全面ピンポイントの完璧な性能を示すSV550のフラットナ―ですが、1.0×なので焦点距離は480mmのままとなります。4/3”センサーでの実際の使用では、もう少しflが短い方がいろいろな天体が画角的に収まりやすくななるかなと感じました。さらに口径比F6も少し暗いので、これも明るくできれば一石二鳥ですね。

そこで自作レデューサーの定番、ケンコーのACクローズアップレンズNo4をSV550のㇾデュ―サーとして使うことで少し画角を拡げ、Fも明るくできないだろうか? というのが今回の企画です。
IMG_6171
No4はEOSマウント用のTリングに入れてあり、アダプターを介することで2インチ接眼部ならどんな望遠鏡にも使えますので、今までいろいろな用途でそれなりの結果を出してきました。

さっそく比較、SV550鏡筒にAZ-GTi、ASI294MC、SharpCapによる画像処理はいつもの通りです。

まずは専用フラットナ―でフル視野。
M57 gain390 4s 10stack uvir cut filter(専用フラットナ―)↓
M57 gain390 4s 10stack uvir cut filter(flatner)
続いて、CloseupLensNo4によるレデューサー
M57 gain390 4s 10stack uvir cut filter(No4レデューサー)↓
M57 gain390 4s 10stack uvir cut filter(reducer)
あーやっぱり、最周辺(ASI294MCの4/3”センサー)はだいぶ星像が膨らみますね。縮小率は約0.8×ののようです。それですと、合成fl=384mm、合成F4.8となります。

中心部を拡大。
M57 gain390 4s 40stack uvir cut filter(専用フラットナ―)↓
M57 gain390 4s 40stack uvir cut filter(flatner)100%
M57 gain390 4s 40stack uvir cut filter(No4レデューサー)↓
M57 gain390 4s 40stack uvir cut filter(reducer)100%
少し星像甘くなっている? 感じですね。それの確認のため微光星を800%に拡大(それぞれライブスタックなしの1枚画像)。

専用フラットナ―↓
tyuuou8
2~3ピクセル。非常にシャープです。
続いてNo4レデューサー↓
tyuuou8 reducer
少し集中度が失われているような気もしますが、結果として2~3ピクセル。まあ、悪くないですね。しかし問題は周辺像。4/3”センサーの最周辺(右上)を見ます。

専用フラットナ―↓
migiue8
専用フラットナ―は最周辺でも完璧。

No4レデューサー↓
migiue8 reducer
出ました!(笑) これは「周辺ピンボケ+逆コマ」と見ました。ということはレデューサーと像面の距離が離れすぎてて「過修正」になっているから、もう少しそこを短くしたらいいのでしょうかね?

良像範囲を見るために中心と右隅の中間の星像も見てみました。
tyuukan8 reducer
程度は軽くなっていますが、同じ傾向ですね。
当ブログ定番の玉砕報告の雰囲気が漂い始めましたが、気を取り直してこのレデューサーで少し電視観望してみます。

M8,20 gain390 4s 25stack uvir cut filter
M8,20 gain390 4s 25stack uvir cut filter(freducer)
まあ拡大しなければそんなにアラは目立たない(笑)

M16,17 gain390 4s 30stack uvir cut filter
M16,17 gain390 4s 30stack uvir cut filter(reducer)
かなりギリギリですがレデューサーで視野が拡がっている分、何とか同一写野に納めることができました。

sadr付近 gain390 4s 10stack uvir cut filter
sadr付近 gain390 4s 10stack uvir cut filter(reducer)
このように4スミに少し減光が出るのも専用フラットナ―ではなかったことですね。さて、これからスタック枚数を増やして、という時に・・・
sadr bousou
SynScanの暴走で左側からブラックアウト(笑)。自分の場合、あまり子午線通過とか気にしてないので。毎回どれかの天体で発生しますね。そろそろこれ何とかならないだろうか。

北アメリカ星雲 gain390 16s 43stack uvir cut filter
北アメリカ星雲 gain390 16s 43stack uvir cut filter(flatner2)
何かこれ星像が甘くなってる分、星の色が表現されやすくなっている、という怪我の功名? しかしレデューサーによってFが明るくなり星雲は出しやすかったかもしれません。あと画角も広くなって北アメリカも何とか画面に納まってますね。

ペリカンはあんまりはっきり出せませんでした。
ペリカン星雲 gain390 16s 13stack uvir cut filter
ペリカン星雲 gain390 16s 13stack uvir cut filter(flatner2)
そうか、星像があまり破綻してない真ん中付近だけ拡大すれば良いのかなと思って、

ペリカン星雲 gain390 16s 43stack uvir cut filter
ペリカン星雲 gain390 16s 43stack uvir cut filter(flatner2)
うーん、あんまりシャープ感はないですね。

さて、ケンコーのACクローズアップレンズNo4をSV550のレデューサーとして使う検証、画角の拡大やF値の高速化については少し手ごたえがあったものの、星像の悪化はいかんともしがたいですね。まあ、当てずっぽうのレデューサーがマッチするほど世の中甘いわけはなく(笑)

というわけで、
SV550には素直に専用フラットナ―を使ってください
という当然の結論となりました(笑)。

注意:今回の記事は自作レデューサー使用という、メーカー想定外の方法で行われていますのでSV550鏡筒の性能を示すものでは全くありません。


***


7月9日 追記

周辺像が「過修正」気味でしたので、これはひょっとしてレデューサーと焦点面をもう少し近づけたら最適化ができるのではないかと思い、試してみました。

もともとレデューサーから焦点面は約48mmだったものを
IMG_6278
EOS→T2アダプターを薄型の物に交換することで約31mmとしました。
IMG_6279
さあ、これでどうなるか・・・
4秒露出、スタックなしの画像
M17 gain390 4s  uvir cut filter
zentai
これで約0.88倍の合成fl=420mm程度。良い感じに縮小率落ちてるかもしれないです。

上の画像の中心星像(800%拡大)↓
tyuuou
中心像はもちろん2~3ピクセル(10~15μm)のシャープさですね。

問題の最周辺像は!?(視野右上の800%拡大)↓
migiue
お! かなり改善しています。4~5ピクセル、20~25μmというところでしょうか?
↓前に48mm距離の時はこれぐらいでしたからね。
migiue8 reducer
(記事前半の画像の再掲 同じく画面右上端の800%拡大)

雲も多かったのですが少し電視観望してみました。
M4 gain390 4s 21stack uvir cut filter
M4 gain390 4s 21stack uvir cut filter
うーん、周辺像は改善しましたけど、画面中央のバックグラウンドがスポット的に明るくなってしまいますね。

M8,20 gain390 4s 18stack uvir cut filter
M8,20 gain390 4s 18stack uvir cut filter
星雲をあぶりだそうとすればするほど、それが激しくなります。

M17 gain390 4s 12stack uvir cut filter
M17 gain390 4s 12stack uvir cut filter
やっぱりダメか・・・対象天体を変えて見ても同じ状況。
雲も来たのでピンボケ画像を見てみてみましたが、口径食を起こしている様子はないですね。
pinboke kumo
原因は不明ですが、レデューサーの最終面との距離が近くなって反射した光のゴーストとかアダプタ内の迷光を拾っている感じがします。

まあ、そこまでしてクローズアップレンズを使う必要もないわけで・・・というわけで再度の結論。

やはり専用のフラットナ―を使ってください(笑)