いもののほうがよい

もちろん、かなりの推測の部分も入っていますので、あくまで一つの可能性としてお考え下さい。

とりあえず、自分は太陽の電視観望はあんまりしないと思うのですが、眼視では「SVBONY CLS」を使っていくことになると思います・・・というか、P.S.T.の稼働率自体が低いので偉そうなことは言えないのですけど(笑)。