前回、ノーフィルターでの電視観望で、今までの定説を覆す衝撃の結果が得られたわけですが、
今回はもう少し追試験をしてみようと思います。
用意したフィルターは、OPTOLONG・ClearFocusing、SVBONY CLS、SVBONY UV/IR CUT、SIGHTRON QBP の4つです。

OPTOLONG・ClearFocusingは、ノーフィルターのシミュレーションですね。その名が示すようにノーフィルターにした時のピント移動を防ぐやつですね(ちなみに今回左の3つは同じピント位置でしたが、QBPだけは合わせ直さなければなりませんでした。多くの方が報告していますが、QBPのネジピッチが微妙に違っていて全部ねじ込めず少し浮いているのが原因かもしれません。あとガラスの厚みが違うとかも考えられます)。
機材は「ケンコーNEWスカイステージ改・76mmF3.7鏡筒(fl=280mm)に笠井0.75×レデューサー、さらに70mmに絞った”F3”仕様 + AZ-GTi経緯台 + SharpCap」になります。空の条件は限界等級2等程度、春特有のかなり透明度の悪そうな空でした。
さて、まずはClearフィルターで、しし座トリプレット 以下すべてGain40、4秒露出、100スタックです。
使っている周波数バンドが、Clear→UVIR→CLS→QBPと、だんだん狭くなる傾向になりますが、明らかにそれに伴って写りが悪くなっています(CLEARとUV/IRではあまり違いませんでしたが、これはQHY5III485Cの赤外感度があまり高くないためだと思われ、たとえば赤外感度の高いASI462MCとかだと1枚目と2枚目の差がもっと出たかも)。
やはり、銀河のような連続スペクトル天体を電視観望で見る場合、中光害地(SQM20等台)での運用では、ノーフィルター(Clear)によるフルバンドを使用するのが最強と言えますね!
続いて、輝線スペクトル天体ではどうか? 昇って来たばかりのM27でGain40、4秒露出、120スタック。
まずは、Clear

今度は、まったく逆の結果となりましたね。M27のような輝線天体では天体の光を減らすことなく、周波数の利用帯域を制限してバックグラウンドのカブリを押さえられるCLSやQBPがコントラストの面では有利なようです。
もっとも、この時のM27は昇って来たばかりで
↓高度が低く(10度くらい?)、

大気の散乱の影響で星もほとんど見えない状態から上のような画像を炙り出しています。しかも実際の撮影順番はQBPが一番先(つまり高度は一番低い状態)なのです。つくづくQBPのようなデュアル・ナローバンドフィルターのコントスト向上性能を再認識した次第です。

大気の散乱の影響で星もほとんど見えない状態から上のような画像を炙り出しています。しかも実際の撮影順番はQBPが一番先(つまり高度は一番低い状態)なのです。つくづくQBPのようなデュアル・ナローバンドフィルターのコントスト向上性能を再認識した次第です。
ちなみに、しし座トリプレットの方は天頂近くで条件が良かったため、周波数帯域を広く使った方が結果が良かったのですが、もし高度が低かったり、もっと強い光害地でならそうなるとも限らず、逆にQBPで露出をたっぷりかけるほうが銀河のコントラストが上がるかも知れません。実際、自分の検証でもそのような結果が出たこともあります(この日もあまり透明度の良い条件ではありませんでしたし、対象となったM51の高度も西に45°くらいでかなり光害の影響を受けていました)。
当方自宅はSQM20等台の中程度光害地ですが、今回のように高度の低い状態を狙ったり、満月期に検証を行うことで、今後、強光害地のシミュレーションを行うこともできそうですね。そうなると、やはり究極にはHa~近赤外を使うことになろうかとも思います。
さて、続いて前回得られた仮説
暗黒星雲の表現はノーフィルターが最強?
を検証するために、M8、M20を導入したのですが、途中で夏の銀河のあたりに雲が出てきたらしく、役に立つような結果は得られませんでした。一応経緯を載せておきます(Gain40、4秒露出、120スタック)。
Clear

全部パッとしないですね。高度が低いとは言え、明るいM8あたりはもっと強烈に写るはずなのです。たぶん、すでに薄雲っていたのだと思います。自宅での電視観望は基本的に室内で操作しているため、雲が来たりの変化には気づきにくいですね(笑)。
あと、どれもピントが片ボケ気味ですね。特にQBPのはひどくて、M20のあたり、完全にピンボケ状態です。これはCMOSカメラの取り付けが31.7mmスリーブ&バレルなので微妙にガタがあって傾けてしまったようなのです。これには注意が必要ですね。
そこでガタを利用して(笑)、そこそこスケアリング調整(?)したのがこれ↓
この時点で時刻は午前2時前、終盤はいつものように半分寝てる睡眠学習状態でやってましたがさすがに力尽きて就寝。暗黒星雲の表現の検証は次回に持ち越すことに。
”スネーク”S字状暗黒星雲とかでやってみたら面白いかな、とは思っています!
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