サイトロンの5cmF4「NEWTONY」ですが、少なくとも当方所有の機体の主鏡に関しては、フーコーテスターによるナイフエッジ画像はフラット、人工星をナイフエッジで切れば偏球面の影、さらにロンキーテストで焦点内糸巻き型、焦点外樽型と言うことで、「球面鏡」と判定しております。

人工星による星像テストでもピント位置が釈然とせず、球面収差をどげんかせんといかん! と思っていたのですが、例えばTANZUTSUでは球面の主鏡にバロー? の補正レンズでシャープな見え味を叩きだしており、ひょっとしたらこのパターンでいけるのでは? と思い立ち、実験してみました。
IMG_7037
ビクセンのバローTとシリーズ500のPL10mmを使います。
IMG_7034
これで、人工星を見てみると・・・
IMG_7017
お! すっきりピントが合う、そしてこれは?!
おい おい おい おい!
バローなしの時は一切見えなかった、エアリーディスク&ジフラクションリングが来ているではありませんか!(ちなみに写真には写ってません)

何ですか、F4の強烈な球面収差がアッサリとバローで補正ですか?
これは衝撃です。
114mmF4.4の球面鏡にバロー使ってもこんなにはなりません。
5cmという小口径だから、全体的なスケールがダウンして球面収差がジフラクションリミッテド内に収まった? ともかく驚異の豹変です。

取りあえず、この状態でのバローの拡大率が実測2.2倍、合成fl=440mm、合成F8.8ということになります。しかし、問題もあり、ピントが無限大に合う位置では、
IMG_7026
このようにバロー先端が斜鏡に接触せんばかり。これでは口径食がバカになりません。

そこで、バローのレンズ部分をはずして、アイピースのバレル先端にねじ込みます(ビクセンのバローTはこれができる)。
IMG_7035
この状態でも、エアリーディスク&ジフラクションリングは確認できました。
IMG_7029
やっぱり口径食は出てしまいますが、これならまだ許容範囲でしょうか?

この状態で、拡大率は実測1.7倍、合成fl=340mm、合成F6.5となります。何だかいい感じのスペックになってきました。

実際に星を見てみないと実用性は判定できないですが、これなら、ひょっとして火星の模様も見えるかも知れないですね。

いやいや、やっぱりこのニュートン野郎、只者ではないな!