「ミニすばる」ですが、主鏡に5cmF4球面鏡を使っているため、光学性能は今一つでした。これを何とかできないか、いろいろ考えていたのですが、ひょっとしたらTANZUTSUの補正レンズの使用でJones-Bird光学系にできるのではないかと思いつきました。

Jones-Bird光学系(Birid-Jonesとも言うらしい・・・どっちや!?)とは球面鏡に色消し凹レンズを組み合わせて球面収差を補正するものらしいです(これもJones-Bird?
telescopeѲptics.net
によれば、左のが球面鏡用、右が放物面用のJones-Bird補正レンズですが、レンズ構成はバーローのような色消し凹レンズですね。
画像


この補正光学系は、古くはミザールCX-150型や、東和のTANZUTSUで採用されていた思われます。CX-150型では、「D=153mm fl=720mm F4.8」の球面鏡を補正レンズで合成fl=1310mmに、TANZUTSUでは、「D=78mm fl=275mm F3.5」の球面鏡を補正レンズで合成fl=600mmにしていたようです。

さて、TANZUTSUは2台持っていて、性能の悪い方を部品取り用に分解してあるのですが(笑)

それの補正レンズを出してきました。
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光学シミュレーションに使おうとしたのでしょうか、実測や推定したと思われるスペックを書いてますね(笑)
。対物側の第一面がかなりRのきつい凹面でこれだけでも普通のバーローとは少し違う感じです。

さて、取りあえずはこれをミニすばるの接眼部に「ポン置き」してみます。
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うまく接眼ヘリコイドの内側に納まりましたので、この状態で月と土星を見てみました。
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ええっ!? 無茶苦茶シャープに見えるのですが・・・

iPhoneのコリメートではうまく写せてないけど、月面も細かいクレーターがたくさん確認できます。
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(Datysonプローセル4mm 80倍) 

土星の輪や本体の輪郭もエッジが立っています。はっきりいってファーストライトの時の「どこがピントかわからない」状態とは別物です。

その後、アルタイルで見た恒星の焦点内外像もきっちり対象。もちろんエアリーディスクやジフラクションリングも見えます。まあただ周辺に行くにしたがって像は崩れますね。

しかしこれはJones-Birdが成立したか?!

というわけで、本格的にTANZUTSUの補正レンズを組み込むことにいたしました。レンズのみを取り出し、
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これを収めるセルをモデリングします。
補正レンズおさえ
レンズ寸法通りのデータを3D印刷。
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このセルにレンズを入れたら、さらにボーグの直進ヘリコイドに内蔵。
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画像では今一つよく分からないのですが、ピッタリ納まっています!

これで地上風景を見ますが、補正レンズによってバックフォーカスが設計値より大分長くなってますので、ヘリコイドを延ばし切っても「内ピン」となり、アイピースを1cmくらい浮かさないとピントが出ません。かといって延長筒をつけると今度は縮め切っても「外ピン」・・・

思えば、今までこういうのでずいぶん泣かされてきたのですが(笑)、現在では3Dプリンターで解決することができますね!
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ボーグの直進ヘリコイドには先端にT2オスネジがあるので、これにねじ込む31.7スリーブアダプターを作りました。これにより1cmほどアイピースを浮かせた状態で固定することができます。
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何か「モアイの帽子」みたいですね(笑)。

MAKSY GOの架台に載せて「テーブルトップ型」にしてみました。
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現状、補正レンズの位置は「成り行き」ですが実測したところ拡大率は約1.6倍(合成fl=320 5cmF6.2)。もともとのTANZUTSUでは補正レンズによる拡大率が2.2倍くらいに設定されてるみたいなので、この辺の最適化の煮詰めも考えられますね。

しかし、これ以上バックフォーカスが長くなるとバランスの問題も出てくるので、Jones-Bird光学系を想定した新規のトラス鏡筒が必要になると思います。とは言うものの、現状でも光学系はおそらく十分な性能。望遠鏡として最低限の要件を満たすことができたと言えます。

さらに補正レンズの導入で完全に「Catadioptric式」ということにもなりました。「ミニすばるCAT」と言うわけです。wiki日本語版にはJones-Birid載ってないけど(笑)

ともあれ、これでやっと

望遠鏡として使用できる、すばる望遠鏡のミニチュアを作ってみました

と言うことができると思います(笑)

しかし、「ミニすばる」の挑戦はまだまだ続く! です!