先日、Samさんから「ミニ三脚に自由雲台、FMA135+ASI294MC」という非常にコンパクトな電視観望システムが提案されました。
これは、Askar FMA135の焦点距離の短さ(fl=135mm)と、ASI294MCのラージフォーマット(4/3")を生かし、SharpCapのフレームアライン機能を使うことで架台の追尾を省略したもので、システムが画期的と言えるほど小型化されており、今後、電視観望のエントリー層には大きな福音となることが予想されるものです。
ただ、現状ではFMA135やASI294MCにそれなりのコストがかかり、ここが大きなハードルとなると思われます。そこで、もう少し安価な機材を使って近いことができないか考えてみました。
今回、ACUTERブランドの5cmF4NEWTONY鏡筒(約6千円)と1/1.2”のCMOS、QHY5Ⅲ485C(約4万円)を使います。
NEWTONYはそのままだとfl=200mmですので、今回の目的には少し焦点距離が長いですね。まずは適当なレデューサーの設定から始めます。
反射鏡の諸収差の補正を考えると、光学シミュレーション上ではだいたい対物の1/1.5くらいの焦点距離のアクロマートレンズが、レデューサー・フラットナ―・コマコレクターとして適合しそうなので、たくさん種類のある手持ちの小さなレンズから、近いものとしてD=26mm、fl=100mmくらいのレンズを出してきました(本当はfl=130mmくらいのを使いたいのですが、ないものは仕方なく)。
さらにレンズ抑えとして上の方にも植毛紙を貼ります。適当ですがこれで一応固定完了。
さっそく近所の鉄塔を見て性能を確かめます。
まずはレデューサー入れる前の5cmF4、fl=200mmで。
レデューサーを入れたことでかなり視野が広くなります。
中央拡大。
で、このオブジェクトを右上に移動して・・・
ちょっと像の明るさが違ってしまったけど、こちらも十分シャープですね! もちろん星を見るまでは天体での実用性は判定できないけど、地上風景で見る限りではレデューサーがうまく適合した、と言えそうです。これは期待が持てそうだ!
合成fl=160mm、口径比はF3.2となりますが、この鏡筒は25mmの斜鏡をつけてあるので、この分を差し引くと集光力は口径43mm相当となります。したがって、実質F3.7ですが、それでもまだかなり明るい光学系ではありますね! Askar FMA135はF4.5ですから、F3.7だと明るさでは約1.5倍、この点だけ見ると「勝っている」とも言えます。
しかし画角の面では完敗(笑)。
QHY5III485Cの1/1.2"センサー(11.3x7.1mm)だとfl=160mmでの画角は4.0°×2.5°。
Samさんのシステム、ASI294MC、4/3" (19.1x13.0mm)、fl=135mmだと画角は7.3°×5.5°
画角面積比で約1/4しかありません。
レデューサーと焦点面をもう少し距離を取ればもっと合成flが短くなりますが、現状でせっかく最適化されてフラットフィールドになってるからなあ・・・
この画角ですと、追尾なしでのライブスタックでは、視野のブラックアウトが半分の時間で起こってしまうことになりますね。さらに、自動導入なしでは天体の導入にも難渋するかもしれません。
あと、fl=160mmにQHY5III485Cの2.9μmピクセルでの固定撮影で何秒まで星が点像になるかとか・・・
ま、実際に追尾なし電視観望を行ってみようとは思っていますが、実用性はどうでしょうね?
AZ-GTiでの使用を前提にしたら、いい感じの広い視界システムができた、と言うこともできますね。M8と20も余裕で同じ視野に入るかな? 反射だから赤外もいけるしね。
いずれにせよ使うのが楽しみです!
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