ハーシェル・ニュートンによる月面キラキラの観察がすっかりマイブームとなっております・・・と言うか、ここしばらくそれ以外の天文活動をしてません(笑)。「月に始まり、月に終わる」と言われる天文趣味ですが、どうやら、わたくしのキャリアもそろそろ終わりを迎えているようです・・・って、

まだだ・・・まだ終わらんよ!(これが言いたかっただけ 笑)

と言うわけで今日も晴れているので月を見ます。
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さて、本日は月齢19、シーイングは3/5くらいですかね。冬場としてはいい方と思います。

まずはNikonルーペアイピースとラベンデュラ(Lavendura)アイピースでの月面キラキラ(クレーター外周のピンポイントな輝き)の見え方の違いを検証。やはりNikonルーペアイピース25mm34倍より、ラベンデュラ30mm28倍の方がキラキラはよく見えますね。まあ倍率も違うので厳密な比較にはなってないかもですが。ちなみに34倍(左)と28倍(右)ですと月の大きさはこれぐらい違います。
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画像ではわからないですが、右のラベンデュラによるイメージの方がコントラストが高く、やや狭い面積にものすごい情報量がギュッと濃縮された感じですね。明らかに1段階強烈な見え方です。これは、小海で見せていただいたCZJのC50/540のイメージにかなり近く、E50/540に迫ってさえいる気もしました。個人的にはもうこれでいいんじゃないか、という「上がり」の境地に達してしまったかもしれません(笑)。

さて、このとろいろいろな月齢をずっと見続けてきましたが、この日に見た月齢19前後が一番美しいような気がしました。
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上弦は山脈の部分がたくさん見えるのでダイナミックで荒々しい印象。満月前後はクレーターからの光条による豪華な祭り。それに対し下弦は海の部分が多く、階調豊かで繊細な感じですね。その落ち着いた雰囲気の中にキラキラが華を添えるのですが、特にクレーター「ヴィエタ」? の周辺はそれが際立っており、まるで宝石を散りばめたようでした。
ヴィエタ
もちろん上の画像でもそれは表現できてませんし、どんな高画質の画像や映像でも見られない眺めですね。目で直接天体の光を捉える眼視ならでは、の世界になります。

こういうのを見ると、これ以上何が必要だというのだろう、という気さえしてくるほど。これでもう天文趣味にも思い残すことは何もないです・・・って、

まだだ・・・まだ終わらんよ!(笑)

さて、それはともかく、続いてExplore Scientific の5×バーローをつけて140倍で見ます。
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あ、この下の端っこにあるやつ、サジモトさんがツイートしてた「ポシドニウス」だ!

五藤の5㎝テレパックの広告に出てたやつですね。同じ5㎝のハーシェル・ニュートンですが、さすがに広告のスケッチのレベルまでは見えず。これはまあ、シーイング5/5の条件でのチャレンジとして楽しみに取っておきます。

140倍で欠け際の反対側の輪郭の方を見ると、小さな富士山みたいなギザギザがたくさん見えます。
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これら、実際に月面に降り立ってみると巨大な地形なんだろうなあ、って思いを馳せたりしながら見ると、つくづく月面って面白いですね。

ちなみに、こちらは先日訪れた江の島から見えた富士山。
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さてここで、コントラストの高いラベンデュラなら、これまで月面キラキラは見えたことがない15cmF8でもいけるんじゃないかと思って出してみました。
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ラベンデュラ30㎜で40倍になります。
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うーん、まあ月面キラキラは見えなくもない、って印象でしょうか? 

15㎝F8で今まで見てた月面より明らかにダイナミックレンジは広い感じがしましたが、ハーシェルニュートンのように、ガツン! と来るコントラストまではないですね。あとやっぱり15㎝だと5㎝よりシーイングの影響を受けるので、シャープネスが低下する感じもあります。そのため、キラキラもあるといえばあるし、ないと言えばない(笑)。また、ハーシェル・ニュートンでは山脈が海に張り出した部分が「かさぶた様」に見えるのですが、その感じもかなり弱いです。中央遮蔽があるのでダメなのだろうか? と思い、
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この15cmF8のフタに付属している直径4cmの「偏心絞り」を利用して「4cm F30無遮蔽ニュートン」としてみました。

この状態でラベンデュラをつけて見てみますと・・・うーん、フル口径より少しコントラストもシャープネスも向上するけど、やはりハーシェル・ニュートン並みには見えないですね。ハーシェル・ニュートンを15㎝のコントラストの違いは中央遮蔽ではなく、鏡筒内の迷光処理の問題かも知れないです。

なにしろ、当方のハーシェル・ニュートンはイメージサークルが約0.7°と激狭になるのもかまわず、中央光束優先で思いつく限りの迷光処理を施しておりますから。

そう言えばCARL ZEISS JENAのMENISCAS180あたりも中央遮蔽の大きなマクカセでありながら、内面装等の高クオリティによるのでしょうか、木星の模様なども非常に高いコントラストを示しますし、この例を見ても中央遮蔽より鏡筒の迷光処理の方がコントラスト向上には有効なのかも知れません。

と言うことは、中央無遮蔽のハーシェル・ニュートンや屈折望遠鏡じゃなくても、(中央遮蔽のある)普通のニュートン式を迷光処理をキッチリやって製作し、ラベンデュラと組み合わせれば月面のキラキラが見える可能性があるということです。

近日、15㎝自作鏡の鏡筒の製作を開始するのですが、それにあたっては、ぜひ「迷光処理番長」のコンセプトで行くべきかと!

さて、面白くなってきやがった!