さて、前回記事のコメント欄で思いも寄らない盛り上がりを見せているP.S.T.に最適のフィルター考察の続きです。
まず、前回見送っていたバーダーHα3.5nmフィルターを含む48mmフィルターを筒先につけての検証です。
前回同様、◎:明らかにコントラスト向上 〇:効果あり △:変わらない? ×:かえって見にくくなった で主観的に評価します。
結果は・・・
バーダーHα3.5nm : ×(模様が見にくいうえにゴースト発生)
STC AstroDuoNarrowBand : △マイナス (少し劣化しているような・・・)
ZWO Duo-Band : △マイナス (これも少し劣化しているような・・・)
ケンコーAstroLPR : △マイナス (やっぱり少し劣化しているような・・・)
でした。筒先、ダメな気がします・・・
Hα3.5nmが全然見えないうえに唯一ゴーストが発生したのは再度のショックでしたが、残りの3つも一応太陽表面の模様は見えるものの、像にわずかな劣化が見られた気がします。
通常、カメラレンズ用フィルターの平行平面ガラスは望遠鏡の筒先に置いて数10倍以上の倍率をかける想定をされていないので、必ず像の劣化がありますが、今回使ったフィルターもそのような感じでした。やっぱりそれなりに倍率がある場合はたとえ収束光の中に入れることになっても接眼部に近い位置に入れるのが鉄則ですね。
ちなみに、この件では105mmフィルターでスパイダーレスのニュートン反射を計画した時に撃沈されています(記事ではどちらかわからない感じに書いていますが、その後もっと低い倍率でも明らかにダメとわかったので撤退 笑)。
さて、気を取りなおして、アイピースに31.7mmフィルターを取り付けて行う検証に移ります。
先日のバーダーHα7nmがダメだった件の追試にもなります。結果は・・・・
バーダーHα7nm △
バーダーHα12nm ◎マイナス
SVBONY CLS ◎
LightPolutionフィルター ◎マイナス
SVBONY CLS の優位は動かないのですが、バーダーHα7mm、12nmが前回より少し良くなったかな、です。前回の実験は日没直前だったのに対し、今日は13時くらいだったので、その差が出たのかな、と。
そして新登場のLightPolutionフィルターですが(前回試すのを忘れてた)、
たぶん、こういう特性。

で、これら4種類のフィルターで見比べているうちに、ふと気づきました。
Hαフィルターは暗くて見にくいだけなのでは?
と。
「SVBONY CLS」 や、「LightPolutionフィルター」は同じくらい明るいのですが、12nmになると少し暗く、7nmになるとさらに暗くなるのです。この絶対的な明るさは眼視の視認性に大きく影響します。そう考えると、暗くて見えないけど何となく細かい模様があるような気もしてきました。
電視観望なら、ゲインや露光時間の調整で絶対的な明るさの制限から逃れることができます。
ということで、またまた大急ぎで準備(笑)。
まずノーフィルター

左上と右下の斑紋はたぶん、どれかのフィルター上のゴミです。しかもピント合ってない、画像処理もダメ(たぶんノーフィルターでももっと強調処理できる)ですが太陽は素人なのでこの辺は大目にみてください。ほんとすいません。
で次に「SVBONY CLS」
そして、Hα12nm

あ、これSVBONYより細部が出てきた気が・・・・
と言うことは、Hα7nmでは?
Hα7nm、実はキッチリ仕事してたんですね・・・
おそらく3.5nmならもっと行けるのではないかという類推もできる結果です。
これらの結果から、現状ではこういう仮説を立てることができます。
1 P.S.T.は個体によってフィルター追加で視認性を向上させられる場合がある
2 筒先に置くとフィルターの効果が出にくいうえに像を悪化させる。アイピースかカメラの直前に置くのがベスト(筒内で発生したジャンク光を最終関門で取り除く役割を果たしているため?)
3 眼視の場合、暗くなると視認性が悪くなるので像の明るい光害カットフィルターがよい。赤や橙のシャープカットフィルターも可
4 電視観望では、像が暗くなってもコントラストを向上させる方を優先できるので、Hαフィルターの半値幅が狭いもののほうがよい
もちろん、かなりの推測の部分も入っていますので、あくまで一つの可能性としてお考え下さい。
とりあえず、自分は太陽の電視観望はあんまりしないと思うのですが、眼視では「SVBONY CLS」を使っていくことになると思います・・・というか、P.S.T.の稼働率自体が低いので偉そうなことは言えないのですけど(笑)。
コメント
コメント一覧 (4)
多分ですが、私の結果も眼視でなくて撮影なので細かい違いが見えているのだと思います。眼視だったらコントラストは気づけたとしても、分解能とかはさすがに気づかないかもです。
むしろシベットさんのSVbonyで眼視で気づいたのがすごいです。
あと、撮影ですが画像を見る限りおそらくピントが合っていないと思います。PSTは原則アイピースでの観測なので、ZWOの場合CMOSカメラをより内側に入れ込まないとピントが出ません。ここがPSTの撮影で苦労するところです。アイピース口の中に入るカメラを用意するか、簡易的な方法としては、バローレンズを使うと外側でもピントが出るようになります。
Hαはやはりきちんと仕事してるようですね!そうすると、ジャンク光が存在するという仮定が現実味を帯びてきます。少なくとも私の改造PSTでも、シベットさんのノーマルPSTでもある程度の結果が出たということになります。もう少し他の例を、やはり撮影して比べる必要がありそうですが、少なくとも間違った方向ではなさそうですね。
あと、筒先に置くのがなんでうまくいかないのかがまだ分かりません。順番にあまり依存しないはずなのですが、何故なのでしょう???
uwakinabokura
が
しました
ひょっとしたら「よく見えるP.S.T.」と「よく見えないP.S.T.」の違いはジャンク光の有無かもしれないですね。SVBONY CLS の追加によって、「よく見えないP.S.T.」が「よく見える」レベルに復帰するとか?
あと、口径が大きければ集光力も強いわけですから、Hα7nmでの眼視でも視認性が上がるかもしれないです。さらに筒先フィルターNGの原因とか、個人的にはピント合わせとか画像処理とか問題山積ですが、ひとつひとつ解決できていったら面白いですね。
uwakinabokura
が
しました