本日は、「 PENTAX 6x7 165mm F2.8 + STC AstoroDuoNarrowbandフィルター + ASI294MC + Sharpcap 」にて夏のHⅡ領域を電視観望します。
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とりあえず、夏の天の川の観望好適な時間帯の午前1時30分頃まで待機することにしましたが、その待ち時間を利用して、とあるアニメソングのメロディ耳コピ&シラブル書き出しとコード進行のアナライズをしていました。
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この乱雑なコード譜とシラブルで曲名が分かったあなたはすごい!?
(ちなみにこのコード譜はEmになってますけど、オリジナルキーはGmです)
GW中にこの曲のギター演奏動画を上げようかなと思っています。

さて、1時30分になりましたので165mmレンズを搭載したAZ-GTiをベランダに出し、まずはピント合わせからおこないます。
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自分の場合、電視観望のピント合わせをする時はSharpcapでASI294MCの画面を最大(800%)に拡大し、一秒くらいの露出で、微光星の直径が3~4ピクセルになるまで追い込みます。
望遠鏡の直焦点ではこれで問題ないのですが、カメラレンズを同じ方法でピント合わせし、露出時間を伸ばしてライブスタックすると・・・・
akaharo
強調処理をおこなうことで、ピント合わせの時は見えなかった赤ハロが顕在化してしまいます。
この画面での一番明るい星はアンタレスですが、まわりのけっこう暗い星までが盛大な赤ハロに包まれていますね。これらの星の一つを800%に拡大するとこのような状況。
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レンズのヘリコイドを回して赤の波長にピントを合わせて行くと・・・・
aoharo
はい、おなじみの青い雪玉星雲です・・・・じゃなかった(笑)、デュアル・ナローバンドのもう一つの波長、青緑の成分がピンボケになって「青緑ハロ」状態になります。

仕方がないので、この二つの中間地点、落としどころを探るわけですが・・・
otosidokoro
直径は12ピクセル分くらいでしょうか、ASI294MCの1素子を4.6μmとすると、星像は概算で55μmほど・・・当方のSP140SSでも星像は概算15μmくらいなので、それと比べても画面全体の情報量は1/3以下くらいになってしまう計算になります。ASI294MC本来のパフォーマンスを生かしきっていない、あまりにももったいない状況です。

さて、その現実は踏まえつつも実際に電視観望してみます。M8、M20付近、8秒露出
m8 8s
フル視野で部分拡大しなければそれなりに見られます。ただ、小宇宙(銀河)の時みたいに対象を中央拡大するのは全然ダメですね。これ、センサーサイズの大きなASI294MCなので拡大率を上げずに何とか見られてますけど、センサー面積の狭いCMOSカメラでは苦しいと思います。

まあ、無理に拡大せず広域観望ならではの広い視野を楽しむべく、16秒に露出時間を伸ばしてみます。
m8 16s
だいぶ周辺部も出てきましたね。では今日は16秒で行くとして、M16、17付近。
m17 16s
サドル付近
sadl 16s
北アメリカ、ペリカン
kitaqamerica 16s
網状星雲
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超新星残骸、って感じですね。

NGC6334、6357
6357 16s
もうこの辺になると午前3時20分くらい、アニメソングのアナライズの疲れと相俟って半分寝てました(笑)。

最後に、自分ちの屋根から昇ってくるハート星雲で終了。
0hert 16s
これ、Samさんの屋根から昇る北アメリカのマネなんですが、こういう超ローカルな星景写真(?)、って面白いんじゃないかと思い始めてます。

さて、カメラレンズを電視観望に使う場合に星像がボテッとしてしまう問題、さらなる弊害としてライブスタックによるSN比向上も効果が薄くなってる気がします。
結局、カメラレンズでシャープな星像を得たい場合、Hαフィルターを使った単色光観望にするしかないでしょうか。カメラレンズならではの広い視野を生かし、「THE DEEP SKY レベルのHα観望王に、俺はなる」くらいの覚悟を決めてそれに特化していく手もありますが、露出時間の効率を上げるためのモノクロCMOSカメラの導入が必須となる予感。

今回、165mmの望遠レンズ使用でしたが、以前、近い焦点距離の3cmF4 fl=120mmのファインダー用アクロマートレンズで電視観望をやった時のほうが星像はシャープでした。このレンズを電視観望に使った場合、像面湾曲による周辺ピンボケと逆コマが泣き所なのですが、フィールドフラットナー・コマコレクターで補正ができれば望遠レンズよりはるかに素晴らしい光学系になるでしょう。
ただし、コマ収差が逆コマなので、単純にクローズアップレンズとかの追加ではおそらくダメで、独自の補正レンズの光学設計が必要になると思います。

しかし、周辺までシャープな光学系で、ASI294MCのラージフォーマットに写し取った夏の銀河を解像度の高い大型モニターに出力したら、さぞかし素晴らしいでしょう・・・・噂によれば数十万クラスのカメラレンズは最周辺まで完璧な星像を示すらしいのですが、このレベルの取得が選択肢に入ってくると、もはやカタギの世界とは決別した修羅の道に突入することになる感が・・・・(笑)