PlayerOne Apollo-M MAXを取得しています!
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1.1型の「IMX432」 モノクロ センサーを搭載したCMOSカメラですが、何と言ってもピクセルサイズが9μmと大きくかなりの高感度が期待できます。加えてグローバルシャッターで高速撮影も可能であるとか、さまざまなオプションが考えられますが、自分はこれを電視観望に使おうと思っています。今回は当方メイン鏡筒であるSP140SS+クローズアップレンズNo4、14㎝F3.1+AZ-GTi経緯台+SharpCapによる検証です。SV905CとPHD2によるオートガイドもおこなっています。
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さて、さっそくに問題発生(笑)。当方が自宅でおこなう電視観望は望遠鏡のみをベランダに出し、4mのUSB延長ケーブルを室内に引き込んで「簡易式リモート天文台(?)」としているのですが、PlayerOne Apollo-M MAXの場合、延長ケーブルを介するとCMOSカメラ自体は認識するものの、動作しません(1mの付属ケーブルのみの場合はOK。またZWOのASIカメラの場合は同じ延長ケーブル使用でも問題なく動作してます)。これについてTwitterでつぶやいたところ、Apollo-M MAXに限らずPlayerOneのCMOSカメラが延長ケーブル併用で動作しなかった情報が寄せられました。

原因は、本体のUSBのType-Bコネクタの電源端子の接触圧が低すぎる? 長い延長ケーブルによる抵抗増加? などが推測されましたが、実際のところ不明です。ともあれ、電源付きのハブを介することで動作するようなので、後日それを導入することとします。本日は止むを得ず、パソコンもベランダに出しての”露天”電視観望となりました。
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しかしこれは個人的にはかなりデメリットがあり、
1 蚊に無茶苦茶刺される(当日実績20箇所程度)
2 ベランダなので歩いた振動が望遠鏡に伝わりやすい
3 開き気味の瞳孔にパソコンモニターがまぶしくて望遠鏡の様子が見えない上に、おそらく目にも悪い
4 寒い
などなど、悪いことづくめ。まあ、星見は通常”露天”が基本なのですけど、普段の簡易リモート観望がいかに快適かを改めて思い知ることになりました(笑)。

(追記)
その後、TwitterにてM1623さんからご紹介いただいた電源付きハブ

を使用したところ、4m延長ケーブル使用でも認識・動作いたしました。
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ありがとうございました!


さて、春ということで対象は銀河からスタート!
NGC4565 gain146 4s 26stack nofilter
NGC4565 gain146 4s 26stack nofilter
うーん、悪くはないけど背景はザラザラしてるし、期待したほどの強烈さはないなあ・・・・

Apollo-M MAXのダイナミックレンジがもっとも広くなる値のgain146(あぷらなーとさんの受け売り)に設定、ノーフィルターは銀河の暗黒帯の描写を狙ってのことです。

しかし率直に言ってやや期待外れの描写。これだったら前に同じ14cmF3.1にてASI462MCでやったやつの方がいいのでは?

ASI462MCによるNGC4565 30stack 8s Gain300 ノーフィルター
4565 8s gain300 30stack
Apolloのピクセルが9μmなのに対し、462は2.9μm。解像度で負けるのは仕方ないですが、それならもっと強烈な高感度でその穴を埋めて欲しい感じも・・・・

まあしかし、高感度なのは間違いないです。例えばgainを上げれば、かなり背景荒れますが1秒露出でもこれぐらい写りますしね。
M104 gain445 1s 166stack nofilter
M104 gain445 1s 166stack nofilter
しかし、この「明るいものを短時間で写すのは得意だけど、輝度の低い部分を拾い上げる力はない。さらに階調も乏しい」という感じはあのASI482MCの悪夢が甦ります(笑)。いや、PlayerOneに限ってそんなはずはない、そんなはずは・・・やはりgainを下げて露出を少しのばすか。

M104 gain146 4s 51stack nofilter
M104 gain146 4s 51stack nofilter
うーんだいぶ縮緬出てしまったなあ・・・DPS効いてくれてるんすかね? ダイナミックレンジが狭い時の特徴でバックグラウンドのムラも激しいなあ。

特に強調処理で銀河を浮かび上がらせようとすると下のM95みたいになってしまいます。

M95 gain300 4s 60stack nofilter
M95 gain300 4s 60stack nofilter
しかしここで、SharpCapの新機能「背景減算」(ヒストグラムの少し上にスイッチがある)を発見。
これは動作原理は不明ですが、どうやらリアルタイムに背景のフラットを作成して引いてくれる機能のようで「オフ」「単純なオフセット」「ブレンドオフセット」「グラジエント除法」の4つのモードがあるみたいです。それぞれのモードの原理も全く不明ですが試行錯誤的に「グラジエント除法」が一番うまく行く気がしましたので、以降はそれをオンに!

M51 gain146 4s 67stack nofilter
M51 gain146 4s 67stack nofilter
これも少し縮緬出てますけど、だいぶ背景のムラが扱いやすくなりました。

ここでさらに気づきます。この日は月はないのですが、実は肉眼で2等星がギリギリ見えるくらいに透明度が悪く、よく考えたらこんな散乱光祭りな日にノーフィルターでやったらそりゃムッシュムラムラ・・・じゃなかった(笑)、バックムラムラになるな、と。

よし、散乱光除去の為にIR640proフィルターだ!
NGC4565 gain146 4s 60stack IR640 pro filter
NGC4565 gain146 4s 60stack IR640 pro filter
いいぞ! 急に素直になりやがった!

