テニスの素人プレーヤーが、プロの試合を見る場合、どうしても「どこが参考になるのか」という視点で見てしまいます。今日NHKで放送していた、全日本の決勝、クルム伊達×瀬間、はそういう意味でもとても面白い試合でした。

伊達はライジングショットを中心に、速いテンポで相手を振り回すカウンターテニス。
対する瀬間は、「パワーショット+ゆっくりした深いつなぎのボール」で緩急をつけたストローク中心のオールラウンド気味のプレイでした。

瀬間のつなぎボールが、エンドラインギリギリに入っている局面では、さすがの伊達も後ろに下げられ、攻め込むことができませんでした。しかし、速いタイミングで先手を取り、瀬間の余裕を奪ってつなぎショットが浅くなったところを、左右に角度をつけると、面白いようにエースを決めていました。

結果は、最後までタイミングを合わせられなかった瀬間が、手も無くひねられた形となりましたが、伊達のライジングを深く返してラリーを続けられれば、全く違った展開になっていたと思います。

そして、僕が一番注目して見たのが、瀬間の「ゆっくりしたつなぎ」が、「深くいいところに入った」のか、それとも「浅くヤバイところに入ったのか」、です。
浅くなったときは、まるで自分のことのようにヒヤヒヤし、案の定角度をつけて決められると、相当ガッカリしました。
かなり瀬間寄りで試合を見ていた、と言えます(笑)・

これは我々が練習する上では、最高にコストパフォマンスの高いショットなのです。

なぜなら素人レベルでは、「10回に1回スーパーショットを決めるよりも、ゆっくりしたボールで長く続けられたほうが勝つ」という、現実があるからです。
もちろん、「続ける一辺倒」ではトップにはなれないけど、日本中のテニスプレーヤーの90%くらいにはこの戦術が有効のような気がします。

イコール、「テニス界で最も重要なショット」と言えるかもしれません。

ちなみに、伊達のライジングショットは、素人レベルでは自滅の可能性が高く、やむを得ない場合(足元にバウンドしたとか)以外は試みないほうが無難と思われます。

やっぱり、素人テニスの楽しさって、ラリーを長く続ける、ってとこに根っこの部分があると思います。ゆっくりした深いボールを、100球でも200球でも続けられるプレーヤーになりたいなあ・・・って思った全日本女子の決勝でした。