さて、本日はついに「本題」MAKSYの光学エレメンツ流用(非推奨)のシミュレーションです。

まず、マクストフ・カセグレンについて少し
(参考・引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Maksutov_telescope)。

もともとマクストフの分厚いメニスカスレンズは、製作の難しい高次非球面のシュミット補正板と比較して製作の簡単(球面だけで構成されるため)なものとして、1943年にソ連のD・D・マクストフさんが製作したもののようです。マクストフ・カセグレンの光学面は4面ありますが、第2面であるマクストフレンズの凸面の中央部をスポット状にメッキして副鏡(第4面)とするものでした。これをグレゴリー・マクストフ・カセグレンもしくはスポット・マクストフ・カセグレンと言います。
これは製作がシンプルになりますのでコストダウンにつながります。またユーザーの立場での調整もやりやすいようです。ただし、第2・4面の光学面の曲率が同じにしなければならない、という制限がありますので球面収差の補正を最適化しにくいというのが少し不利になります。
MAKSY60を始め、現行の多くのローコスト・マクストフ・カセグレンがこのタイプですね。

マクストフ望遠鏡のバリエーションはその後発展していきますが、その一つがオランダのH.Ruttenさんにより発表された、ルッテン・マクストフ・カセグレン(またはルマーク)です。
これは第4面である副鏡を独立した曲率に設定できるので、グレゴリー型と比べ、球面収差の補正を最適化できるという利点があります。そして某所でのリークによれば、発売予定のMAKSY80はこのルッテン型であるとのこと!

さて、それでは、今からMAKSY60とMAKSY80の光学シミュレーションを行いますが、あくまでシミュレーションソフトにひな形として入っていた、グレゴリー&ルッテン・マクカセのデータをスケールダウンして近い値を想定した、完全な想像となります。
決してMAKSY60とMAKSY80の実際の設計値や性能を示すものではありません。

ということで、ここから先はかなり割り引いた気持で読み進めていただければ幸甚です。

では、まずMAKSY60の想像図。
MakstovCasse-D60-F12.5 中心22μm
6cmF12.5グレゴリー・マクストフ・カセグレンの参考値になります。
中心星像22μm、F12.5の理想値は18μm以下なのでまずまずといったところ。実際にMAKSY60オーナーの方々のインプレッションでもその性能を垣間見ることができます。

さて、続いてMAKSY80の想像図。
MakstovCasse-D80-F10 中心6μm
8cmF10ルッテン・マクストフ・カセグレンの参考値になります。
中心星像6μmはF10の理想値14.3μmを大幅に下回る素晴らしい性能! グレゴリー型とルッテン型のパフォーマンスの違いを思い知る形となりました。MAKSY80がこのレベルの性能を引っ提げてデビューするとしたらもうこれは「買い」以外の何物でもありません(まあ、販売価格にもよりますが・・・・)。

さて、ニュートン至上主義者のシベットとしましては、

マクストフはニュートンに限る

なので、これらのマクストフレンズを流用し、そのパワーに見合った球面主鏡を配する、マクストフ・ニュートン製作の可能性をシミュレーションしてみます。
マクニュートン
まず6cmF12.5グレゴリー・マクストフ・カセグレンのマクストフレンズを流用する場合。
MakstovNewton-D60-F2.8 中心6μm周辺15μm
F2.8、中心6μm、1°の周辺15μmは写真用としては充分ですね。F2.8なので最適値は4μm以下、焦点距離が短すぎるので、眼視での使用は少し厳しいでしょうか?

次に、8cmF10ルッテン・マクストフ・カセグレンのマクストフレンズを流用する場合。
MakstovNewton-D80-F3.7 中心2μm周辺12μm
中心2μm! F3.7で焦点距離も298mmあるので、眼視でも使えるでしょう。このままでも周辺⒓μmなので悪くはないのですが、これは単に像面湾曲による周辺ピンボケなので、像面をR=305mmの凸面で取ってみますと・・・・
MakstovNewton-D80-F3.7 全面3μm像面R305
一見、スポットダイヤグラムが肥大しているように見えますが、実はこれだけ一辺のスケールを0.003mmに設定しているので、実は全面3μm以下! 何じゃこりゃ! シミュレーションだけでいうとε160EDの実測値を超えたぞ! これ、片面R=305mmの平凸レンズを焦点面直前に置けば、完全アナスチグマートの実現です。

とまあ、机上の空論で喜んでいるのはいいのですが、上の2例のシミュレーション、fl= 188mmだとか、fl=305mmだとか言う、かなりイレギュラーな焦点距離の球面鏡を必要とするので、実現は少し難しいかもしれません。球面とはいえこんな曲率の深い鏡を自作するのも根性が必要ですし・・・

・・・ちょっと待てよ、fl= 345mmの球面鏡ならあるな・・・それはこれ!
f48bd6f8.jpg
写真がピンボケで申し訳ないのですが、ケンコー・スペーシア100Cの主鏡です!
d5797af6.jpg
これを8cmマクストフレンズと組み合わせてシミュレーションしてみると・・・
MakstovNewton-D80-F4.1 中心6μm周辺15μm
8cmF4.1で、中心6μm、これはF4.1の理想値5.9μmをほぼ満足しており、眼視でもおそらくOK。周辺15μmも電視観望用としては十分な値と言えます。うーん、これが使えるなら、MAKSY&スペーシア2個イチ作戦で、高性能マクストフ・ニュートンが手に入るってこと?

いやあ、皮算用は暴走する一方です(笑)
でも別に、マクストフレンズの流用はMAKSY80でなくても、よくある9cmマクカセを中古で探すのでもいいのですけど。やはりMAKSY80はルッテン式を採用した設計者の志の高さをリスペクトして、そのままの状態で使いたいかな?
できればACUTERブランド純正でマクストフ・ニュートン出してもらいたいですね。名称はもちろん、MAKNEWTONY(笑)。

最後にもう一度、

今回のシミュレーションは完全に想像なので、実際のMAKSY60とMAKSY80の性能や発展性を表したものではありません。また、マクストフ・カセグレンのマクストフレンズを自作のマクストフ・ニュートンに流用する手法も推奨いたしかねます。