導入を迷っていたASI462MCですが、気がついたら手元にありました(笑)。
IMG_7276
ご存知、現状でもっとも赤外感度の高い、ソニーIMX462センサーを使ったCMOSカメラですね。
ASI462-QE-curve_655
ただし、センサー面積が5.9x3.3mmと狭く(ASI294MCのセンサーは19.1x13.0mm)、その画角の狭さからか「惑星用」とされています。今回はこれをDSOの電視観望に使うという、一種の「目的外使用」にチャレンジです。

76mmfl=280mmF3.7NEWスカイステージ改でピントが来るのを確認。今日はこの鏡筒を使います。架台はAZ-GTi、SharpCapによる画像処理です。
IMG_7309
AliExpressにて3082円で買った手動のフィルターホイールをつけています。上の画像はIR850によるものですね。
IMG_7310
さて、日も暮れてきましたので、実戦投入しますが、この日は非常に透明度が悪く、空の方向によっては眼視で2等星も怪しい状態。NEWTONYで木星を見ましたが薄雲がフレアのように取り囲んでいました。
ともあれ、フィルターをサイトロンQBPにし、M8を2秒露出、75スタックで。462のGAINは600まであるのですが、ちょっと控えて580。
m8 2s
うーん、これは、SV305の光学ウインドウがノーマル仕様のものに発色が良く似ていますね。Hαの感度は相対的にあまり高くないのかも。さらに、一応ダークフレームを引いてあるのですが、あんまり機能してなさそうで、ちりめんノイズがすごく(笑)。まあ、気温が高いのもあるでしょうけど。

さらに、これの半分の1秒露出、さらに倍の4秒露出でもフレームアラインが成立せず、LiveStackができませんでした。やっぱりバックグラウンドと星の輝度の差が一定量ないといけないのでしょうか。1秒では星の光量不足、4秒ではバックがカブり過ぎて星が埋もれる、の現象が起こり、2秒が適正、だったんでしょうかね、この日の条件では。

M20。2秒露出、38スタック、QBPフィルター。
m20 2sあー、やっぱりあんまり出ないですね。感度はSV305と大差なさそうかな。ASI294MCよりはだいぶ低い印象です。

ここで、赤フィルター(おそらく600nm以降のロングパスフィルター相当)に交換してみます。
(ちなみに、この時点でフィルター交換によるピント移動が無視できず、ピントを合わせなおす結構な手間が発生。ホイールの利便性や時短性があまりないことが判明。軽くへんでおります 笑)。
1秒露出、81スタック。
m8 1s r60
ちりめんノイズが凄すぎるのですが、M20がほぼ見えなくなった割に星はたくさん写っている気が。ちなみにこの赤フィルター使用の時は1秒露出でしかフレームアラインが成立せず。

北アメリカのあたりはもう少し空が暗く、2秒露出でもフレームアラインが成立。183スタック。
kitaamerica 2s R64
スタック枚数増やしても、ちりめんノイズが出たらあまり意味がないことがわかりました(笑)。しかし、これも星はたくさん写っていますね。やはりこの辺は462の赤外感度の高さが表現されているのでしょうか。

では、ということでフィルターをZWO IR850にして赤外域のみを見てみます。対象は連続スペクトル物ということで、さそり座のM4。1秒露出、45スタック。
m4 ir850
これも1秒でしかフレームアラインが成功しませんでした。うーむ、今一つと言わざるを得ませんね。IR850フィルターはとにかく暗くなるので、せっかくのASI462MCの赤外感度の高さをキャンセルして余りある、くらいの減光になっているようです。

あと、センサー面積が5.9x3.3mmと狭いためfl=280mmでも写野が狭く、AZ-GTiの導入精度ではなかなか一発導入! と言うわけにもいかず、結局「半自動導入」みたいなアナログ部分の負担が発生しておりました。そこで、よくある31.7mm0.5×レデューサーも考えたのですが、それでなくても星像がシャープとは言えず(少し明るい星は肥大する)これ以上シャープネスを犠牲にするのはいやだったので見送っています。シミュレーション等で最適化されたレデューサーが設定できればよいのですが・・・

ちょっと考えましたが、ここで写野の広さを優先して、CANON18-55mmズームレンズに対物を交換。
30mmF4くらいでM16,17あたりの星野を狙ってみました。ノーフィルター、4秒露出、21スタック。
m17 no filter 4s
M16、17とも、何とか赤くでますね。しかしカメラレンズに赤外結像を求めるのは目的外な要求になるので、予想通りシャープとは言い難い星像。
ここで、ケンコーR64フィルター(640nm以降のロングパスフィルター)をレンズの先に置いてみます。8秒露出53スタック。
m16,17 R64 30mm
あ、だいぶ違ってきましたね。星数はかなり増加し、コントラストも上がりました。銀河の暗黒帯もはっきりし始めています。赤外域が白く、HⅡ領域は赤く表現されるという独特の写り方になっていますが、現状、自分が赤外域利用の電視観望に想定しているのはこの世界になるのだと思います。まだまだ観賞価値があるレベルとは言い難いですが、片鱗がみられたくらいの現状でしょうか。とにかく今日の空の状態では、空の条件が良い時(と言っても3等程度ですが)の同じ対物を使ったSV305の写り方にも負けているので、透明度の良い日に真価を問いたいところではありますね。

赤外王への道はまだまだ遠いなあ・・・