さて、オープン双天会#6の第4ステージでは、Mel Bartels氏の提唱する、F3ミラー及び主鏡メニスカス形状がどのような機能を持つか、を取り上げました。

これはもともと当方ブログに掲載した下の記事の内容を参加者の皆さんに考察してもらうという企画です。


Mel Bartels氏は以前より、F3前後のミラーを使用したRFTを提唱し続けておられますが、2018年にはその集大成とも言える、64㎝F2.4(!)を完成しておられます。

まず、F3前後の主鏡を使うことによる最大のメリットは、鏡筒が短くなることによるコンパクト化があげられます。たとえば、これはシベットの自作30㎝F5鏡筒ですが、仮にこれをF3の鏡に換装したとすると、分割した紫の部分だけで望遠鏡が成り立つ計算です。
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半分くらいにコンパクトになって運用も相当楽になりそうです。
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さて、Mel Bartels氏の最近の作ではFが短い主鏡を使うのに加えて、主鏡がメニスカス・ミラーを採用しているという特徴があります。メニスカス・ミラーというと、一般的には、シュミカセの主鏡の杯型( 鏡の端に行くほど薄くなる )のものをご存知の方も多いと思いますが、Melのは下の図のオレンジの線のように裏と表に同じRがついていて、厚さが一定になる形のものです。

このメニスカス形状について氏は、

1 軽い
2 鏡の剛性が上がり、セルが3点支持でも歪まない
3 温度順応が早い
4 しかも温度順応の最中も放物面が歪まない
5 パイレックスの20分の1程度の値段の安いガラスでも作れる

などのメリットをあげておられます。

オープン双天会#6の第4ステージでは、主鏡がメニスカス形状であること、さらにF3前後の口径比を採用してコンパクトな望遠鏡を作るという、氏の提唱を話題にしてみました。以下、例によって出た意見を箇条書きにします。

*焦点距離が短いということは高倍率が使いづらそう。惑星状星雲なんかは400~500倍は使いたい。また、Fが明るいと光軸調整も厳密になるなど運用上の問題も発生するのではないか? 1mくらいの大口径だとコンパクトにするメリットも大きくなるだろう( →Mel Bartels氏は1mも計画しておられるようです )

*パラコア2の登場でF3クラスを運用することが出来始めた。個人的にも現在の30㎝F5をF3~3.5に換えて、鏡筒をコンパクトにしたい。彗星捜索をおこなっていると望遠鏡を振ることが多くなるのだが、鏡筒が短いことにより接眼部の移動が少なくなるのは助かる。

*倍率を上げる方法はテレビューのパワーメイトとかバーロウでの手立てもあるが、短くしてコンパクトにするのには主鏡のFを短くするしか方法がない。

*HubbleOpticsではF3レベルのミラーが比較的安価(305mmF3 $850)に供給されているが、これの導入を考えている。

*30㎝F3クラスだと4~5インチ(10~12.5㎝)の斜鏡が必要になるが、4インチ($300)に対し5インチ($800)と急に高くなる。眼視なら4インチでも何とか設計が可能か?

*表面と裏面が同じRなら温度順応で面が歪まないことは十分考えられる。

*フラットな板より表・裏ともRを持ったメニスカス形状の方が圧倒的に剛性が高い


など、Mel Bartels氏のコンセプトを裏付けを与えるようなコメントが多かったです。
そこで、すかさず国内でF3クラスのミラーを供給し始めた渡部さんのサイトを紹介!

ここでは、25~30㎝F3クラスの超高精度ニュートン用ミラーが、純国産にもかかわらずリーズナブルな値段で提供されています。通常、F3クラスの放物面鏡製作は非常に難しいのですが、リッチークレチャンなどカセグレン系の主鏡を作った経験を生かされ、さらにMel Bartelsのコンセプトに沿った望遠鏡の自作素材としての供給を心がけておられるようです。これを現実のものとした努力には全く頭が下がります。

もちろん、双天会参加者の皆さんにも大反響! 「どうです? こんなの知らなかったでしょ?」と当方が鼻高々にドヤ顔をしておりました(笑)。

その後、F3クラスの今後の展望に関しては、

*25cmF2.7で「単身赴任用望遠鏡」が作れますね(笑)

*アメリカの自作大口径望遠鏡は全部が全部良く見えるとは限らない。怪しいものもある。

*日本ではシーイング悪いんで公共天文台の1mクラスで土星を見たとき「豚の鼻」にしか見えなかった(笑)。50cmのほうが良く見えた。1mF3クラスはコンパクトさで持ち運びで来ても性能を発揮するという意味での運用は難しいかも。

*口径最大60㎝F2.8くらいだと脚立がいらない(1mでも円形斜鏡を使った「フォールディッド」だと脚立がいらない?)

など、いろいろな意見が出つつ、F3クラス大口径ドブソニアンの普及に向けての「序章」が感じられる展開で会議を終了いたしました。

はたして、F3クラス・ドブソニアンは眼視観望の次のトレンドとなるか!?