ちなみに上のは少し中央拡大してますが、これをフル画角にすると
NGC4565 gain146 4s 224stack IR640 pro filter
NGC4565 gain146 4s 224stack IR640 pro filter
ほら、もうフラットほぼ完ぺきでしょう! 今まで電視観望でリアルタイムにフラット引こうとして全然合わず、さんざん苦労してたのが嘘のようです(笑)。
SharpCapさん、相変わらずいい仕事してますな!

逆に中央拡大するとこんな感じ。
NGC4565 gain146 4s 242stack IR640 pro filterNGC4565 gain146 4s 242stack IR640 pro filter
うーむ、やはりfl=400mmクラスの解像度としては今一つかな? 9μmラージピクセルの代償ですね。

さて、ここまででやはり階調が少し乏しいような気もしてきていますので、gainの違いによる写り方を見て行きましょうかね。
まず、基本のgain146から
M101 gain146 4s 63stack IR640 pro filter
M101 gain146 4s 63stack IR640 pro filter
まー対象もM101だし、薄いですわな。

で、一挙に倍以上のgain346.
M101 gain346 4s 60stack IR640 pro filterM101 gain346 4s 60stack IR640 pro filter
だいぶ低輝度部分が持ち上げやすいですね。低gainでやるとダイナミックレンジ広いんでしょうけど、ヒストグラムをストレッチする作業が非常に微妙な操作になるのである程度高gainの方が使いやすい側面は明らかにあります。

で、Apollo-M MAXの最大gain625では!?
M101 gain625 4s 60stack IR640 pro filter
M101 gain625 4s 60stack IR640 pro filter
さすがに中心部が少し飛び始めた感じはありますが、特筆すべきはバックグラウンドの縮緬の程度が一番軽くなっているとこでしょうか。これ、ひょっとして
Apollo-M MAXはgainもMAXで使え
ってセオリーが示唆された?

しかし極端な行動は不安になる小市民・・・いや「小天文民」なので(笑)もうちょっとgainを抑え気味にした475でも。
M101 gain475 4s 62stack IR640 pro filter
M101 gain475 4s 62stack IR640 pro filter
あーやっぱり、gainを抑えると縮緬が復活してきますね。しかし中心のサチりを考えるとこのあたりが落としどころとなるのでしょうか?

てな感じに、あーだこーだやってると夏の銀河も上がってきましたので・・・
M17 gain475 1s 201stack IR640 pro filter
M17 gain475 1s 201stack IR640 pro filter
1秒露出でこれとは、さすが輝度の高いものには強いですね! しかしそれほどシャープな星像でもない星がこう多いと画面にボテボテ感が出てしまいます。あと、やはり階調は今一つ乏しい気がしたのでgain146に下げ4秒露出でやって見ました。
M17 gai146 4s 30stack IR640 pro filter
M17 gai146 4s 30stack IR640 pro filter
うーん、どうでしょう。コントラスト高い方がいいかな?

Sadrr付近 gain475 4s 73stack IR640 pro filter
Sadrr gain475 4s 73stack IR640 pro filter
こっちはさすがにgain146じゃはっきりしなかったので、475で。やはり階調が乏しい気が。

これらもいまひとつかな。
網状星雲 gain475 4s 66stack IR640 pro filter
網状星雲 gain475 4s 66stack IR640 pro filter
北アメリカ gain146 4s 36stack  IR640 pro filter
北アメリカ gain146 4s 36stack  IR640 pro filter
三日月星雲 gain475 4s 56stack IR640 pro filter
三日月星雲 gain475 4s 56stack IR640 pro filter

やはりそれなりの輝度があるものでないと見栄えがないようです。
M16 gai146 4s 37stack IR640 pro filter
M16 gai146 4s 37stack IR640 pro filter
M8 gai146 4s 20stack IR640 pro filter
M6 gai146 4s 20stack IR640 pro filter
というわけで、PlayerOne Apollo-M MAXをDSOの電視観望に使ってみたわけですが、率直に言って今回は期待したほどのパフォーマンスを発揮させることができませんでした。

電視観望にモノクロセンサーを使う場合、色がつかないという部分で鑑賞価値は大きなハンディを背負うことになりますので、これをカバーするために

1 カラーでは検出できない輝度の低い部分の描写
2 カラ―では表現できない豊かな階調やきめの細かい描写

などがないとモノクロのメリットを感じることができません。

その意味ではApollo-M MAXのパフォーマンスでは、現状「△」くらいの評価ですね。
少なくとも電視観望における銀河の描写に関してはApollo-M MAXの半分以下の価格であるASI462MCに負けていると思います。

ピクセル9μmを生かしきれてない当方の運用にも問題がありますが、今日の結果しか得られないのであれば電視観望用としてApollo-M MAXに価格的なメリットはないですね(一瞬、やっぱりXena-Mにしとけばよかったか? という考えてはならない思考に 笑)。しかし、まだApollo-M MAXを本格的に使ったのは今回の1回のみ。当方の使い方が全くなってない可能性も大きいです。

この記事をご覧になった方で、Apollo-M MAXはDSOの電視観望ではこう使え! 的なセオリーがありましたら是非ともご教授いただければうれしいです!
・・・というかもともと太陽専用?(笑)