はじめちゃん@望遠鏡工房さんが、モダンなタイプの3cmF4アクロマートレンズを設計してくださいました! おそらくSV165のレンズもこのような設計と思われます。

r1 = 72.2mm/6.0mm/ BK7
r2 = -48.8mm/0.0mm/AIR
r3 = -48.8mm/2.0mm/ F2
r4 = -184.5mm/115.98mm/AIR

この値を、フリーの光学設計ソフト「POPS」に入れてみます。
3cmF4光路図
スポットダイヤグラムはこんな感じになります。
full spot
このピント位置は眼視で感度の高い部分に合わせた状態。ここで盛大に出る「赤ハロ」は月面や木星みたいに明るい対象でないとまず見えないので、眼視では問題なし。

収差曲線もこのように赤が離れます。
curve
眼視では非常にシャープで優れた設計と言えるのですが、自分の目的は、デュアル・ナローバンドを使って電視観望をすることなので、C線(赤)とF線(青緑)がこんなに離れるとダメなのです。

C線とF線の焦点位置を一致させるために、はじめちゃん@望遠鏡工房さんが提案してくれたのが、-700R程度の凹平レンズを補正光学系として対物の前に置く方法。
kouro2
とりあえず、青緑と赤がほぼ一致しました!
curve2
その分、青が飛んでって、これが盛大な「青ハロ」になると思われるのですが、デュアル・ナローバンド使用前提なら問題なし。

しかし、問題はR700といった「ほぼ平面」の凹レンズなんてまず既製品では入手できないこと。

さてどうするか? で、100個くらいストックしてある「お楽しみジャンクレンズ箱」を探してみたら、こんなメニスカス凹レンズありました。
IMG_6943
直径19.2mm厚さ2mmで、おそらく、分離式アクロマートの片割れ? と思われます。
曲率を測定すると、凸側R153.75mm、凹側R-42.4mm、レンズ中心の厚み1.7mm程度のようです。
だいぶ曲率がきついので、焦点面の直前に置くことにします。
IMG_6942
レンズ径が小さいので、これならSV305のセンサー直前にも置くことができますね。

ガラスはF2ということにして、さっそくシミュレーション。
KOURO OU
さて・・・
CURVE3
うーん、これはダメかな・・・最適化を求めてレンズのインターバルをいろいろ変えるのですが、一向にC線の赤がF線に近づいてくれません。ちなみに、上の曲線は凹レンズとセンサー面(焦点面)までの距離が5mm程度の時。

やっぱり曲率の薄いレンズを筒先に置かないと無理か。なかなか難しいものですね。