スターフォーレスト御園では天体観測用のドームを備え付けており、その中には旭精光SG600型、60㎝望遠鏡があります。ニュートン焦点は2396mm(F4)、カセグレン焦点は7200mm(F12)の「ニュートン/カセグレン」ですね。
さらにこれには4本の屈折が同架されているのですが、画像の一番右のやつが、何とタカハシFCT200、20cmF10 3枚玉アポクロマート!
ドーム内で操作や説明をおこなってくれた、スターフォーレスト御園の神谷さんによれば、このFCT200の価格は60㎝とほぼ同じ(いや、FCTの方が少し高いって言ってたかな?)。
もはやサブスコープと言うより「ダブル・メイン・テレスコープ」ですね!

さて、それでは早速そのダブル主役を見せてもらいます。これは実際の観望の模様。
いのさん撮影2
(画像提供:いのさん)

雲の合間から、おおぐま座方面を狙っていますね。このドーム内での観望に当たっては、大体20cm屈折の方を見てから60㎝反射を見る、ということになるのですけど、同じ観望対象で60㎝反射の集光力と、20cm屈折のコントラスト・結像の鋭さを交互に味わうという、あんまり経験したことのないスタイルとなりました。

M51を見せてもらいましたが、60㎝でのイメージはこんな感じでしょうか(写真を眼視風に加工し、当日のイメージを再現したもの。実際の映像ではありません)
m51 眼視風2
淡いながらも、腕がはっきりわかりました。

さて、ここで新兵器登場。Nickさんのナイトビジョンシステムを60㎝に取り付けるというチャレンジです!
39ee09d8-s
これを取り付けるとM51が・・・
m51 ナイトビジョン風
見える内容はほぼ同じなのですが、一気にコントラストが上がって見やすくなります。ただ赤い散光星雲の時ほどの劇的な効果はないですね。60㎝のカセグレン焦点はF12と暗く(ナイトビジョンは対物のFが明るければ明るいほど真価を発揮する)、また銀河はナイトビジョンがそれほど得意な対象ではないためと思われます。

しかし「DSO観望のベテランが”そらし眼”等を駆使して検出する淡い部分まで、観望経験の浅い方も楽に見られる」というかんじには持って行けるのはやはり特筆すべきナイトビジョンのパフォーマンスと言えましょう。

それなら、輝度の高い惑星状星雲では? と神谷さんにM57をリクエスト。
いのさん撮影1
(画像提供:いのさん)

さて、どうかな?
(写真をナイトビジョン観望風に加工したもの)
M57ナイトビジョン
「でかっ!」
思わず声が上がります。単なるリング状じゃなく写真で見慣れた楕円形のM57の輪郭がそのままに見えました! やはり、Fの暗い大口径にナイトビジョンをつける場合、視直径が小さく輝度の高い惑星状星雲に適性がありそうですね。

「60㎝F12+ナイトビジョン」は観望対象がかなり絞られる、ということもわかり、後はM13等の定番天体で60㎝反射と20cm屈折を行ったり来たりの「通常モード」に戻りました。

しかし、この「往復モード」をやっていると、FCT200はさすが3枚玉アポクロマートだけあって、そのクリアでシャープな見え味に「むしろこっちがメイン鏡筒でもいいのでは?」という気持ちも生まれてきました(笑)。おそらくシーイングが悪い日には、屈折特有の安定したイメージで60㎝を食う活躍をしているのではないかとも想像されました。

ところで、この60㎝望遠鏡、詳細なスペックは以下「ニュートン/カセグレン」ではありますが、神谷さんによれば、ニュートン焦点は接眼部の位置が高いので通常はカセグレン焦点を使用しているとのこと。
IMG_5663-2この望遠鏡のカセグレン焦点は、天頂ミラー等を介さずアイピースを取り付ける「直視型」で運用されているのですが、これだと体をかがめた位置から見上げることになり、天体の仰角が高い時は観望姿勢がかなり苦しくなったのも事実。
fG5-76bz.jpg large
(画像提供:ぐらすのすちさん)
人間は楽な姿勢で見る方が視認性が向上しますので、ここはぜひとも天頂ミラーやできれば正立ミラーなどの導入を望みたいところですね。

それはともあれ、60cm反射と20cm屈折、さらにはナイトビジョンと、もの凄く充実した観望であったことは間違いありません。神谷さん、予定より遅い時間までありがとうございました!