IR640proフィルターを使った「Ha~近赤外電視観望」にてレナード彗星の長い尾を捉えるはずが、光害の壁を超すことができず企画倒れに終わったばかりですが(笑)、広視界が無理なら少し先端部分を拡大しようと思い、SP140SS14㎝F3.1(fl=434mm)でやってみました。
IMG_4701
IR640proフィルターを使用し、後はASI294MC、AZ-GTi経緯台、SharpCapによる画像処理といういつもの組み合わせです。

さて、まずは金星が沈む前に一応見ておきます。
kinsei3
37枚ほどスタックした結果ですが、近赤外だと極低空でもシーイングの影響が少なくて済んでいる気もしますね。このあと鉄柱の向こうに沈んで行きました。
kinsei5
では、本題のレナード彗星は・・・おっ、いたいた。
Comet Leonard  1秒露出 20stack Gain290 IR640proフィルター
Comet Leonard  1秒露出 20stack Gain390 IR640proフィルター
まだ薄明で空が明るくてGainや露出はあまりかけられません。このままもう少し暗くなるのを待って、と。
Comet Leonard  4秒露出 71stack Gain390 IR640proフィルター
Comet Leonard  4秒露出 71stack Gain390 IR640proフィルター
まあ、こんなもんでしょうかね? 何だかCometBPフィルターとあまり変わらないような気もしますが、いやいや近赤外だから低空でもこれだけのコントラストが出せた、ということにしておきたいと思います(笑)

この後、電線をくぐって山の向こうに沈んで行ったレナード彗星をGIFアニメーションにしてみました。
レナード彗星没4
というわけで、今日も二度と太陽系に戻ってこないレナード彗星を見られて感謝、です!

さて、せっかくですので14㎝F3.1 による近赤外電視観望を少しやって見ます。
NGC253  8秒露出 57stack Gain390 IR640proフィルター
NGC253  8秒露出 57stack Gain390 IR640proフィルター
これfl=434mmでの中央拡大なのですが、C8×0.63レデューサーのfl=1260mmと解像度があんまり変わらない気がするのですよね・・・やっぱりシーイングの影響かな? 

NGC1300  8秒露出 182stack Gain390 IR640proフィルター
NGC1300  8秒露出 182stack Gain390 IR640proフィルター
これも1260mmとあんまり変わらん気が・・・まあいいか(笑)。

このシステムではHⅡ領域はちょっと厳しいかな。コントラスト出せないです。
カリフォルニア星雲  8秒露出 10stack Gain390 IR640proフィルター
カリフォルニア星雲  8秒露出 10stack Gain390 IR640proフィルター
まあ、コントラスト以前に周辺減光が(笑)

M33  8秒露出 80stack Gain390 IR640proフィルター
M33  8秒露出 80stack Gain390 IR640proフィルター
M33でもQuadBPフィルターやCometBPフィルターと比べてそれほどコントラスト上がってる感じはないですね。
NGC891  8秒露出 43stack Gain390 IR640proフィルター
NGC891  8秒露出 43stack Gain390 IR640proフィルター
天頂に近いと8秒露出でも視野が回転してしまいますね。画像の左側の方にその影響が出ています。

うーん、当方自宅ベランダのようなSQM20等台の「中程度光害地」での銀河の描写に関しては、素直にノーフィルターでやるか、使ってもCometBPフィルターなどにした方が結果がいいような気がします。やはり近赤外のメリットはSQM18台の強光害地でこそ最大限に発揮されると言えるのでしょうか。

しかし、今日は月がない条件。月光に照らされた状態だと中程度光害地でも近赤外の効果はたぶんあると思います。でもその辺ちゃんと調べてないので、実験しておく必要はありますね。

いずれにせよアマチュアによる近赤外利用の歴史はまだまだ始まったばかり。今後次々優れたメソッドが開発されていく前途洋々のジャンルと思います!