前回、P.S.T.のエタロン以降をC8に接続して電視観望をやってみましたが、

この記事に対し「ERF(エネルギー遮断フィルター)を除去すると圧倒的に効果がある」とhiroさんからコメントをいただきました。今回はそれを実行してみます。

注意:太陽望遠鏡のERF(エネルギー遮断フィルター)は紫外線や赤外線を反射して逃がすという重要な働きを持った部分です。これの除去は本来大きな危険を伴いますのでその点ご理解ください

さて、取り外した左の少し大きい方がERFで右の小さい方がBFです。
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このBRFの部分を使わず、ショートカットする形でBFをねじ込むことができます。
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ERFの代わりには左側の2インチバレルの先にUV/IRカットフィルターを置くことで、その機能を代用します。
CMOSカメラはSV-305Mproを使用。
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SV305Mproの先にはHa7nmフィルターが取り付けてありますが、これもERFの機能を期待しての取り付け。いわばUV/IRフィルター・Haフィルターの2段構えでERFの代用をおこなう、という布陣です。

最終的に光学エレメンツその他の配置は

C8 → ZWO製UV/IRカットフィルター → エタロン → P.S.T.のプリズム → BF → Hα7nm → SV305Mpro

という形になっています。
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C8をアルミシート銀巻してAZ-GTiに搭載し、CMOSカメラはSharpCapにてコントロール。

さて・・・
kokuten5
(SharpCapの画面をスクリーンショットしたもの)
おっ、これは前回とはかなり違ってきましたね!

しかし、風が強く、望遠鏡は揺れるわ、シーイングは悪いは、で最悪の条件。
どれぐらい最悪かと言うと、これぐらい(笑)

(かなり見にくい動画になっておりますがご容赦ください)
この動画からまともに写ってそうなのを1枚キャプチャしたのがこれ。
処理後
スクリーンショットとあんまり変わらんですかね。まあ、このレベルをいくつかコンポジットできればもう少し画質も上げられそうではありますが・・・

後はスクリーンショットで。
ダークフィラメント。
da-kiufirament6
巨大黒点群
kokuten9
プロミネンス
purominensu3
プロミネンスは光球面より大分暗いんですね。

まあ、太陽素人が準リアルタイムでやってる電視観望なのですが、それなりにいろいろ見えて面白かったです。プロミネンスは何となくハケ状の構造も見えるような気もしましたしね!

ただ一回に見える範囲がかなり狭いんで、あちこち行ったり来たりしないと全体を捉えられず。それなら、と。
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P.S.T.のノーマル鏡筒にもどしてみます。しかし、状態はノーマルではなくてERFが外されていますので、対物レンズの先にUV/IRカットフィルターを置きました。

で、
taiyou
あ、まあ悪くないですね。でもSV305Mの1/3”センサーじゃノーマル対物にしても全体入らないのか・・・
ちょっとヒストグラムいじってプロミネンス出して見ると・・・
purominensu zentai
右下にちょっと写ってる。しかし、以前はここまで写らなかったのですよね。思うに自分のP.S.T.もERFの劣化で見え味を落としていたのだろうな、と。
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そう思って外したERFを見ると、表面が劣化してる気もするし、通して見るとちょっとガラスがくもってる感じも。
個体差が大きいことで有名なP.S.T.ですが、ERFやBFが原因であることも多いかも知れませんね。

さて、今回も最後にもう一度、
コロナドP.S.T.などの太陽望遠鏡を分解・改造したものを直接アイピースをつけて見る眼視観望に使用しないでください。特に大口径での太陽観察では細心の注意で安全確保に努めてください。