kenko New スカイステージ改です。
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最近一番使っている鏡筒なのですが、あまりにも改造部分が多く、もとのNEWスカイステージとは全く別内容になっておりますので、今回はそれに言及したいと思います。

まず、イメージサークルと筒外焦点確保のため短径40mmの斜鏡(ノーマルは28mm)に着け換え、接眼部をビクセンのスライド接眼部に換装してあります。
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↓接眼部取り付けの模様はこちら(この時は斜鏡28mmですがその後40mmに換装
 
主鏡はもともと球面鏡で、正直見え味がよくありませんでしたので放物面に交換しています。

76mmの放物面鏡はこのようにたくさん持っているのですが(ほとんどがコスモキッズの鏡)、今回は左下の1/5λの鏡を使いました。
コスモキッズ鏡
ちなみに右下の球面鏡がもともとNEWスカイステージについてた鏡です。これはこれできれいな球面ですね。
この1/5λの鏡をF3MIRRORさんのリモート・フーコーテスターで測定してもらった結果は以下のとおり。


この測定結果によれば、全体的な面精度としては1/5λ程度、悪くはないのですが、面の中央が鏡面を少し乱しています。しかし、「NEWスカイステージ改」では換装した斜鏡径が40mmもあって完全にこの部分を隠し「怪我の功名」(笑)にてその影響がなくなるわけです。
さらに、筒先を(フニャフニャの紙の絞りで)70mmに絞っておりますので、鏡周のやや負修正になっている部分もカット。下に示したように鏡面の90%~50%のゾーン、つまり一番精度の高い部分を「いいとこ取り」することになります(中央光束の場合)。


黒い線が放物面の理論値、赤の折れ線がこの鏡の実測値となっており、青で囲んだ部分だけなら、かなり高精度の放物面として考えられるわけです。概算で、1/14λ程度でしょうか。
と言うのも、最初から90%~50%のゾーンが一番理論値に沿っている鏡を使おうと思ってたくさんのコスモキッズの鏡の中から測定値グラフを見ながらこれを選定した確信犯(笑)。
スペックとしては、D=70mm fl=280mm F4となります。
NEWスカイステージの場合、ノーマルでは主鏡の光軸修正機構は省略されているのですが、放物面鏡の中央無収差を最大限に生かすためTANZUTSUの主鏡セルを改造流用することでスケアリング調整を可能にしています。
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以上が奏功し、2倍バーロー、Or4mm140倍で惑星の眼視観望が十分行えるシャープネスを獲得しています。2016年の火星接近の折には下のスケッチのようなイメージも得られました。
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ただし、中央遮蔽が堂々の直径比57%にもなるので、さすがに惑星表面の模様のコントラストや彩度はやや弱いです。しかしシャープネスだけは最高クラスと自負しております。

そのままでは、D=70mm fl=280mm F4なのですが、電視観望用途では、D=26mm 、fl=100mmのアクロマートを使った自作0.8倍レデューサーでfl=224mm、F3.2として使います。
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厳密に言うと、中央遮蔽の減光と反射面の反射率による損失(一面あたり90%とし、2面で×0.81)を考えあわせると、集光力は口径57.5mm相当。224mm ÷ 57.5mm を計算すると、F3.9となります。
まあ、口径比は公称F3.2、明るさはF3.9の屈折相当ということでしょうか。

1/1.2”センサーのQHY5Ⅲ485Cによる電視観望では実視界2.9°×1.8°のほぼ全面にわたってまずまずの星像が得られました。
ami 16s gain40 55stack
(網状星雲 16秒露出 gain40 55stack qbpフィルター使用)

眼視と電視観望にそれなりの性能を発揮する一台二役、このパフォーマンスが950gの軽量におさまっているコンパクトさも稼働率を上げる一因となっています。

Kenko NEWスカイステージ改、今後もフル稼働していく予定!