前回、電視観望におけるカメラレンズの結像の甘さに言及したのですが、その解決策としてのHα単色光観望を確かめてみました。
「 PENTAX 6x7 165mm F2.8 + baaderHαフィルター(3.5nm) + ASI294MC + Sharpcap 」というシステムによる検証になります。今回は遅い時間帯であることもあって3等星が見えるか見えないかぐらいの、自宅としては良い空の条件でした。
午前一時まで仮眠を取って月を沈ませるとともに夏の銀河を昇らせ(神々並の超上から目線に我ながら我ながら笑)ベランダにシステムを出してスタート。さすが単色光だけあって、前回懸案となったピントは星像直径5~6ピクセル(20μm程度?)にまでは追い込めました。
これにてまずはM8、20のエリアから。

これで32秒露出。Hα3.5nmだと暗くなるので、やはりそこそこの露出時間が必要になります。さらに写る星の数が少ないんで、それなりに時間をかけて数をかせいでやらないと、Sharpcapのlivestackが成功しないのです。
しかし、その分コントラストは高くなりカブリによる周辺減光は皆無、フラット補正の必要が全くありません。・・・・ただし、ダーク減算は必要。最初、手を抜いてダークを引かなかったら、こんなになりました↓
こう見るとダーク減算の効果はすごいですね。
さて、それでは32秒露出でどんどん行きます。網状星雲全景。
さて、夏のHⅡ領域の王、北アメリカとペリカン。
ちなみにlivestack開始時の2枚合成の段階ではこんな状況↓
次に、M16、17あたりの宙域。
と思って、もしや、と思いベランダに出てレンズを見ると
曇ってます。
さっそく在宅の利を生かし、ドライヤーを有線で引っ張って乾燥・・・しかし!
内側のレンズまで曇ってます。
レンズ内に湿気が入っているようです。こういう状態が続くとレンズ内にカビが生えるのでしょう。
とにかく外から暖めて結露を飛ばします。これが結構なロスタイム。
さらに、レンズが暖まったことで当然のことながらピント位置が変わり、合わせなおし。
バタバタしているうちに薄明が始まってしまいました。
大急ぎでサドル付近に向けます。この時点で午前4時20分ごろ。もう時間がないので16秒露出。
さて、
星像の甘いカメラレンズのもっとも有効な活用方法はHα単色光観望である
という持論を再確認したのですが、懸案はやはり一枚一枚に時間がかかることですね。
今回は、32秒×30~40スタックでやりましたので、一枚に15~20分は必要になります。これは「準リアルタイム」を旨とする一般向けの電視観望にはちょっと不向きな特徴です。
まあ、Hα単色光観望の用途としては「個人的な趣味」の範囲になると思います。
男は黙ってHα!
的な(笑)
モノクロCMOSの導入で、もし感度が3倍になるとするれば10秒露出ほどで今回のクオリティが得られることになり、一般向けの瞬発力もありますが、現実はそこまで甘くはないでしょうね・・・・
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