ケンコー・スペーシア100C、10cmF8のカセグレン系光学系です。
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( ↓当ブログのスペーシア100Cインプレッション )

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球凹面主鏡、球凸面副鏡をカセグレンのように組み合わせ、3群3枚(?)の補正レンズで球面収差を補正する、かなり凝った形式の光学系です。
鏡筒にも補正レンズの構成図みたいなのが貼られていますね。
ちなみに、調整可能なのは副鏡のセンタリング・スケアリングのみ、主鏡と補正レンズは組み付けです。

さて、先日、SP赤道儀の追尾状況を検証するためにこの鏡筒を使ったのですが、せっかくですので、スペーシア100Cを写真鏡として使った場合の性能を考察してみました。

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M42を撮ってみると全体的にはこのような写り。

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( 10cmF8 fl=800mm ISO100 露出5分 コントラスト、明るさ調整 )

撮影日が月齢16だったため、月光によるカブリを抑えるためISO100の低感度で撮っています。
周辺減光が激しいですね・・・ケラれのないイメージサークルはφ10mm以下でしょうか。

周辺星像( 小三ツ星の一番上の星 )を見てみると、



コマ収差に加えて、像面湾曲による周辺ピンボケもありそうですね。

ひょっとして、クローズアップレンズによるレデューサーでこれらが補正されるかなと思って、No3( 0.86倍 )とNo4( 0.81倍 )を入れて同じくM42を撮影、小三ツ星の一番上の星を拡大してみると・・・・・( 画像の掲載サイズは、レデューサーの倍率を反映しています )


 
                       No3                     No4

像面湾曲がわずかに解消され、コマ収差はあまり変わらず、って感じでしょうか?

さらに、中心部の星像( M42の中にある星 )を強拡大してみます。

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1ピクセル5.1μmと考えた場合、50μmはありそうです( タカハシ・イプシロンの星像10μm、当方の140SS改でも15μm )。ちょっとシャープとは言い難いですね。
イメージサークル狭い、周辺像悪い、中心像シャープじゃない、という「 三重苦 」、ある意味気持ちいい程の写真適性のなさです(笑)。

そして、左上の方が青く、右下の方が赤く色づいてますが、これは色収差でしょうね。
主鏡・副鏡では色収差は発生しないはずですので、補正レンズによるものと思われます。
しかも中心星像でこのような偏りがあるということは、補正レンズのセンタリングかスケアリングが狂っているという可能性が高いでしょうか。

「 スペーシア100Cはシャープに見える 」って言ってる人もいるのですが、当方所有の鏡筒は、眼視でも今一つスッキリしない結像です。
その辺は、ひょっとしたら補正レンズが原因かも。

補正レンズのセンタリングやスケアリングの調整はできないので、それらが狂っていたとしても基本どうしようもないのですが・・・・・一回はずして組み直してみようかな。
あるいは、補正レンズを取り外して、球面主鏡と球面副鏡のみのカセグレンとし、シャープになるまで周辺を絞っていく! っていう方法もありますね。この方法でダメなら主鏡(これも調整不能)のスケアリングが組み付けで狂っているということになります。

実用性はともかく、「 光学系遊び 」としては、やりがいがありますね。
困難を乗り越えて設計どおりの光学性能を発揮させることができれば楽しいだろうなあ・・・・