注目のELS正立双眼装置、一刻も早く星を見たいところなのですが、一向に天候が回復せず週明けには台風までやってきそうな感じなので、少々強引ではありますが、雨の中、地上風景を見てみることにしました。

鏡筒は、ビクセンSP140SSシュミット・ニュートン、D=140mm Fl=500mm F3.57 です。

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アイピースは,笠井トレーディング推奨の(?)PL20mm50度を使用( 笠井トレーディングで扱っているものではありません )。

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いったん双眼装置をとりはずして、PL20mmを一本だけ付けた単眼状態(上)、と双眼(下)をそれぞれiPhoneのカメラで撮影します。

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( 単眼 倒立像なので上下反転しています )

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( 双眼 )

一見して像質やコントラストの低下は感じられません。視野最周辺の周辺減光はわずかにあるでしょうか。
しかし、かなりいいです!

中央部を拡大してみると


( 単眼 )


( 双眼 )

双眼装置使用時には、わずかなコントラストの低下と色収差の発生が見られます。
しかし、分解能についてはそんなに悪化していない気がします。

5群7枚ものリレーレンズを内蔵しているので、色収差については仕方のないところでしょうか。
さらに、コントラストの低下ですが、アイピースを外してのぞき込んだところ、

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このような感じで、「 ナイフエッジ光路分割ミラー 」の光束が来ない方からの迷光を拾っているようです( オレンジの色については双眼装置内部のどこかの色でしょうか、良く分かりませんでした )。
( 追記 : この写り込みは左側の開口部を塞いでなかったため、そこから回り込んできた光によるものではないかと考えられます ) 
しかし、このコントラストの低下は写真に撮って初めて気がついたことで、眼視では全く感じられませんでした。

おそらく、双眼視による体感的な視認性の向上が、片側視野で発生しているコントラストの低下を上回っているのだと思います。

さらに、ちょっと予想外の効果もありました。
140SSはF3.57と非常に明るい光学系のため強烈なコマ収差と像面湾曲が発生します。


( 単眼での周辺像 画面の下の方 )

上の画像ではややピンボケになるとともにコマ収差(?)によって上下にブレた感じに写っていますね。

これがELS双眼装置使用ですと・・・・



どうですか? 色収差が発生しつつも、像面湾曲による周辺ピンボケとコマ収差による像の流れが改善されている気がしませんか・・・・?!

この効果について、笠井トレーディングのHPにも言及はないので違うかもしれないのですが、何となくそんな気がしています。
まあ、この辺は星を見ると一発でわかるので、また検証してみたいと思います。

あと、これですよね。専用の0.66倍レデューサー。

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これを取り付けてみてみると、もちろん実視界は拡大しますし、眼視のイメージもほとんど変わらず。
周辺減光の増加も感じられません。
レデューサー使用によって、アイポイントがややルーズでよくなって覗きやすくなった気がしました、
運用的には、0.66倍レデューサーは「 つけっぱなし 」で行くか、という感じでしょうか。

もうひとつ、対物のFがどれくらいまで口径食なく使えるか、も気になるところなのですが、リレーレンズが入っているので、アイピースを外してのぞき込んでも主鏡が見えませんでした( 斜鏡のあたりにピントが合う )。
これを検証するためにわざわざF3.57という明るい光学系で使ったんだけど・・・・まあ、これも星を見て輝星でピントをぼかしたらだいたいわかると思われます。

現状、総合的に見て、これだけの内容が、この価格( 税込¥52,380 )におさまっていることに驚きです。
ひょっとしたら、双眼視したい眼視派の標準アイテムになっていくかもしれません。

天候が回復し次第、実際の星野での印象も報告したいと思います。


** おまけ **

このような、「 ナイフエッジ光路分割ミラー 」による双眼装置で地上の風景を見た場合、わずかながら左右の視差が発生するみたいですね。
注意してみると、本当に少しですが遠景のほうが近くに見える「 立体感リバース 」が発生していました。