最近は、小宇宙(系外銀河)や球状星団などの「連続スペクトルもの」を電視観望するときに、CMOSカメラの赤外域感度利用を重視しています。しかしこれだと、色収差のない反射系対物に光学系が限定されてしまうのです。

と言うのも、眼視用のアクロマートレンズでは、最重要と位置付けた、赤(656.3nm)と青(486.1nm)の2色の光について焦点位置を一致させて「色消し」をおこなっているのですが、黄色はもっと奥にピントを結ぶし、紫や近赤外は手前にピントを結ぶけどこれは我慢する、という「落としどころ」になっているためで、可視光である黄色や紫色の光でさえ積み残されているくらいですから、赤外域なんて想定外のまた想定外という状況。

そのためアクロマートで赤外域をカットせずにCOMOSカメラを使うと・・・・
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このように盛大にピンボケになります。この時、CMOS カメラはRGBともに赤外域の感度を同じくらいに持っているので、ピンボケにより星が白く肥大するのが特徴です。

自分はどちらかというとニュートン派なのでアポクロマート系の屈折を持っておらず、実際に確かめてはいないのですが、ネットで見る画像のデータや撮像結果から推測するとアポ系屈折ではこのような赤外ピンボケが起こらないようですね。アポ系ではアクロマートの赤と青に加え紫(436nm)の焦点位置も一致させており、さらに黄色や赤外の部分でもピント位置が像面に対してフラットに近づいているからではないか? と考えています。

そこで、フィルターワークによっていろいろな波長成分を利用する電視観望が天文活動のメインとなっている現在、今まで個人的には食指がほとんど動かなかったアポ系屈折導入の必要性が増しています。特に300~400mmくらいの焦点距離のもの。現状、一番可能性があるのは先日SamさんがレポートされていたEVOSTAR 72EDあたりでしょうか。

しかしここで自分は考えました。アクロマートとアポクロマートの中間程度まで紫の収差が補正されているとされる
セミ・アポクロマートなら赤外域のピント位置はどうなる?
と。

と言うのもセミ・アポクロマートと思われる鏡筒なら持っているのです。国際光器マゼランSD-80というやつです。
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もしこの鏡筒で赤外ピンボケが起こらなければ、一挙にメイン機材に昇格する可能性があります。
また、無理してアポ鏡筒を導入する必要もなくなるわけで、死蔵機材の活用と合わせて一石二鳥!
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さっそく、ASI294MCとSharpCapによる電視観望で検証開始。まずはQBPフィルターでばら星雲、8秒露出。
bara16s
あちゃー、この赤ハロは700~800nm付近のピンボケ(と個人的にはそう思いこんでいますが、違う可能性もあります)ですね。ということはセミ・アポクロマートでもアクロマート同様、赤外域の収差補正はされてないといいうことか・・・・

さらに今度は赤外部をもっとガッツリ透過する、「SVBONY CLS」フィルターでは・・・・? と。
baracls8s
あー、残念ながら出ましたね。赤外域特有の白いピンボケが。しかし、よく見るとアクロマートの時ほどひどくはない。これは律儀にアクロマートの半分程度の星像肥大? ですね。さすが、セミ・アポクロマート! 
個人的にこのレベルの星像はありかなしか・・・・うーん、やっぱりなし!(迷うな! 笑)

一応、見ておいたM35
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このように、画面内に輝星がないと白ハロは目立たないですが、星団を構成する星のピントもちょっと甘くなっているかも知れません。何より、輝星が視野にあると盛大な白ハロが出るのは厳しいです。

しかし、もともと眼視用の望遠鏡で赤外域を利用すること自体が「目的外使用」なので、本来は文句を言う筋合いではありません。で、結論は

セミ・アポクロマート(少なくともSD-80)では「赤外利用電視観望」に実用できるほど赤外域の補正がされてない

です。残念ながら。

今回も、世の中そんなに甘くなかった、といういつものオチです。結局、アポクロマート鏡筒を新規取得するしかなくなったのでしょうか・・・・?
しかし、こないだギター買ったばかりだから、新品の望遠鏡買うとかものすごく言いにくいんですよね。しばらくは静観かな。