本日もSV305の「レス改造機」と「ノーマル機」の比較をおこないます。
機材は「ケンコーNEWスカイステージ改・76mmF3.7鏡筒(fl=280mm) + AZ-GTi経緯台 + SharpCap」になります。空の条件は限界等級3等程度、比較的透明度もよさそうでした。また、「レス改造機」、「ノーマル機」とも、それぞれにSharpCapで作成したダークフレームを減算しています。

対象はM8干潟星雲。まずは、QBPフィルターにて

レス改造機4秒露出。
m8 4s 40stack
とりあえず、横縞ノイズは置いといて(笑)、4秒でもかなりHⅡ領域が写ります(あと、心配された「カバーガラスによるゴースト」は発生しておりません)。

続いてノーマル機、同じくQBPフィルター使用。レス改造機と比べてピント位置がかなり手前(ノーマル機の方がバックフォーカスが少なくて済む)に移動します。4秒露出ではフレームアラインが成立しなかったのでやむなく8秒で。
lm8 8s 40stack
そのままではこのようにかなり青っぽくなってしまいますね。そこで、赤をかなり持ち上げてみました。
lm8 8s 20stack
カラーバランス的にはこんな感じでしょうか。
lm8 8s 29stack
OⅢと思われる青緑は出てる気がしますが、Hαの赤い部分の描写はレス改造機の4秒露出より明らかに劣りますね。

ここで、フィルターを、バーダーHαフィルター半値幅12nmにチェンジ! 光のみで比較します。 

ノーマル機16秒露出。案の状フレーム・アラインができなかったので、アラインを切って7枚スタック。
lm8 16s 7stack
あんまり写ってないけど、こんなもんでしょうかね。

続いてレス改造機、同じく16秒露出。こちらもフレーム・アラインできず、4枚スタック。
m8 16s 4stack
これは、かなりの差ですね。レス改造機の露出を半分の8秒にしてみます。7枚スタック。m8 8s 7stack
・・・まだこっちが良く出てますね。さらに半分の4秒露出、
m8 4s 7stack3
うーん、これでノーマル機の16秒と同等くらいかな・・・・? 

この結果のみを乱暴に考察すると、

SV305の光学ウインドウ(IRカットフィルター)は赤外域のみのカットに留まらず、Hαの波長域を1/4程度に減衰させている

と言うことになってしまいますが・・・?

デジタル一眼(初代キスデジ)のIRカットフィルターもHαを1/5程度に減衰させていたのですが、SV305ではデジタル一眼のIRカットフィルターに近いものを採用し、同じような現象が起こっているのかも知れません。一般撮影や月・惑星のカラーバランスを考慮した仕様になっているのでしょうか。
それだと、やっぱり電視観望でHⅡ領域を見るという用途は想定外になりますね。

しかし、当ブログではまだまだSV305目的外使用で秘められた可能性を探り続けます!