先日から製作をすすめているミニすばる望遠鏡開発の過程で惑星を見ていた9月中旬、何だかもの凄くシーイングがいいことに気づきました。
これはもう少し大きい口径で見ないと損だな・・・だが30㎝出すのめんどくさいから、ポン置きで設置できる15㎝F8でいいか、とそれは軽い気持ちでスカイウォッチャーDOB6を出したのです。
ExplorerScientific5×バーローに、BelOMOのルーペアイピース(約30mm相当)の約200倍にて土星を見たら、予想通りシーイングがピタッと止まって微動だにしません。おお、こんなこと滅多にないぞ!・・・で、ふむ、輪があんまり開いてないにもかかわらず、カッシニ全周楽勝ですな、いや待て、カッシニの外側の部分や本体の縞模様の部分が灰色に色づいて見えるぞ・・・本体の黄色も相まって土星におけるこの彩度も滅多にない!
じゃ、木星なら・・・?
おおう、ガリレオ衛星がジフラクションリングに囲まれてるぞ! さらに衛星が面積体に見え、一番大きいのはガニメデ、小さいのがイオだよね?ってわかる(後で確認したら合ってました)。あと、ガニメデの模様が見える気がする・・・?が、これはよくわからない。
木星本体の細かいグリグリ模様が見えるのは当然として、大赤斑の色の違いやまわりを囲むような渦の模様まで・・・これは明らかに今年ベストの見え方です!
とか言ってもなかなか伝わらないと思うので、後で「思い出しカラースケッチ」してみました。
しかし正直、今までこんなに見えたことないな、と思いました。今までと何が違うかと言うとやっぱりアイピースでしょうかね? 同時にカール・ツアイス・イエナのH-25mm+ESの5×バーローも試していて、こちらも凄く良く見えるわけですが、木星ではBelOMOと同等だけど、土星だとBelOMOのほうが勝ってるような。BelOMOの方が土星が明るく見えるんですよね。
とにかく、このシンプルな
15㎝F8のニュートン式に、ESの5倍バーロー、BelOMOルーペアイピースの組み合わせはとんでもない
とわかりました。
しかし、この日は残念ながらこの後雲が出てきましたのでここまで。
雲ごしてもまだかなり見えるけど。あれでしょうか、天気が崩れる直前はシーイングが良くなるって言う。 とにかく今日みたいに惑星が見える事は滅多にないので、こういう瞬間をとらえられたのは非常にラッキーでした。
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というわけで、その翌日。天気が崩れることもなく晴れていたので、昨日の追体験を求めて再度玄関先に15㎝F8を設置(笑)。もちろんESの5×バーローにBelOMOのルーペアイピースにて。
昨日はシーイングがピタッと止まってたけど今日は、止まる時間は間歇的。でもやはり凄くよく見えている。今日は月から行きます。
さて、月を見ている間にだんだん気流が落ち着いて、昨日みたいに「ピタッと止まり続け」の条件になってきました。2日続けてなんてラッキーなんだ! こういう絶好の条件なら、今日はどうしても確かめたかったことがあるのです。それは
15㎝でガニメデの模様は見えるのか?
です。昨日は見えるような見えないような? でよく分からなかったので、今日はこれ以降完全にガニメデをロックオン。
・・・と言うわけで30分ほど見ていたのですが、やはり表面模様が見えてるのではないでしょうか。ちょうど火星が遠い時の模様みたいに、偏心した位置にポツンと点があるみたいな・・・その点が少し北西側寄りにあるような気がします。誰かが今日のガニメデの写真を後でアップしたら模様見えたかどうかが判明(笑)
ってTwitterでつぶやいていたらutoさんが当日のガニメデの拡大をskysafariでおこなったものをアップしてくださいました(この機能は知りませんでした。Skysafariすげえ!)
15㎝でガニメデの模様を確認しました。
と言い切ってしまおうと思います!
しかし、ガリレオ衛星の模様と言えば、大口径ドブにて条件のいい日に見えたり見えなかったり、という難度の高いチャレンジだと思っていたので(Lambdaさんは20cmF5でもガニメデの模様を検出しておられますが)これが15㎝で見えたというのは自分でも未だに信じられない思いです。要因としては
1 シーイングが最高の条件だった
2 スカイウォッチャーの15㎝鏡が十分に高精度
3 F8なのでわたくし程度の腕でも光軸が必要範囲に調整できていた
4 ESの5倍バーローとBelOMOルーペアイピースが高解像度、高コントラスト
5 斜鏡による中央遮蔽率が直径比23.6%とまあまあ小さい
6 見えるか見えないかのものをしつこく見続けた
などが考えられるでしょうか。自分は4の「BelOMOルーペアイピース使用」が最大の要因ではないかと考えています。
さて、今回使った15㎝F8、DOB6クラシックは、フリーストップ式のドブソニアン架台なのですが、200倍程度なら日周運動の追尾が可能ですね。少しコツがいりますが視野の端まで惑星を持って来て日周運動で反対側の端まで来たらまた鏡筒を少し戻す、という動作の繰り返しで十分惑星の観察ができました。低コストで最低限の操作性を満たしており、この辺は及第点、素晴らしいパッケージングと言えます。
さらに、15㎝クラスの最安値に近い価格帯でこの光学性能を実現しているのもすごいことです。
最後に一言「15㎝F8、永遠のスタンダード!」
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